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傷の正体


私が自傷を始めたのは13歳の頃。
私の両親も離婚して、母とふたりで暮らし始めた。
母はしばらくして再婚すると言った。
でも私はその相手が嫌いだった。
同じ空気を吸うのも気持ち悪かったし
同じ床の上を歩くのも嫌だった。
だから私は素直に反対した。
すると母から捨てられた。
「じゃあお父さんのところに行けば?」と。

ある日学校から帰ると、母の姿はなく、
テーブルの上にあるものすべてが血だらけで
血のついたカッターが転がっていた。

どこに行ったのかわからないまま
数日一人で過ごした。
中学1年生の私には、なにもできなかった。
数日後に母の再婚相手が来て
私を怒鳴りつけて帰った。

まったく意味がわからない。
いまだに意味が解らない。

とにかくその男のところにいた母から
連絡があるまで数週間、一人で過ごした。

久しぶりに会った母は、
母ではなかった。
しっかり歩くこともできないほど痩せ、
幼稚な話し方をし、3歳児のように駄々をこねた。
痩せ細った腕は傷だらけで見るからに気がおかしい。
見るに耐えなかったし、声もかけられなかった。
ショックな光景が、
いまもどうしても
私の脳内に焼きついて離れない。

結局私は、父と祖母に引き取られた。
うまくいくはずがなかった。

私の自傷生活の始まりだった。
あれから20年。
ずっと悩んできたけれど
最近わかった気がする。

自傷の正体は、
愛だということを。





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