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“光こそは神の愛”

≪ パリ滞在記・その8 ≫
   〜Sainte-Chapelle サント・シャペル教会 〜

 今回の旅行中、思わず大声をあげそうになったり、訳もわからず涙が出そうになったことが何度もありました。実際に涙を流したことはないのですが、今回は…。

 パリのシテ島にあるステンドグラスが美しい教会、サント・シャペルです。

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 “建築技術の発展によって、開口部を広く設けることが可能となり、大きな窓を色ガラスで装飾するステンドグラスが発展した” というまさに説明通りのゴシック建築の建物は、上下二層に分かれています。
正面入口から入るとそこは下層礼拝堂。小さなステンドグラスはあるのですが、石の重みを感じる、少し暗い印象の空間です。

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ここは王家の使用人や関係者の礼拝堂ということで、半円状の後陣を持った簡素な造りになっています。奥には、サント・シャペル教会の建設を命じたルイ9世の像があります(写真中央下に小さく撮れていました!)。

 ここで「聖なる礼拝堂」サント・シャペルの歴史について少し。
ルイ9世は、ビザンティン帝国皇帝が返済できなくなった債務の肩代わりをして、その担保であったキリストの聖遺物を手に入れました。1248年、これらを収めるために作らせた礼拝堂がサント・シャペルです。
獲得した聖遺物は、なんと磔刑の時にキリストが身につけていた茨の冠や十字架の木片!!!肩代わりした金額は、サントシャペルの建築費用を大きく上回る国家予算並みの莫大なものだったらしい💦です。
しかし、貴重な聖遺物が「パリに安置」されることになった意義は、中世ヨーロッパにおいてパリが第二の聖地となるということ。その後の歴史を大きく変えることになったのです。

 さて、上層礼拝堂に向かうことにします。そこは王と側近の者、ミサを執り行う司教座聖堂参事会員のみが、外側のテラスから出入りを行える場所。
狭い螺旋階段を上り切ったところで「うわぁーっ!」と思わず大きな声を出してしまいました。

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高い天井までの壁面すべてに何本もの細い円柱があり、その間に赤や青、黄の色ガラス片がびっしりとはめ込まれています。ステンドグラスを通して差し込むやわらかな陽光に包まれると、私の精神が浄化されていくようです。気持ちが穏やかに、温かくなり、思わず涙が出そうになりました。
もっと上手くお伝えしたいのですが、表現力が乏しいのでガイドブックなどの記載を引用すると、
「圧倒的な力で訪れる者を魅了する」、「“光こそは神の愛”と考えられていた中世、その“神の愛”をみごとに視覚化した」、「光と色の奏でるシンフォニーに思わず時を忘れて立ち尽くしてしまうに違いない」。
まさにその通りでした。

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ステンドグラスには、字が読めない人々にもわかるよう聖書の物語が描かれているそうですが、そもそも聖書の物語をほとんど知らない私はよくわかりませんでした💦

ここは荊の冠などのキリストの受難に関する聖遺物が奉納されていた場所です。

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ちなみに聖遺物は、その後ノートルダム大聖堂に移されました。今年のノートルダム大聖堂の火災時にはニュースで「保管されていた荊冠は無事救出された!」と流れたそうです。不幸中の幸い、良かった😭

身体がフワフワしているような気持ちで出口に向かいました。そこにあった建物は、パレ・ド・ジュスティスと呼ばれる裁判所。

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 以下、蛇足です。急に現実に引き戻され、近くにあったトイレのドアを開けたところ、大きいほうの“モノ” が、トイレ中に散らばっていました。これは…、暴れ馬が用を足したに違いありません!(←すみません)早足で出口から退散したのでした。***** 今回の旅行、パリのトイレ事情にとても苦戦させられましたので、そのお話は別の機会に投稿させていただきます。  ≪その8≫ おわり


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