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雨の日のゆっくりとした読書

雨の音を聴きながら、本を読む。どこにも行けない日々がまたしばらく続くのだから、雨が降っていても降らなくても、きっと家で本を読んでいるだろうけれど。

目に見えない脅威が、知らないうちにいつのまにか変異していて、再びまた襲ってくる。そんな日々のなかで、憂鬱になったり、落ち込んだり、ネガティブな感情を抱え込むのも、仕方がない。
人はかかわり合って生きていくしかできないから、誰かに会って直に話せないなら、それはとてもつらいことだ。

本を読むことは、自分にとってはとても大切な行為で、だれかとのかかわりあいを補ってくれる、それを通して新しい人とのかかわりをもたらしてくれるものだ。

いっぽうで、最近は、少し本を読むことに追われている。アウトプットするために読まなきゃいけない、読んでおいたほうがいい、そんな本がたくさんある。時間が無くて、消化不良のままアウトプットに臨むことのほうが多い。本を読む時間の確保は、自分の体力や余力とのたたかいでもある。
毎日、仕事も家事も育児も、ある。それでも、本は読みたい。

そんなふうに急いでページを繰ることが続いていたので、今日は、ゆっくりじっくり向き合える本を読みたくなった。

青いインクで印字された文字は、自然とゆっくりとしたペースに心を落ち着かせてくれる。そうして、イラストレーターの親子の記憶をたどりながら、その不思議なこだわりや癖や思い出を、微笑ましく思う。

雪は「ひとの気持ちに何かをあたえるものがあるのではないか」とスノードームを、その買う姿を見られないようにしながら蒐集し、カレーが好きで何が悪い、とカレー好きを公言し、何を言われてもいい、と伝統こけしの里をすべて旅歩いた、という安西水丸さん。

やさしい、かざらないイラストのような穏やかな時間が親子のあいだに流れていて、旅をするようにその記憶がある場所をたどっていくのが、楽しい。ここではないどこか遠くに出かけられたようで、ふさぎ込んでいた気持ちが少し軽くなった。




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