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リツイートしたら、情報開示されちゃう?! 最高裁の判決にざわついた件について調べてみた。

じめじめと暑い日が続きますね。最近はTwitterで動物の癒やし画像を見て、日々の英気を養っています。お気に入りの画像はリツイート(他のユーザーの投稿を再投稿すること)して、自分のタイムライン(フォローしている人の投稿やリツイートが時系列に並べて表示される画面)をお気に入り画像でいっぱいにし、自分が考えた最強のもふもふ写真集として眺めています!
さて、そんな私に気になる判決が飛び込んできました。

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参考:◆「写真の無断リツイートは著作者の権利侵害 最高裁判決」(yahoo news)
https://news.yahoo.co.jp/articles/10a9b1724e2426c7216431ea610323141f7d50ae


まずは、簡単に概要を。時系列で整理していきましょう。

事態のあらまし

1 写真家の甲さんが、ネット上に自身が撮った写真をあげた。
2 上記甲さんのあげた写真を、Aさんが無断でツイートした。
3 2でAさんがツイートした写真を、Bさんがリツイートした。
4 写真家の甲さんは、Aさんのツイート、Bさんのリツイートの行為は、自身の著作権や著作者人格権を侵害されたと感じ、これを理由にTwitter社に対しAさんとBさんの発信者情報(メールアドレス等)を開示するよう求めた。
5 一審は、Aさんのツイート行為に著作権侵害が認められ、Aさんに対するメールアドレスの開示が認められた。一方Bさんのリツイートについては著作権侵害が否定された。
6 二審でも、リツイートしたBさんの著作権侵害は否定された。一方で著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)の侵害を認め、Bさんのメールアドレスの開示を認めた。
7 二審での判決に不満なTwitter社が上告したが、棄却されたので二審の内容で確定した。(←今ここ)

何が問題なの?

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今までも、無断ツイートが問題であるとの認識を持っていた人は多いと思います。今回も無断ツイートしたAさんの著作権侵害は当然に認められました。
今回の判決で界隈がざわついたのは、リツイートしたBさんについて、著作者人格権の侵害が認められたということ。

著作権とは?

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まずは、簡単に著作権について押さえておきましょう。著作権には大きく二つの内容があります。ひとつは著作権者が著作物の利用を許可してその使用料を受け取ることができる権利としての「著作権(財産権)」。もうひとつが、著作者が精神的に傷つけられない権利の総称「著作者人格権」です。
今回は「著作者人格権」の中でも、氏名表示権(著作者が自分の著作物にその氏名を表示するかどうか、表示する場合本名にするか、ペンネームにするかをきめる権利。)と同一性保持権(著作者が自分の著作物のタイトルや内容を、ほかの誰かに勝手に変えられない権利。)が問題となりました。

では、今回は何が著作者人格権の侵害にあたったのかみてみましょう。

画像リツイートが著作者人格権を侵害?

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従来リツイート行為は、元の画像を加工するわけではないので、著作者人格権の侵害がないと認識されてきました。

実際にTwitterをお使いの方はご存知かもしれませんが、画像をリツイートすると、タイムライン上に表示される画像は勝手に元画像がトリミングされたものが表示されますよね。

今回の件では、写真家甲さんが自身でネットに上げた画像には「転載厳禁」「甲さんのクレジット」が入っていました。ところが、Bさんがリツイートしタイムライン上に表示された画像には、この「転載厳禁」「甲さんのクレジット」が表示されませんでした。勝手にトリミングされていたんですね。これが、著作者人格権侵害にあたるのではないか、と問題になったのが今回の裁判です。

そして、結論としては、著作者人格権侵害があるとされました。

勝手にトリミングされたのに、著作者人格権を侵害?

リツイートした人達の言い分としては「システム上、勝手にトリミングされた画像が表示されただけ」となるでしょう。確かにこれはざわつく気がします。

そもそもこの、タイムライン上の画像が自動的にトリミングされて表示されるシステムは、インラインリンクと呼ばれるもの。Twitter以外でも使われているシステムで、従来は著作者人格権侵害に当たらないシステムと認識されていました。

インラインリンクとは?

インラインリンクとは,ユーザーの操作を介することなく,リンク元のウェブページが立ち上がった時に,自動的にリンク先のウェブサイトの画面又はこれを構成するファイルが当該ユーザーの端末に送信されて,リンク先のウェブサイトがユーザーの端末上に自動表示されるように設定されたリンクをいう。(地裁判決文より)

裁判所の言い分

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裁判所の言い分は以下のとおりです。


①→リツイート者がトリミングされるシステムを認識しているか否かに関わらず、トリミングされた画像が表示される事態は、客観的にはリツイート行為によって生じている。

②→今回のようなリツイートが著作者人格権侵害の問題が生じる場合は、そもそものツイート画像が無断転載されたような場合に限られる。

③使用者に画像が掲載されたツイートをリツイートする際に、画像の出どころや著作者名の表示・同意などを確認する負担、権利侵害のリスクに対する心理的負担が一定程度生じることは否定できないが、この負担は、インターネット上で他人の著作物を投稿する際に、著作者の権利を侵害しないために必要とされる配慮に伴う負担だから過度ではない。


うーん。確かにそうだけど。Twitterの利用者全員にリツイート時に元の画像の著作権を確認する意識を持たせるって現実的じゃないような…。後はTwitter社にシステム上の対応をしてもらうしかないのかな。

防策

と言うことで、今後画像をリツイートする場合の注意点としては、

1.元画像のまま表示するようにする
2.元ツイートが公式かどうかを調べる

ってあたりかな。

ということで、もふもふ画像に癒やされてきます!

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