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フランス美術館史の主役

≪ パリ滞在記・その7 ≫
  〜Musée du Luxembourg  リュクサンブール美術館〜

1️⃣リュクサンブール公園(Jardin du Luxembourg)

 少し早起きして、アパルトマン近くの公園を散歩してきました。
ここは、ルイ13世の母であり、かのルーベンスに連作を描くよう命じたその人、マリー・ド・メディシスが1612年に宮殿の庭園として造らせたリュクサンブール公園。

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 25haもある広大な庭は手入れが行き届いており、緑地帯あり、噴水あり、子供の遊具あり、テニスコートあり、劇場あり…。

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 幾何学的なフランス式庭園と、自然をそのまま生かしたイギリス式庭園があり、どの季節に訪れても楽しめるように造られているそうです。
朝から気持ちよさそうにランニングをする人が沢山いました。結構年配の方もガッツリ汗を流していました☺️

 そして庭園北側にはリュクサンブール宮殿!どーんッ!

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 かつてマリー・ド・メディシスが住んでいた場所。
フランス革命後は政府に摂取され、監獄や政府官邸として使用されていたとか。
現在も元老院(上院)の議事堂として用いられているそうで、宮殿の通用門には銃を構えた(カッコいい)警備の方々を見かけました。

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 後で知ったのですが、広い庭園のあちこちには、歴代のフランス王妃やジャンヌ・ダルクを含む100以上の彫像、記念碑などがあるそうです。時間がなく、公園の一部しか見られなくて残念です💦

 公園内にあるリュクサンブール美術館がまた素晴らしい!!ので、別日に絶対訪問するぞ!と一旦アパルトマンに戻ることにしました☺️

 穏やかな気持ちになれ、かつ元気をもらえるエネルギー注入できる空間。近くに住んでいたら、毎朝散歩したい❗️のです。

2️⃣リュクサンブール 美術館(Musée du Luxembourg)

 ということで後日。
リュクサンブール公園を散歩した際に見つけた美術館。
素敵な建物だったので別日にやって来ました!という軽い気持ちの訪問だったのですが、リュクサンブール美術館はフランス国立美術館史の主役を演じてきた場所でした!

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ここで<リュクサンブール美術館の歩み>について
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【1750年】
ダ・ヴィンチ、ルーベンスなどの王室コレクションを展示する最初の王立美術館として公開を開始。
【1818年】
ルイ18世によって現在の建物が造られる。
生存する芸術家のための美術館として、サロン入選作から国家が買い上げたアカデミックな作品(ダヴィッド、アングル、ドラクロワら)を中心に展示 → 現代美術を公開する最初の美術館となる。
【1865年】
マネの『オランピア』がサロンに入選したものの「現実の裸体の女性」を描いたと批判され、国外に流出しようとしていた。これを阻止すべくモネら画家仲間が政府に働きかけをした結果、1890年『オランピア』がリュクサンブール美術館に収められた(良かったね😊)。
これを機に、印象派の作品が集まり始めた。
【1894年】
この年、カイユボットが自身のコレクションである印象派の作品など67点を政府に遺贈すると遺言して亡くなった。当初 政府は受け入れに難色を示し、一部である38点(モネ『サン=ラザール駅』、ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』、ドガ『エトワール』など)だけを受け入れた(名作揃い!)。
【1929年】
増加した印象派コレクションは、ルーヴル美術館に移管された。
【1937年】
国立近代美術館建設によりリュクサンブール美術館は閉館。
【第二次世界大戦後】
リュクサンブール美術館 所蔵作品の多くは、パレ・ド・トーキョー内の国立近代美術館に移された。
【1979年】
展覧会(企画展)に使用するためにこの建物の使用を再開。
【2000年】
元老院が再び管理を行う。以降ボッティチェリ、アルチンボルト、ゴーガン、マティス、ヴラマンク、モディリアーニなど現在は年に2回 良質な企画展を開催する美術館となっている。
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 おおうっ、これまで錚々たる作品がこの場所に展示されていたのですね。
何ともはや、恐れ入りました。凛とした美術館の佇まいに、威厳すら感じます!
 かつてここに展示されていた作品は、ルーヴル美術館、オルセー美術館の前身であるジュ・ド・ポーム美術館、パレ・ド・トーキョー内の国立近代美術館などに移管されていくのですが、ここからはオルセー美術館設立の裏話と関係するのでまた別の機会に。

 前置きが長くなりましたが、現在は「イギリス絵画の黄金時代:レイノルズからターナーまで』と題し、テート・ブリテンが所蔵する18世紀後半から19世紀前半のイギリス絵画を展示していました。

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 テート・ブリテンといえば、リュクサンブール美術館はテート・ギャラリーの設立にも少し関係しているそうです!(また余談です)
__砂糖で財をなしたサー・ヘンリー・テートが1889年に、自身のイギリス同時代の絵画コレクションをナショナル・ギャラリーに寄贈しようとしたのですが、却下され国内で議論を巻き起こします。その時イギリス国民を刺激し設立へと動かした原動力が ‘当時フランスに同時代の作品を展示する国立のリュクサンブール美術館があったこと’ なのだそうです__。
この美術館が フランス国内の美術館の第一号として多くの所蔵作品を送り出しただけでなく、イギリス🇬🇧の美術館にも影響を及ぼしていたとは‼️面白いですね。
こんな素晴らしい場所に来ることができて、幸せなのです。

 さて本題です。
小雨降る中、開館前から並んでいるのは地元パリの人達ばかり(←多分)。
展示作品は、レノルズ、ゲインズバラ、ターナーはもちろん、ホッパー、ブレイクやフュースリの怪しい世界などなど。イギリスの画家だったのね、と初心者は学ぶのでした。

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 大きな作品が多いのですが、特に目を引いたのはジョン・マーティン『ポンペイとヘルクラネウムの破滅』。迫力満点でした。

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 さて、展示作品はもちろん素晴らしかったのですが、鑑賞する人達(年配ご夫婦、若者から小さな子供まで)がとても「イイ感じ」なのです(←上手く表現できません💦)。
一人ひとりがじっくり鑑賞に没頭しているようで、立ち位置、進むスピード、周囲への配慮全てがスマート!観客みんなで一緒に鑑賞を楽しんでいる気持ちになりました。
こんな感覚は初めてでした😊。     ≪ その7 ≫ おわり

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