見出し画像

帰国前日〜肩を張らずにフランス(日本編第18回)

日一日と出発日が迫る今の感覚は、クリスマスや正月元日を待つそれと似ている。到達点としての日時が決まっていて、そこまで期待と不安の高まりを感じながら、息をこらして残りの時間を過ごす。独特な緊張感。来て欲しいような欲しくないような。

今生の別れではない。今生の別れのつもりで毎回この時を過ごす。今のコンフィギュレーションのまま帰国することができるのは、この後何回あるだろう?焼き付けられる限りのイメージを目に焼き付け最後の荷物の点検をする。自分はそれほどセンチメンタルな方ではない。それでも今回もまた触れられた「普通」が次の機会にあるとは限らない。いつ「それ」が来てもいいように毎回の帰国でそれとなく話をふる。メンタルに耐性をつけておく。なにせ「その瞬間」に居合わせることができるとは思わないから。それも含めて十分に「話をつけて」おく。

重く聞こえるが実際はそれほどでもない。この手の話をする時には意外と笑い声が混ざる。無意識でそうするのかわざとそうしようとするのか。恐らくどっちもあるだろう。

この記事を書いているうちにも「買い物に行くよー」の声が聞こえてきそうな気がする。

この「普通」もひょっとするとこれが最後かもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?