<工芸品展>の楽しみ方
サントリー美術館で開催中の
<よみがえる正倉院宝物 〜再現模造にみる天平の技〜>展
に行ってきました。
[正倉院] … 奈良時代(760年はじめ頃)に建てられた校倉造の高床式倉庫。奈良・東大寺大仏殿の北北西にあります。
[宝物] … 正倉院に保管された、聖武天皇ゆかりの品をはじめとする 奈良時代の美術工芸品。
最初に驚いたのは、展示品が正倉院の宝物そのものではなく、全て「再現模造」だということ。
◉ 貴重な宝物を修理・継承するにあたっては、その材料、構造、技法を知り尽くし、宝物を復元する力量まで要求される
◉ 災害によって何度もあらゆるものが失われる経験をしてきた我々は、もしもの時に備えることが必要である
ということなのでしょう。
素材や特殊技法、そして最新の技術によって明らかになった内部構造までをも、人間国宝ら現代の名工たちが再現しています。堂々たる品格を備えた本物に劣らない逸品に唸らされました。
今や「再現模造」それ自体が 我が国の伝統工芸であり、再現に携わる職人は “1300年前の美に挑戦するアーティスト” なのです✨。
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気になった展示作品はいくつもあったのですが、ここではコチラをご紹介。
正倉院の代表的な宝物「螺鈿紫檀五絃琵琶」。
呪文を聞いているようでピンとこないのですが、
“絃|《げん》” が “五” 本ある世界で唯一現存する楽器の “琵琶” で、
本体には希少な木材の “紫檀” を使用して加工、
華麗な装飾は、海亀の甲羅と夜光貝による “螺鈿” が全面に施されている。
と聞くと、その名前も覚えられそうな気がします。
600点に及ぶ部材を使用して装飾を施し、五本の絃には 上皇后さまが育てた蚕「小石丸」の繭から作られた生糸が使われているそうです。
装飾を目立たせるために 裏面に金箔を貼る…などの技術を復元し、実際に楽器として演奏できることにもこだわった職人技。
うーーーん、すごいけどお堅い…。
と思っていたら、小中学生向けの “わくわくシート” を発見!
厚紙のカードに「この作品を見つけよう!」と作品の写真があり、展示室内でそれを見つけたらシートを一枚めくります。
中には作品の説明が、ルビ付きで書いてあります。楽しい✨。
そして、とってもわかりやすい!
やはり、私は まだまだ基本から学んでいく必要がありそうです。
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そして一番 大はしゃぎしたのがミュージアム・ショップ。
正倉院宝物のグッズ、なかなか イイ線いってますよ。
左から、五絃琵琶、螺鈿箱の装飾模様をした「ガラス箸置き」
中央は、螺鈿玉帯箱を再現した「缶に入った飴」
右は紫檀木画槽琵琶しずく「ストラップ」。
おおーーーっ、美術工芸品のグッズに可能性を感じました(笑)。
私が展示品の中でグッズにして欲しかったのが、
① 美しく装飾された小さな「碁石」とそれを入れるための「箱」
② サイコロを中に入れて振るための「賽及筒」。
実用性もあるので、少々お高くても絶対に売れるはず!!
いかがでしょう、グッズ制作の皆さま(笑)。
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「絵画」を鑑賞するときとは違う発想で、違う視点から「工芸品」を観ていると、身体や脳がモソモソして とても新鮮でした。
今まで工芸品に対してそれほど関心が高くなかったので、もし職場の方にチケットを譲ってもらわなかったら足を運んでいなかったでしょう。
素敵な機会をいただき、本当にありがとうございました。
<終わり>
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