大切なあなたへ。
あなたは、私の小さな世界の全てだった。 本当に、全てだった。
女子校の中で、多くの後輩の憧れの的だったあなたと続く、ピンク色のガラケーの中の秘密の繋がりが、幼かった私の誇りであり、唯一の希望だった。
あなたから届くメールの受信ライトはピンク色にして、眠たい授業中も、机の中で光るのを心待ちに、毛玉みたいな携帯ストラップをいじってばかりいた。
当時、私の小さな世界で起きていた小さな諍いや、まだ上手く言葉にできない複雑な感情は、あっという間に空気中から酸素を奪っていくことが多くて。
自暴自棄になっては、周りも他人も傷つけていた。
勿論きっと、あなたのことも。
「消えたいです」「苦しいです」「切りました」
どうにもならなくなった私を、教室まで迎えに来たあなたが、私を放課後連れ出してくれて、二人で初めてカフェに行った11月のあの日。
あまりの申し訳なさと緊張で、体の芯から震える私の目の前を、あなたが穏やかに笑いながら回すレモンティーのパックが揺れていた。
ゆらゆらと。浮かんでは沈む。
日が暮れるまで話したあの日、帰り道の繁華街のネオンが、キラキラ揺れていた。
あれから何度も止めてくれた。
一緒に泣いて、一緒に喜んでくれた。
そうして何度目かの春が来て、先に卒業するあなたがかけて下さった言葉は、十年以上経った今も、私の大切な希望となっている。
「私達の間にはそもそも 、『再会』はあっても『別れ』はないのだと 、今心からそう思える。 」
「生きて欲しい。誰よりも自分の為に 。そして、我が儘ではなく、他の人の力になる為に 。」
今生きている私の心は、
あなたが守ってくれたのです。
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