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中小企業に人事制度は必要か? - 3

引き続き、脇坂(2014)に基づいて、考えてみます。

男女均等あるいは女性活用の代表的指標である 女性管理職割合は,ずっと中小企業において 高い。一部の研究者は早くから注目しているが(中村恵 1991, 1994),この事実を知らないで論じている論考も多い。(p 76)

脇坂(2014)

研究者ではありませんが、知りませんでした。でも、確かに分かる気がします。女性管理職の割合について最新の「雇用均等調査」で見ると、こんな感じでしょうか

  • 全般的にあまり大きい変化はないように見える

  • 女性役員を有する企業の割合は減っている

  • 係長・課長・部長は微増

出所:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/02.pdf

下の図9を見ると、管理職に占める女性の割合は少しずつ増えていってます。働く女性にとっては、昔よりは、管理職になりやすい時代になってきているといえそうです。ただ、絶対数としては、まだまだ道半ばではないでしょうか。この手の "男女" の話でよく言われることですが、男女半々いるのに・・・といつも思います。

出所:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/02.pdf

面白いのが図10で、規模別で見ると、やはり規模が小さいほど女性管理職の割合が増えてます。(なぜか300-999人を下にU字カーブにも見えますが)

想像で仮説を考えると、小規模事業者ほど生き残りに必死なので、当然ながら優秀な女性も採用するが、規模が拡大するにつれ昔の時代のような、男性文化が支配するコンサバ傾向になっていく。一方、1000人を超えると外面を気にして、突然、女性活躍だと頑張り出す。ひねくれた見方ですが・・

出所:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/02.pdf

脇田(2014)によると、なぜ中小企業は大企業より取組やサポートは少ないのに、女性管理職が多いのかは決定的な理由がないとするが、下記のように述べてます。

おそらく,優秀な男性の採用・定着をなかなか果たせない企業(これは小企業共通の課題)のなかで,先進的に優秀な女性の存在に早くから気づいた社長・役員のいた企業が,大企業以上の割合で女性を登用するのであろう。 (p. 77)

脇坂(2014)

とすると、中小企業の方が、きっとダイバーシティー&インクルージョンも高いのかと思い、ちょろっと調べました。研究としては中小企業の人手不足を補う外国人労働者というダイバーシティーの研究が多そうです。これって、ダイバーシティーというより技能実習生に代表される問題が大きいのでは?倫理とか人権問題だといつも思うのですが、話が飛んでしまうのでやめときます。

また実務においては、東京商工会議所が「中小企業のための ダイバーシティ推進ガイドブック」を発行しておりました。そこでは、グローバル化という社会の変化も取り上げて、中小企業もグローバル化へ対応しなきゃいけない→多様な人材が必要→外国人の活用が経営課題と説明してました。

肌感としては中小企業ほど確かに(表面的な)ダイバーシティーは高そうです。年齢、性別、国籍など。もしそうならば、組織のマネジメントはダイバーシティーが高い中小企業ほど難しいのかもしれないなと思ったのでした。


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