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普段の読書生活に変化球を。 近代文学小説読んでみませんか?

「教科書で名前を見た作家」と言われて誰を思い浮かべますか?
例えば、夏目漱石、太宰治、芥川龍之介などでしょうか?

1800年代後半〜1900年代後半までの怒涛の日本を生きた人たちで、この作家たちのことは「近代文豪」と呼ばれることが多いです。

一冊読んでみればわかるのですが、言葉遣いが現代とは違うし、内容も時代背景が違うので理解しながら読むのが難しい本ばっかりです。

ですが、この時代の本を読むことで学校では習わないような時代のあり方や、当時の人々の考え方を学べます。
そして何より、読めば読むほど理解が深まるので飽きることがないです。

今回は私がおすすめする近代文豪の本を3冊紹介します。
古本屋さんで手に入るものばかりなので、一冊だけでも目を通してもらえればきっと魅力が伝わるはずです!

読了目安時間は3分です。

1.大岡昇平『俘虜記』。これ以上つらい経験はきっとない。

本記事①

最初に紹介するのは大岡昇平の『俘虜記』。
大岡昇平は近代文豪の中でも比較的新しい時代を生きた人です。

簡単に内容を説明すると...
第二次世界大戦中、大岡自身が戦争に参加し米軍の俘虜となり、その期間の生活を書き連ねたものです。同じく俘虜になった戦闘員達の変化や、米軍の兵士と築いた関係などがこと細やかに書いてあります。

第2次世界大戦中の小説はこの世の中にたくさんあります。しかし、「俘虜」の経験を書き連ねた小説は多くありません。
そもそも当時の日本では「捕まるくらいなら自害しろ」という考えが強く、俘虜となる道を選んだ人が少数でした。そんな貴重な人が残した体験談は本当に大切にしていかなければならないですよね。

そして私が思うこの本の魅力は、「まるでフィクションのように感じる」ことです。
「この本はフィクションなんだよ」と言われても絶対に納得すると信じています。それほどまでに、戦時中の俘虜の生活は今じゃ想像もできないほど非現実的なものだって伝わってくるんです。

実話だと知ってうえで読むと、この本にさらに引き込まれます。

ちなみに、大岡昇平の有名な本に『野火』という本があります。こちらは、俘虜になる前に戦闘員だった時の体験を書き連ねたものです。面白いのでぜひ読んでみてください!

2.井伏鱒二『黒い雨』。他人の日記を出版した作家。

本記事②

2冊目に紹介するのは井伏鱒二の『黒い雨』。広島の原子爆弾の話です。

そしてこの本は井伏自身が想像して書いた内容ではなく、一人の人間の日記を井伏の名前で雑誌に掲載したものなんです。

どうして井伏はそんなことをしたのか。
それは、「原子爆弾の恐ろしさを伝えたい」という日記を書いた人の想いを残すためでした。

日記の著者は井伏のところまで日記を持っていき、井伏の名前で出版してほしいと直談判に行ったと言われています。有名作家、井伏の名前を借りてまで世の中に想いを残したかった日記作者の気持ちを汲み取ったというわけです。

経験者だからこそかける文章、一般人の日記なのに井伏が自分の名前を使ってまで出版しようと思ったほどの内容です。
壮絶な混乱の中人々が広島でどう生きたのか、日記だからこそ伝わる現実味を感じてみてください。

3.三島由紀夫『憂国』。「献身」を知る。

本記事③

最後に紹介するのは三島由紀夫の『憂国』という短編小説です。

三島由紀夫は東大生との討論会が映画化され話題になったばかりですよね。
この本は、三島が「自分の小説の中から一編だけ、三島由紀夫のすべてを凝縮したエキスのような小説を読みたいと求めたら、『憂国』の一編をよんでもらえばよい。」と述べたほど。
『憂国』には三島が表現したかったことが詰まっていることがわかりますね。

この小説は天皇に献身する軍人と、それに献身する妻の物語。
国全体が「献身」の心を一番にしていた時代の生き方が生々しく書かれています。

少し過激な表現が含まれる小説ではありますが、表現ではなく内容に注目して読んでいただきたいです。

また、『憂国』は映画化されたとき三島自身が主人公を演じたことでも有名です。
私も見てみたいと思っています。

わたしは三島由紀夫が近代文豪の中で一番好きな作家ですが、この小説が一番面白いと思っているので、すごくお勧めの小説です。


いかがでしたでしょうか...。

今回は戦時中の小説に関して紹介しましたが、近代文豪の本には戦争に関する内容じゃないものもたくさんあります。
紹介した本を入門編としてぜひ、他の近代文豪の本も読んでみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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