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ペンギンの潜水能力のひみつ [5]

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生物の科学 遺伝 2019年1月号『特集 ペンギン ー行動と研究最前線』
に寄稿した内容を分割して公開しています

元記事のPDF↓

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5. これからのペンギンロギング

ここまで紹介してきたように,バイオロギングによって想像もしなかったような発見が次々になされた一方で,未解決の問いも残されている。たとえば,お気づきの方もいるかもしれないが,生理的なメカニズムに関する発見のほとんどはエンペラーペンギンについて特定の研究グループによってなされたものである。それらの結果が他の種にも共通して見られるのかどうか,体の大きさや生息環境が生理的なメカニズムにどのように影響しているのか,についても気になるところだ。

また,潜水深度や潜水時間,そして水面での位置情報については多くのデータが蓄積されつつある一方で,水中での移動経路を詳細に記録した例はまだほとんどない。筆者らの研究で,方位・体の傾き・速度を記録できるデータロガーを用いて,南極の海氷の下で潜水するエンペラーペンギンの潜水経路を記録したところ,水中で水平方向に 1 km 近く泳いだ後,潜り始めた氷穴まで戻ってくることもあった [23]。片道の距離でいえば,潜水深度の2 倍にもなる記録である。このように,水中での移動を三次元的に調べなければわからないことも多くあるはずである。

データロガーの小型化や機能の多様化とともに,これからもペンギンに関する新たな発見が続いていくことを期待したい。

おわり



引用文献:
23)Shiomi, K., Sato, K. & Ponganis, P. J. J. Exp. Biol. 135– 140(2012). doi:10.1242/jeb.064568



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