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記憶術で行政書士試験に受かった話(その2)

2. なぜ行政書士試験に適しているか

今回は、前回ご紹介した場所法が行政書士試験に適している理由についてお話ししたいと思います。

(1)試験形式とその内容

まず、行政書士試験の特徴として以下の2点が挙げられます。
①六法持ち込み不可
②ほとんどが択一問題(40字程度の記述式が3題)
あまり法律系の資格に詳しくない方はピンとこないかもしれませんが、他の法律系の資格試験と比べればその違いがわかります。
例えば法曹になるための司法試験は、六法持ち込み可で、択一問題もあるものの論文が最重要ですし、司法書士試験は、六法持ち込み不可では共通しますが、択一と記述に加えて口述試験があります。
これは一見、行政書士試験にはいろいろな条文の暗記が必要となってしまい、難易度が高いように思えます。
ですが、それは違います。司法試験や司法書士試験は「六法を持ち込んでも簡単には解けない」からこそ六法の持ち込みを認めているのです。
逆に言えば、行政書士試験は六法の持ち込みを認めたらみんなが合格してしまう(or 合格点がとんでもなく高くなってしまう)ため、持ち込みを禁止しているのです。つまり行政書士試験は、ポイントとなる条文の内容基本判例を覚えて、選択肢を見ながらそれを思い出せれば合格できるのです。特に圧倒的に配点の高い行政法は、基本的な条文知識判例の結論(訴えが認められたのかなど)を覚えていればほとんどの問題が解けます。(ここでポイントなのは、覚えるのが判例の「結論」で足りるところです。司法試験などではその理由づけや射程などがさらに問題となります。)

(2)難易度

司法試験とは異なり、行政書士試験には受験資格がありません。そのため学生から社会人まで幅広い人が受験します。そしてその結果、「あまり勉強してないけどとりあえず受験する」という層が一定数生まれ、難易度の割に合格率が10%程度と、非常にハードルが高く見えてしまうのです(司法試験の合格率は25%くらい)。
しかし前述の通り、この試験は条文知識と基本判例がメインなので、司法試験などと比べて覚える分量が格段に少なく、難易度は決して高くないのです。
ここまで繰り返し行政書士試験が難しくないと言ってきたわけですが、そうは言っても国家資格ですので、それなりに分量を覚える必要があります。そうすると、特に社会人の方などは使える時間が限られていて、効率的に勉強したいと思われるのではないでしょうか。そこで役に立つのが前回ご紹介した場所法です。

(3)場所法との相性の良さ

前回説明した通り、場所法の得意分野は単語を順番に覚えることです。つまり単純な条文知識判例知識が一定量必要なこの試験では、場所法が非常に効果的なのです。
法律の勉強は他の勉強と比べて無機質で抽象的な用語ばかり並び、普通に勉強してもなかなか覚えられません。テキストをがむしゃらに何度も読むことは深い理解にはつながって有益ではありますが、択一メインの行政書士試験に受かるという観点からは「コスパが悪い」と言わざるを得ません。そこで、試験に出るポイントを重点的に覚えられる場所法の出番というわけです。
実際どのように覚えるのかは次回、行政法を例に説明したいと思います。


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