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階段をのぼっていくと出口が滝の裏側

先日のソニックマニアでたいへんお世話になった友人とお礼のランチ。わたしのなかでは東京一おいしいカレーを食べに行く。開店時刻少し前に到着すると、友人が先に並んでくれている。お世話になったお礼だがやっぱりさらに恩を重ねてしまうな、いいひと、と思った。期間限定で塩レモンラッシーというメニューが手書きで貼り付けられていて、もう字面でうまそうなので注文して飲んだ。

友人もNetflix「ボーイフレンド」を観たというのでその話や、そのほかの話をして解散した。

夜には送別会が設定されていたので、それまでどう時間をつぶそうかと考えてシェア型書店に行く。売主がつけたであろう、ふせんがたくさんついたままの本を買うことにした。小林秀雄全集のうちの2冊をうっかり手に持っていて、我にかえって戻す。教養を身につけたい病を発症してしまっていた。読みたいのはほんとうだが、少しお預けにしておく。上階のカフェに入り、買ったのではない持参の本を読みふける。書くことについての高橋源一郎の「入門書」を読んだら、行き詰まっていた書くことについて恐ろしく深い問いを投げかけられて、おいこれのどこが入門書なんだと思った。わたしの知らない「わたし」を深く深くダイブして呼び覚まさないと、書けないんだな。

地下鉄で港区の送別会会場の駅に赴き、まだすこし時間が余ってるから洋服でも見てぶらぶらしようかななんて考えながら階段をのぼっていくと出口が滝の裏側みたいになっていて、こんなの人が歩いていい世界じゃないと思って即きびすをかえした。地下にフードコートがある駅でほんとうに助かった。ジンジャーエールを飲みながら時間まで待って、再び出陣を試みたがやっぱり滝の裏側だった。でも時間だから行かなければならない。店は出口から30秒で着くし、学生のころバイトしていた街で行くべき店も把握していたのに、なんか豪雨のせいで磁場が狂っていたらしくわたしは道に迷い水溜まりと化した表参道を水をかきわけながらぐるぐる徘徊するはめになった。あとになって考えると出口を間違えてて、イッセイミヤケ側に出てるつもりがコムデギャルソン側に出てしまっていたのが敗因だった。こういうときいつも心底、わたしばかなのかな、と思う。送別会は同世代から若者までいて、とても楽しかった。

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