傘月いおり

傘月いおり

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相対速度

数年先にあなたもういない 私を残してごめんねなんて言うのだろう どう頑張っても逃げられないし どう頑張っても時間の差を埋められない そんな理が悔しくて唇を噛んだ あなたの時間が止まった後で ようやく私は追いつける  追いつけたなら顔が見たい いつもの調子で笑ってて

    • 逆再生

      「またね。」 なんて、叶わない嘘を吐いた。 分かっているのにまた会える気がして 並んで帰った夜道を独り 逆から辿ってみたりした いつもの如く偶然を装って待っていると思った ずっと変わらないでいると勘違いした 進むから儚く美しいはずなのに

      • ハヤルキモチ

        芸術を全身で浴びたあと、私も作品を編み出したいと必ず思う そんなことを思いはするけど、自分には何もない 自分に何ができるのだろうか。 なんて、悩んでる自分が好きなのだろう 流行りも追えない 何もかもが中途半端 なのに、自分は違うなんて考えている 変わりたいと速る気持ちは 壊れた羅針盤のようにグルグル回る 願っても結局は痛いだけなのに そんな救い用のないわたしの話

        • 水面にて幻

          揺れる水面にあなたを見つけてしまった 話しかけても返事はない けれど静かに微笑んでいて そんなあなたに 「幸せだったね。」と零してみたの 落ちた声雫は小波をたてて あなたをいなくしてしまった いつになればわかるのだろうか 今日もあなたを探し続ける

          眼差し

          俯くことばかり増えた 冷たい季節に気持ちが落ち着かない。 厚着をしていたら、返って心を閉じ込めてしまったみたいだ。  こんな気分が続くなら、 いっそのこと 「うつむくひと」っていう現代アートにでもなって日の目を浴びたい。 そしたら難解だって目を閉じたあなたも。 私のことを分かろうとしてくれるでしょ? 振りでも構わないからさ、私だけを見て。溢れさせて。

          ひこうき雲

          消えていく。 まっすぐな想いも 空に混じって、いつかは溶けていく。 払いきれない鈍色のわたし。 濁りはいつか晴れるだろうか。

          袖口

          離れないように袖を引く 私にできるのはそれくらい 実った春に薄着のあなた 袖にも愛が滲んでた 枯れてく冬に厚着のあなた 袖にはあなたを感じない 私に勇気があったなら この手で温度に触れられたなら また来る春にあなたが芽吹いてくれたら

          ふしめ

          節目が嫌いだ 年を越そうが、卒業しようが生活は続くから。 節目を境に変わっていくのは確かだが、この先も生きねばならないのかと思うとどうにも嫌になってしまう そんな節目にはよく写真撮影を強要されるもので、伏し目な私がピースをしている。嫌いだけどちょっとは未来に期待しているご様子。

          シンクロ

          「想いの蝋燭を小さな火で灯していたが、時間と共に溶け切ってしまった。溶け出た想いは足元で次の萌芽を待っている。」 5年も片想いしていたの心境です。 その人にただ縋っているだけかもしれないが、忘れられない。 思い出しては、想いが溶け切る前に吹き消せればなと感傷に浸ったものです。 でも、過去の人を思い出す時、その人もわたしを思い出しているらしいです。本当でしょうかね? 本当なら嬉しいなって。

          未だ来ず

          変わらない過去に足を取られている。 後悔という蔦が足元から巻きついて、身体を支柱に絡まっていく。 しだいにわたしは動けなくなり、何も見えなくなっていくだろう。 わたしはきっとそのまま朽ちる。 私を救ってくれる人は現れるだろうか? 多分、ない。これからもずっと。 訪れない未来に手を伸ばしてしまう。

          つぎはぐ

          時間で記憶を継ぎ接ぐ 記憶があなたと継ぎ接ぐ でもあなたとわたしは上手くつながれなくて 残ったのはあなたの記憶だけ

          煙夢

          1人の時間が好きだ。 特に食後に訪れる空白の時間のために生きていると言っても過言でない。 当然食べること自体も好きだ。 食事中には味付けのことや自らの所作に関して意識が向いて新鮮さがある。食事後はとりわけ幸せな未来のことがぼんやり浮かんできたり店内装飾の世界に入り込むことができて好きだ。 煙のようになびいた心地で微睡んだ時間。 「次はジェラートが食べたいな。大福でもいいな」とか「西洋の街並みを感じるな。道の真ん中に堂々と寝る猫ちゃんになりたい」みたいな夢心地。 でも、最

          あなたは光。7色すべてであなたである。 わたしは水晶。光はわたしを輝かす。 わたしはあなたを見ていたが、あなたはわたしを通ってすぎる。 わたしを通った光は分かれる、赤、青、黄、緑いずれかに。 ホントに観たのは、その光。 あなたじゃなくて、その虚像。 わたしが選んだ眩さを、あなたと思ってひとしきり。 わたしに色があったなら、あなたを留められたなら。 影でもおぼえてくれているなら。