離婚して中性脂肪が減りました

睡眠と覚醒のペースをがたがたに崩す。極端に短い睡眠時間で作業をしていたというのもあるけど、仕事でちょっと毒の沼にはまってしまったというのもある。どちらに足を踏み出しても、ガリッ、ガリっと画面がへんな色に点滅してHPが減る、あれです。どんなに穏やかにことを進めようとしても、いつの間にか足元が毒沼になっててほんとうに恐ろしい。半ば無理やり足を引き抜いて脱出したあともひどく疲れてしまって、しばらく身動き取れなくなる。

決算の資料はようやく揃った。資料とかいっても大半、ほぼ9割は領収書だ。インターネットで買い物をすると、さいきんはほとんどペーパーレスにて領収書が紙で添えられることもなく、Amazonの注文履歴リストをスクロールし該当の注文の「領収書」欄をクリックし⌘Pを押してPDF保存を選択、購入日をファイル名にして保存、を繰り返す。もう永遠の時を思うほど繰り返す。Google ChromeにはAmazonの領収書を一括で印刷するプラグインがあり見つけた時は飛び上がって喜んだのだが、これはこれで私用と業務の別をつけるのに余計に時間がかかってけっきょく諦めた。こんなのほんとうにみんなやってるんだろうか。嘘なんじゃないか。みんなこんなことやってなくてわたしだけ知らないだけなんじゃないか。経理の神さまは、そんな非効率極まりないことをやっているなんてあなたはほんとうにばかですね、と残酷に笑っているのではないだろうか。

そんなふうに永遠に限りなく近い時間を領収書収集に費やしたおかげで仕事は押しに押し、毒沼に踏み込んだせいでHPは激減、虫の息で金曜日を終えて土曜日を迎え、昼で仕事はおわった。

友人がBDに焼いてくれた映画「さんかく」を観る。吉田恵輔監督はなんでこんなに情けなく愛おしいにんげんを描けるんだろう。最新2作は死による喪失とそれを取り巻くにんげんを描いているが、「さんかく」は3作目かな。このころは恋によって狂うひとがテーマだったんだな。「BLUE」は人生をかけて取り組むこと、それがうまくいかないことがテーマだった。

夜はサムギョプサルを食べながら、離婚の際の公正証書作成はどうやればいいのかについて友人に体験談を伝える。友人は周りに離婚の意向が高まってきたと話をしたところ、おもにお金や生活の面で、そのまま離婚せずにやりすごしたほうがいいのではないか、離婚するにしても数年後の有利なタイミングを待ったほうがいいのではないかと言われるのだそうだ。わたしは長く別居をつづけてきた末よくわかんないタイミングで離婚を決行し、離婚ビフォーアフターで生活はひとつも変わらなかった、しかし離婚届を提出した瞬間に目の上のたんこぶが取り除かれて視界が一気に開けた気がしたんだよ、もうそれが当たり前になってたから意識してなかっただけで、逆大リーグボール養成ギプスのようなもんだと思う、何年待てば有利とか、やり過ごしたほうが利口とか、そういう考え方もあるかもしれないけど、わたしはそうは思わない、ずっとずっと、わたしは誰かと家庭を営む能力に欠けているんだ、もう誰とも愛し合えないんだ、と、かたちも定かでない婚姻関係の幻影に思いこまされ続けてきたんだ、離婚してわたしは人間の尊厳を取り戻したんだよ、それを5年も先延ばしになんかしないほうがいいと思うと話をした。あと離婚したとたんにするすると体重が減って、中性脂肪が約44%減りました。グラフにするとこうだ。トクホとれそう。

【中性脂肪の経年変化】※N=1

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