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中小企業の人材開発_第5章 「管理職の現場における学習」 ②挑戦的な経験と管理職のマネジメント能力

第5章のまとめです

代表的な先行研究。量子的飛躍で有名なMcCallの研究を取り上げています。

McCallら、上級管理職191名を対象とした調査で616個の経験と、導き出された1547個の教訓を明らかにし、成長を促す経験を分類した (McCal, Lombardo & Morrison 1988)

しかし、これらのMcCall、金井に代表される研究は大企業を対象としており、キャリア早期で多くの経験ができる中小企業に当てはまるのだろうか?

たしかに大企業で入社数年目までは、多くのことには挑戦できず、ひたすら下積み的なイメージもわかります。

本研究の結果、初期キャリア以降の挑戦的な経験は管理職のマネジメント能力に直接的な正の効果を示すことがわかったようです

とくに、仕事について4年目以降の挑戦的な業務経験と経験学週がマネジメント能力に有意な正の影響を示したそうです


この結果は、「初期キャリアにおける挑戦的な経験が役立たない」ではなく、間接的に影響があるのでは?と著者らは考察をしています。


こういう研究の仮説って、直接的な効果 と 間接的な効果 って厳密的に統計モデルで計算してるから違うものなんですよね。

つまり、「初期の挑戦的な業務経験」は仕事をする上での基盤となる業務能力を形成する。若い間はまず、仕事のいろはを覚えましょうということでしょうか。その”いろは”を若手の間に身につけた上で、4年目以降の挑戦的な業務経験につながり、結果としてマネジメント能力が高くなるのでは?と考察しています。


しかし、近年の研究では挑戦的な業務だけが必ずしもマネジメント能力の向上につながるわけではないということです。これは知らなかったので興味を持ちました。

DeRue & Wellman (2009)がその研究のようです。

本には「挑戦的な業務経験のレベルがある一定の高さに達すると、経験的価値が減少していく」とありました。何のことかと思って、原文を見ると、おそらくこのFig2のことを言ってると思います。

しかし、この減少効果は 学習志向性やFeedbackがmoderateしているようです。


研究の仕方、解釈の仕方も勉強になった章でした。

大企業も中小企業も、人間なので大きな点は変わらないのでしょうが、中小企業に特有の性質を上手に活かして、人材育成をしていくと、競争優位の源泉になりうるな、一般的に中小企業には就職しないと言われてる優秀な新卒(大卒・院卒・PhD)も、中小企業にどんどん来てくれる日も近いんじゃない?と思いました



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