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知らない世界を見せてくれる『バウルを探して』

3回も同じ本を出す。

どういうことだろう、と不思議に思うけれど、すぐに合点がいく。この本は、写真が無ければ片手落ちなのだ。それほど素晴らしい写真が色鮮やかにたっぷりと含まれている。写真を余すことなく見せてくれるカラフルな綴じ糸の製本も素晴らしい。そして何より、川内さんの文章はとても透き通っている。

川内さんは、いつも私の全く知らない世界を見せてくれる。
『パリでメシを食う。』も、読まなければ絶対知らなかったであろうパリに暮らす日本人の姿を描き出していた。

『バウルを探して』も、全くバウルについても、バングラディシュの歴史についても知らない私を、不思議な旅の世界へと誘ってくれた。

7年ぶりに再び形を変えて出された本だが、私は7年前にはこの本に出会っていない。7年前、私は深い闇の中にいて、本を読むどころかまともに生活すらできていなかった。大きな出版社から出された本など見向きもしなかったし、今だからこそ小さな出版社で出されたこの本に惹かれたのだと思う。

世に本を出してなにかを伝えたいと思う人には、研究者に限らず物事を深く探究心がある。当たり前のように日常を坦々と過ごしていても見つけられないものを見つけて、知らせてくれる。だから、本は面白い。

『バウル』ってなんだろう、ほとんどの人は初めて名前を聴くはずだ。本を読んでも、その核心のようなものは曖昧で、そういう存在がただ確かにいるのだ、ということだけが分かる。その神秘さを明らかにしていくのは人類学者の仕事かもしれないが、川内さんはあくまで興味を持った旅人で、その興味のままにバウルを訪れている変わり者なのだ。それを明らかにすることはせず、ただバウルという存在の面白さを教えてくれる。

旅日記のようでもあり、私小説のようでもある。そんな一冊。


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