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フルタイムからパートのお仕事に転職しました

家庭の事情などもあって、派遣の仕事を辞めて、もう少し時間の余裕のあるパートの仕事を探すことになった。

条件は、パートであることと、自宅から徒歩か車で10分以内の職場であること。それまではJR通勤で片道40分かかっていた。

しかし派遣会社から紹介される仕事というのは、フルタイムかつJRやバスでの通勤が前提のものばかりだった。たまに扶養の範囲内でのお仕事の紹介もあるのだが、きわめて少ないし、遠い場所であることが多かった。

そのため登録している派遣会社から送られてくる求人案件の中から探すのはあきらめ、直雇用のお仕事を自分で探して面接を受けるところから始めることとなった。

職種もそれまではデスクワークだったがそこには拘らず、自宅からの距離と勤務時間のほうを優先することにして、主に、自宅に近い店舗に掲示されたパート募集の貼り紙やタウンワークなどで探した。

さいしょに応募したのはたまに行くスーパーのレジ職だった。
応募した当日に採用が決まったが、帰宅後、面接時に受けた説明にあった「うちの場合レジ係が品だしなどをすることはなく、レジの人はレジのみです。時間内ずっとレジの前に立っています」という点が引っかかって気になってきた。『続くかなあ……』と不安が湧いて消えない。翌日、申しわけありません……と辞退の連絡をしてしまった。

その後、自宅から車で5分の場所にある雑貨店の店舗内でスタッフ募集の貼り紙をみて応募した。

勤務時間も場所も希望通りだった。
ただ時間帯が、21時閉店のお店で遅番の募集である。

そこだけ悩んだが、平日の午前中にいろんな用事を済ませられるのは逆にいいかも、と思い、おもいきって応募したのだった。

ありがたいことに採用の連絡をいただき、遅番のスタッフとして働くようになった。

入社してさいしょの2週間ほどが研修期間だった。

そのあいだはそれなりに色々あったが、今月で四カ月目に入り、仕事にもだいぶ慣れてきて落ちついている。

ラッキーだったと思うのは、早番、中番のスタッフには主婦が多いが、遅番には皆無という点だ。自分自身も主婦であるにもかかわらず、なぜか居心地の悪さを覚えることが多くて、たとえば授業参観などで子供の学校へ行っても他の保護者さんたちと親しく話すことはあまりない。ふだんのつきあいもない。人見知りというわけでもなく、話しかけられればあたりさわりのない対応はいちおうできるし、愛想笑いもするし、話を合わせることもできる。

だけどそういったことを、三十代半ばごろからだったとおもうけど、ママ友とかそういう付き合い自体を遠慮するようになったのだった。


さて、このたび勤務を始めた職場では、遅番で働くスタッフはほぼ固定で決まっている。

自分の場合、関わるのは三名だけ。

この方々がみなさんいっしょに働いていて安心できるタイプというか他のスタッフの状況にまで気配りのできる仕事のできる方々ばかりなのだった。
そのうえ、よけいなおしゃべりも詮索も一切ない。また、馴れ馴れしくしてくる人もいない。

ひたすらにみな淡々と業務をこなしている。

そうでありつつも、わからないことがあったときは聞くと丁寧に教えてくれる。
高圧的な雰囲気はまったくなくて穏やかな態度であり、口調もみな優しい。

仕事に取り組む姿勢がまじめで誠実さが伝わってくる。

しかも、あまりおしゃべりはしないとはいえ、遅番のスタッフ同士、けっして仲がわるいわけではない。

業務終了後の更衣室では、帰り支度をしながらの、仕事おわりのほっとした雰囲気のなかで、当たり障りのない雑談もあり、たまに静かな笑いも起こる。

全員そろって更衣室から出て、出口の鍵を閉めたあとは、表通りまで雑談しながら歩く。横断歩道の前にやってくるとお疲れさまと言い合い、それぞれ帰宅の途につく。わたしともう一人の車通勤組は、駐車場までの短い距離のあいだ、また少しばかり話が弾む。

そういう、とても大人なひとたちに囲まれているせいだろうか。あるいは業務内容が自分に合っていたということもあるのかもしれないが、とにかく働きやすくて、感動してしまう。

前職とくらべてみると……というか、こういった職場に身を置いたいま改めてふり返って考えると、とんでもないところだったなと……おもう。

プレッシャーを感じさせられない職場という意味では、独身のとき以来かもしれない。


ありがたいことだとおもう。なんだかもったいないというか、こんな幸運なことがあるのだなあ……と、しみじみうれしい。

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