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考えない人は使われる、考える人は人を動かす

目的意識の明確化

日本人が世界に挑戦する上での大きな課題の一つは、明確な「目的意識」を持つ事です。 グローバル・ビジネスマンを20年以上経験してきた私が、常に持つ実感であり危機感でもあります。

強力な同調圧力の中、関わる人を慮り、空気を読める力を鍛え、徹底的にストイックな忠誠心を発揮して自分を追い込める事は素晴らしいにもかかわらず、「目的意識」が乏しい為に、本来の価値を効果的に発揮できない日本の課題を強く実感します。

時代や世代を超えて与えられた道を極める事を美徳としてきた日本では、極めた人が見た究極の姿や、極めるに至った道・手段・過程があり、究極の姿を素直に信じきる事が求められてきました。親や教師、お上(政府)や権威者、師匠、監督、上司や先輩に指示された事を疑わずに、盲目的に取り組む文化が作られてきました。 自ら考えて問を探して答えを見つける事よりも、過去の先達が学んできた答えを丸暗記を重視する教育を小さい頃から叩き込まれているのが理由だと想像します。

多くの状況で、目的に意識を向けることがなく、与えられた、指示された「手段を目的化」しています。

みんながやってるから、親が望むから、教師が勧めるからとの理由で中学受験したり、偏差値が高い高校や、名門大学を目指したり、留学したり、大企業に就職したり、家業を継いだり。終身雇用が当たり前との思い込みで就職して、会社が命じるからと転勤したり社内転職したり、出向したり、単身赴任しています。

システム導入が目的化されていて、本来の目的である事業での成果や顧客への価値提供の視点が欠けたITプロジェクトも数多くみてきました。古い慣習や慣れ親しんだ環境を守る事だけが目的となって、本質的な改革に抵抗する人を数多くみてきました。誰かの面子を守る事が目的となり、本質的な問題への対応が先送りされる事を数多く見てきました。

お金や絶対的な存在を信じる事を目的化しているアメリカ人も少なくなく、目的を見失い手段に拘るのは日本だけの問題ではないですが、その程度と範囲が酷いのが日本の現在の閉塞感に繋がっていると感じます。

HowよりWhat, WhatよりWhy

Global IT企業のお客様担当営業として、無我夢中に仕事に取り組んだ20代を過ごしました。グローバルの仕事に憧れ、お客様に頼み込んでシカゴや深セン・上海、アムステルダムへの出張の機会を作って頂きました。一生懸命にお客様だけを見て仕事するように鍛えられ、お客様にも認めて頂けると、想像を超えた成果に繋がりました。

2003年には、自社グローバル購買部門を活用した、先進的なアジア初の業務アウトソーシング案件を米国本社まで巻き込み受注しました。ITコンサル会社が業務アウトソーシングに取り組んだアジア初事例です。中国で受注したので中国で貰えば良いのにと言われましたが、日本法人社長に社長賞を頂きました。日経新聞全面の自社広告にも採用されました。

大きな仕事を終えた後、少し燃え尽きたのかもしれません、何でも出来ると自分を大きく過信してもいました。お客様だけ見ていれば、他に気を配る必要はないと極端でもあり、先輩からは生意気な若者でした。

驕っていたと思います。先輩の厳しいダメ出し指導もあり、いつしか自分を追い込んで、やるべき事を見失い、成果や成長を感じなくなり、道に迷いはじめた時もありました。自分が会社の大きなボトルネックになっている事を漠然と恥じていました。

うまくいかない現状を打破しようと、当時(2005年)に作った自己分析です。自分の成長は諦めていなかった、ストイックな自分の思い出の資料です。今でもたまに振り返ります。

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この自己分析を当時のメンターのお一人に相談した時に、伝えて頂いた言葉が「HowよりWhat, WhatよりWhy、目的意識の明確化、成果につなげる段取りの意識化」でした。
お客様に役立つとの目的を常に意識していたつもりでしたが、様々なプレッシャーや思い込みの中で、いつしか目的より手段に囚われて自分を追い込んでいた事に気づけました。

自分のできている事、できる事ではなく、本来やるべき事 (コーチング的にはやりたい事) に意識を向けると、意味のないダメ出しやドリームキラーの言葉に惑わされ無くなりました。やるべき事が見えない・分からないとの危機感はありましたが、その危機感が自らの成長への原動力になる事にも気づきました。

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考えない人は使われる、考える人は人を動かす

明確な目的意識と自らの成長への危機感が、その後の私のグローバル・キャリアを築く基盤になりました。常に目的を意識するようになりました。自分の目的だけでなく、関わる人の目的にも意識を向けました。自分の独りよがりな目的ではなく、関わる人が社会に発揮する目的への役立ちを意識しました。

グローバル社会には、多様な文化や価値観が存在し、目的地を見失って道に迷う人、明確な目的と意図を考えない人は、明確な目的と意図を持つ人に使われます(利用されます)。個人主義で弱肉強食のグローバル社会では、関わる人や社会を慮る心が限られ、弱い人から搾取する事に抵抗がありません。「考えない人は使われる、考える人は人を動かす」のです。

あなたは、考えない人ですか? 考える人でしょうか?
「明確な目的意識」は、グローバル社会を生き抜く為に大切なマインドです。 心からありたい自分と実現しているVISIONに明確な目的意識を持ち、VISIONに共感する仲間を広げ、世界を更に豊かにする事に役立ちたいと思います。

誰かに与えられた目的や、自分の思い込みによる目的ではなく、自分自身に意識を向けて、心からの目的に気づき挑戦するあなたを、Global Challengerのすすめは応援します。


ps. カバー写真は息子タロウが0歳の時の思い出の写真です。 「人を動かす」と有名な本ですが、英語タイトルは how to win friends and influence people 「友達を作って多くの人に影響を与える方法」とよりマイルドな内容です。

息子タロウは考える人に育ち、より多くの仲間を作り、世の中に役立つ人生を送ることを願っています。





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