私が未必の故意によって殺めた元恋人のことを考えると辛い

以下に続く文章はDr 林のこころと脳の相談室 5月分として掲載されるはずの文章です。


前回、【4761】私は本当に統合失調症なのでしょうか。生育歴からくるパーソナリティの問題のようにも思うのですが。
でお答えいただいたものです。実はお答えいただく半年前(今から約一年前)、元恋人が自殺しました。元恋人(以下Aとします)はボーダーパーソナリティ障害でした。その診断に辿り着くためにも大変な苦労をしたらしく、PMS月経前症候群や双極性障害、あるいは単純にうつ病など、さまざまな診断を下されていたようです。しかし結果的にはAはボーダーパーソナリティ障害とのことでした。生前、Aはそのことについて全く受け入れられていなかったようで、私が診断名について口にするとたびたび激昂しました。
私のAとの関わりはおよそ6年前からのもので、Aには大変困らせられました。当時の私が未熟で幼かったことももちろん問題でした。しかし、そんな私にAは依存していて、しかし一方では軽んじていました。Aの浮気によって私たちは一度破局しました。しかし、その後もなんだかんだと関係は続きました。決して健全ではない、毛繕い的な関係を続けていました。しかしおよそ一年前、Aは自殺しました。私との旅行を目前に控えた矢先の自殺でした。
私は軽んじられていました。それは私との約束を目前に控えての自殺からも見てとれます。私はAの感情の掃き溜めでした。それも自覚しています。
しかし、今でも考えます。Aにどう接すれば、Aが自殺しなかったかを。
私はAが自殺した日の夜、Aと(通話ですが)会話しました。Aは過剰服薬の上に、弱いと知っているはずのアルコールを摂取していました。私は止めませんでした。なぜなら、Aは狂言自殺をたびたび繰り返しており、一度は私も巻き込まれ、(今から死ぬから連絡が返ってこなかったら警察と救急を呼んでくれ、とのAの頼みを引き受け、連絡が来なかったためしかるべき機関に通報しました。後日、Aから不条理な罵倒と非難をされました)今回もそれにあたるだろう、と軽く受け止めていたからです。結果として、Aは死にました。
先生、Aが死んだのは確実に私のせいだと思うのです。なぜならば、過剰服薬に加えアルコールの摂取をしていたAが危険な状態であることを知っていながら、しかるべき機関に通報しなかったのは私だからです。今となってはAの真意は判りません。Aが死ぬつもりでいたのかどうかは。しかし、彼女を死に追いやったのは私でしょう。少なくとも原因となったと感じます。Aには当時私ではない恋人がおり(その点を踏まえても私は軽んじられていたと感じます)、その恋人も「死ぬつもりではなかったのでは。Aは器用な人だった」と述べていました。その恋人も後日、Aの後を追いました。つまり、私は副次的にAの恋人をも殺したことになり、私は二人の人を殺めたことになります。
先生、私はこの殺人の罪の重さに耐えかねています。私は先日のご相談の通り、病を患っております。事の重大さを理解するのに長い時間を要しました。
なんとか罪から逃れようとさまざまなことをしました。主治医に頼るのはもちろん、(その先生は気休めなのか、「死ぬしかない人はいる」と言ってくださいました)、趣味である絵画に昇華すること、占い師に頼る事、また自分自身で占う事、宗教、その他……さまざまなことを。
しかし喪失感や抑うつは拭えることなく残っています。もちろん薬を処方してもらい、その薬のおかげでなんとか生きています。それでも、Aの死のことを考えると(考えない日はありません)涙が溢れます。
先生、私はどうしたら良いでしょうか。自死遺族(私は赤の他人ですが)に関する書籍を読めば何か参考になるでしょうか。あるいは喪失に関わるケアについての書籍を読めばいいのでしょうか。私は、私に対して酷いことしかしてこなかったAが、再び生き返ることを望んでいます。その非合理さには気づいています。
この心の穴をどうやって埋めれば良いのか、それがわからないのです。そして二人の人を殺めた事実から逃れる術を知りたいのです。できれば彼らが生き返り、私の罪を帳消しにしてくれるなどという、非現実的な考えを捨てたいです。
カウンセリングに通うべきか、病の関係で大変難しいが書籍に目を通すべきか、先生のお考えを聞きたいです。また、私が(未必の故意とはいえ)人殺しであるという事実に対し、どう思われるかについても聞きたいです。
以上、酷く乱れた悪文で申し訳ないのですが、よろしくお願いいたします。

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