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徹底的にストイックな忠誠心

日本には、自分を限界まで追い込んで社会・お客様・会社・仲間に対して徹底的にストイックな忠誠心を発揮できる不思議な力が存在します。

それが、盲目的に極限を超え“Karoshi”と英語にもなった行き過ぎたストイックな忠誠心であれば悲劇でしかありません。認知科学に裏付けされたコーチング理論が広まり、自分自身に意識を向けて、人や社会に押し付けられたり、誤った思い込みではない、心から望む「自分らしさ」に気づき、自らの可能性を信じきる人が増える事で、この根深い社会問題が早く改善・解決する事を望みます。

しかし一方で、この不思議な力には、長年に渡る世界的な競争力の源泉として日本を支えてきた底力を感じます。終戦後の焼け野原からの復活や、高度成長期を支えた24時間戦ったビジネスマンが鍛えた力とも言えます。(私もそんな父親の背中を見て育ちました。)  そして、日本という国が出来て以来、和を尊ぶ日本人が時代を超えて鍛え磨いてきた底力かと思います。

日本では争いのない平和な時代が長く続く環境があった事も歴史背景にあると思いますが、時代や世代を超えて与えられた道を極める事を美徳としてきました。素晴らしい先達が長年に渡り世代を超えて極め続けた道には、極めた人が見た究極の姿や、極めるに至った道・手段・過程があり、究極の姿を素直に信じきれる事が、徹底的にストイックな忠誠心を育てた一つの背景と想像します。

そして、忠臣蔵や忠犬ハチ公などを通じ、日本の価値観としても表現されているこの徹底的にストイックな忠誠心は、世界に挑戦する日本人が競争力を発揮する源泉にもなります。

徹底的にストイックな忠誠心は、より自己中心的で誰かに任せて楽しようとする人、何かと言い訳を見つけて直ぐに諦める人、役割と責任を明確にして自分の責任範囲を超える事に興味がなく、自分の目先の利益を最優先する人が少なくない多様性の高いグローバル社会では簡単には見つけられない、非常に価値の高い能力です。

残念ながらグローバル資本主義に毒された多くの人の判断基準は、自分の役割と責任範囲か否か、その役割と責任範囲に影響があるか否か、短期的に自分にとって得か損かだけです。

一部のトップ・リーダー、マネジメント層を除いて、アメリカでは従業員は時間外労働は基本的にやりません。約束した時間になれば、作業の完了・品質状況に関わらず作業を終了します。 作業の完了・品質状況はそれを管理するマネジメントの責任で、作業者の責任ではないからです。

アメリカのレストランでは座る席でサーバーが決まり、サーバーが自分の担当ではない顧客への対応を基本的にしないのは、役割と責任が明確で、役割を超えた活動への対価(チップ)が得られないからです。

アメリカの多くの飛行機会社のCAさんも、マクドナルドの店員さんも、病院の受付の方も、愛想笑いをしません。愛想笑いをして場の雰囲気を良くする事が役割でも責任でもなく、対価も得ていないからです

グローバル社会で、自分の役割や責任範囲を超えて、より社会や組織へストイックな忠誠心を果たす行動ができる人を見つけるのは簡単ではありません。

日本の常識は世界の非常識。
世界的に非常識な、徹底的にストイックな忠誠心には、非常識に貴重な価値があります。これは、世界と比べないと気づけない、社会全体が相対的にストイックな日本の中では気づき難い貴重な価値です。

価値ある能力を盲目的に搾取されるのではなく、そして価値を知らず安売りするのではなく、より高い視座で発揮すれば、世界は更に豊かになると思います。

大きな夢や志を持ち、関わる仲間の夢を知り、仲間の夢にも繋がる自分自身の夢や志に、徹底的にストイックな忠誠心を発揮する。そんな覚悟を持って共鳴する仲間を増やしたいと思います。

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