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中小企業の人材開発_第4章 「一般従業員の現場における学習」




第3章の復習

4章の前に3章を復習します。誤解を恐れず、ざっくりまとめると、

  • 筆者らが対象とした企業では

  • 人材開発に関する制度やその利用割合と、企業の業績や個人の成長には直接的な相関は認められない(一部、有意差がある項目もあるが、関連は弱い)

  • 人材開発の取組が無駄というわけではなく、現場におけるミクロな状況、相互作用などを丁寧に見る必要がある

でした。

4章では、現場における相互作用をより詳しくみています。具体的には、実際に一般従業員がどんな学習しているのかを、経験学習論、職場学習論、越境学習論を拡張した顧客からの学習に基づいて、本人の能力向上に与える影響を、中小企業の特徴に基づき考察しています。


職場学習論


上司の業務支援、内省支援、精神支援のうち精神支援のみ、一般従業員の能力向上に正の影響を与えているようです。


つまり、上司からの支援は行われているが、それが上手く機能していないことを示している


中小企業ならでは理由があるのでは?

  • 未経験者を育成する際も先輩を見て覚えることで終わってしまっている

  • 企業が成長している場合は、事業の拡大とともに従業員がドンドンふえていき、人材開発がまったく追いついていない

  • 部下の数はどんどん増えていくが、上司のマネジメントの力量がどんどんあがるわけがない(追いつかない)

  • 自分自身、育成された経験がなく、育成といわれてもわからない


経験学習論


著者らの定量調査の結果、一般従業員の経験学習プロセスの具体的経験、内省的観察、抽象的概念化、能動的実験は、一般従業員の能力向上に正の影響を与えるようです。

↓ 一方、聞き取り調査の結果も踏まえると

経験学習のサイクルはちゃんとまわって成長はしているけれど、転職も多いし、一企業での学びが積み重なりにくい構図にある


そういう中小企業の実態をふまえたうえで、どんな風に経験学週のサイクルをまわせば、いいのだろうか?丁寧に紐解くことが必要ではないでしょうか


と言ってるように思いました


越境学習の拡張


中小企業は、社内の人数が少ないため、どうしても外、顧客との接点の方が多くなるようです。実際に聞き取り調査でも、「お客さんに育ててもらった」という声が多いとのこと。

筆者らはこれを越境学習の形態の1つとして拡張し、「顧客からの学習」と名付けていることが、学問としても、実態としても、素晴らしいなと思いました。

想像するに、お客様は非常に多様性があると思います。業界にもよるのでしょうが、いろんなお客様がいるように思います

そういう点では、本当に今、書きながら思いついたレベルの仮説ですが、中小企業の従業員は多様性への理解が高く、どのように顧客からの学びを、自分なりに咀嚼して、どのように自社と関連づけ仕事に役立てているのか興味がわきました。

本当に、顧客からの学びって大きいと思います。これは大企業でも営業職や顧客と対面する業務の場合は、同様の傾向がでるのでは?と思いました。私も、10年ほど前では毎日得意先を訪問していた時期もあり、確かにお客様に育てていただいたなという実感があります。





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