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えっ、水が流せない!?〜肩を張らずにフランス69

まだまだ続く水の話。

皆さんはお宅に居られて水を流せなくなった経験はおありだろうか?

キッチンで、風呂場で、洗濯場で、そしてお手洗いで。食後の皿洗い、野菜のすすぎ、シャワー、お風呂あと、歯磨き、洗面、洗濯と脱水。知らず知らずのうちに水を使い何の心配もなく流している。どこへ消えていくのか気にすることもなくなくなるものだと思っておられるんでは無いだろうか?

日本の大多数の住宅はすでに下水に接続されているだろうから、仮に詰まったとしてもどこで詰まっているかおおよそ見当がつく。業者にしても何十メートルもの管を準備する必要もおそらく無いだろう。

仮にまだ浄化槽システムをお使いの方がいるとしても、何ヶ月か1回の業者による汚水処理さえ忘れなければ溢れる心配はない。

そう。

うちのシステム、« fosse toutes eaux »には至る所に詰まる危険が潜んでいる。何度 « me… »が溢れかえったことか、、、

画像はイメージです

フローチャートで説明すると、まず水を流す場所で一番遠いのがキッチン。お手洗いの直前で枝分かれし、シャワーとセントラルヒーティングに下っていく。シャワーの後は洗面で、ヒーティングの後には洗濯機。この後は家の外になる。枝分かれしていた2本が1本に集結するところに « regard »点検穴があり、もしもの場合に管を送れるようになっている。ここが家屋と浄化槽の中間点になる。すでにキッチンから10メートルは離れている。

一度だけだがキッチンとregardの間で詰まったことがあった。 « bouchon d’air » と業者は呼んでいた。油脂が固まり食材がストップされ動脈硬化のようになる。そこに大量の水が流れ込むと間の空気が「栓」になるという理屈。油脂だけでなく当時使っていた洗濯用の粉洗剤も固まり、恐ろしく強固な栓が出来上がっていた。この時はキッチン直後にある小さな点検穴から管をつっこんで少しずつ栓を崩すということをやって一件落着となった。

家の中での詰まりはケースとしては稀。というのも、日本のご家庭でもやられていると思うが油脂のこびりつきなどを溶かす化学薬品を買ってきてシンクや便器から流し予防対策を講じているから。これが原因で業者を呼んだのも、後にも先にも1回きりだ。

お風呂に入れるこの贅沢

最も多いのが浄化槽から先に水が行かないケース。ここが詰まると専門業者の大きな専用トラックが必要となる。

原因はいろいろ。

何しろ家全体の汚水が全部流れ込むのだから、水溶性でないものもたまに流してしまう。こういったものは間違いなく浄化槽内にたまる。

細かい話になるが、この浄化槽は2部屋に分かれていて、水溶性でないものは1部屋目で引き止められる。2部屋目以降は基本水だけになりドレインへと向かっていく。

非水溶性の異物が原因で詰まることは珍しい(一度だけあった)。多いのは浄化槽2部屋目の出口あたりに木の根が張り出して水を通さなくなること。うちの場合浄化槽が生垣(20メートルはあろうかという楓や白樺)から5メートルも離れていないので根が悪さをすることが多い。

これで届けば簡単なんだが

一番最近では、コロナで閉じこもっていた2020年の4月にやられたのがある。こういう時に限ってこういうタイミングの悪いことが起きる。馴染みの業者に電話をかけると、緊急ということで翌日来てくれた。絡まっていた根っこを取り払い、バイパスになるように穴を開けていった。ついでに浄化槽の洗浄もしてもらった。

さて「水が流せないとどうなる?」の答えはこれで出せたと思う。

では「水が流せないとどうする?」

どうしましょう?想像してみましょう!



「料理」これはまあ大丈夫。

「洗い物」たらいにお湯を入れて外かガレージでする。

「洗濯」やらない。

「シャワー」これもたらいにお湯を入れて、石鹸とタオルで体を擦るしかない。大昔はこうして体を洗っていたそうなので先祖還りの気分になる。

まさにこれ

「小⚫︎」このあたりからデリケートな問題。森の入口で(立ち)小⚫︎。

「大⚫︎」業者が来るまで我慢できれば良いんですけどねぇ。山奥でキャンプをするようなものと考えればいいか。紙とスコップを持って森に入る。こうする他に手はない。100メートル先の隣人はさほど付き合いもないし、わざわざ頼んで300メートル先の知り合いのところまで用を足しにいくのもどうかと思う(間に合えばいいが)。幸いうちには森があるので誰の目にも留まらない。誰にも迷惑をかけない。それどころか肥やしをやることになるので一石二鳥だ(笑)。

ボーイスカウトでの一風景

水が流せなくなるのは、大きな問題とはいえ業者さえ到着すれば解決すること。それがわかっているからさほどの緊急感はない、というより慣れてしまった。「紙とスコップを持って」なんて非日常、普段しないので結構ウキウキしながら森に入って用を足していた。


こういう時にエピキュリアン式の楽観姿勢が役にたつ。田舎に住んでいるとどんな驚きが待っているか想像もつかないことがままあるので。

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