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「日本がうらやましい」と若者は言った

エアコンをかけないと暑くて眠れないけどそうすると体がだるくてしかたがない、この状況がほんとうに不愉快ですね。掃除をしたり洗濯をしたりするにも腕が重たい。厳しい。椅子に座ったら居眠りをしてしまう。しかしわたしは力を振り絞って映画の予約を入れる。今日いっておかないといけなくなる予感があるから。大好きな安部公房の「箱男」の映画化。大好きな、は安部公房にも箱男にもかかっている。原作原理主義であるわたしは好きな原作の映画化などはいっそ観ない、という選択をおおいにするのだが、箱男は不安もかなり大きいが期待もそれなりにあった。観た感想としては、観ておいてよかった、安部公房大好きな人たちによってつくられた映画であると思う、安部公房はすげえってことは確認できる、しかし。しかし、という言葉が続いてしまう感じだった。

映画を見終えて、友人と会合。友人がバーで隣り合わせた若者にライターを貸したところから会話がはじまる。韓国人の20代の若者。9月から兵役があるためその前にと日本に旅行に来たのだそうだ。兵役のない日本がうらやましい、という。生きる国も文化も違う彼がどんなことを思っているかは知りようもないが、日本の旅の最後に話ができて光栄だった。日本のアニメの聖地巡礼をしてきて、新宿御苑がクローズしていたのが残念だった、というので、わたしは新宿御苑の隣にある高校に通っていて、友人が壁を破壊してつくった穴から新宿御苑に入って遊んでいたんだよ、と話したら、彼は翻訳アプリを駆使したのち「おそろしい!」と叫んで笑った。

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