10代から20代初頭にかけての愚かな恋の答え合わせ

出かけるきっかりの時間に仕事を終わらせて飛び出していく。きっかりの時間に終わる、というのはわたしからすると快挙である。週に一回の筋トレは、怠惰なフリーランスであるわたしが将来にわたって自力二足歩行をつづけるための最後の砦。体調を崩し仕事も詰まり気味だったここ数週はスキップしてしまっていたので、今日はなんとか行きたかったのだ。もう20年近い付き合いである、もとボディビルダー米国のなにかの優勝者、のトレーナーさんはほんとうに辛抱強くわたしにトレーニングにきなさい、と言い続けてくれてありがたい。この人がいなければわたしは今ごろ人間のかたちを保っていられないほどの筋肉量だったと思う。

筋トレを終え、そのまま次の約束に向かう。なかなか予約を取れない人気店から暖簾分けしたお店の席があるんだけど行く?と声をかけてもらって、いきますいきます、と二つ返事。わたしが高校1年生のときに2年生、3年生だった先輩とぜんぶで4人の宴。会うの高校卒業いらいですよね、というひと同士もいて、昔話に花が咲いた。10代から20代初頭にかけての愚かな恋の答え合わせ、一回だけならめちゃくちゃ楽しいね。

席をとってくれた先輩はむかしっから音楽好きで、いまはおとなの財力を遺憾なく発揮して週2ペースかってくらいライブに行っている。さいきん行ったライブの話などをしていたら「あ、おれVaundyとれたよ」と言う。「え!すごいですねえ。いいなあーくそう!」と羨ましがったら「ん、あげるよ」とクールに言うではないか。すこし前にわたしがVaundyのチケットがちっとも取れなくてむしろVaundyが憎い、と愚痴を吐いたのをおぼえてて、特にわたしに何も言わずに毎回チケットを申し込んでくれていたとのこと。「別におれはそんなにだから、おれも行くかぜんぶそっちに流すかはこれから考えるけど」。なんだその親切&スマート。こういうことをするくせに、別にわたしのことを落とそうともなんとも思っていないところがこのひとのむかしから恐ろしいところである。ともかく、ほしいものはほしい、とふだんから口に出しておくことは大事だなと思った。わーいほんと楽しみ。


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