きれいごと、押し通してこ

友人に声をかけてもらってRAINBOW PRIDEの練り歩きに参加してきた。興味はあってもひとりではなかなか腰が上がらないので声をかけてもらえるのはとてもありがたい。待ち合わせ場所に到着し、植え込みの縁に腰かけると2秒もたたないうちに大きな蟻がわたしの白いシャツの上にいるのに気づく。蟻は自分と同じサイズの蟻の亡骸を抱え、迷いなくわたしのからだを上に上にとのぼってこようとする。亡骸を抱えてなにをそんなに急いでるんだ。その先には何もないのに。あんまり勢いがよいのでびっくりして動画におさめる。すくいあげてそっと植え込みにおろすと、蟻は変わらぬ勢いであっというまに彼方に去っていった。

練り歩きの集合場所は代々木の体育館だ。待機している人々を見ると揃いのTシャツを着込んだかたまりがいくつかある。名だたるコンサルそろい踏み、あのへんはコカ・コーラ、サントリー、アサヒ、なぜか飲料メーカーが固められて出場していく。出展ブースを見れば製薬、各種メーカー、自治体に大学、じつに多彩な企業や団体が出展している。電通のブースはさすがにうまい拡散力がある仕上がり、ソニーのブースはカメラの機能が素晴らしすぎて肌が完璧に補正された写真をもらえる。企業にとってここに名を出すことがソーシャルグッドなことである、というところまでイベントを育ててきたいろんな人の思いを想像すると、泣きたいような気持ちになる。

代々木公園から出発して公園通りをくだり、明治通りに出て原宿に向かい、代々木公園の反対側まで歩く。車道を歩いていると、歩道からいろんなひと、ほんとうにいろんかひとがわたしたちに笑顔で手を振ってくれる。わたしたちも笑顔で手を振り「HAPPY PRIDE!」とことばを交わす。ふだんわたしが何をできているっていうんだという気持ちもありつつも、まったくの他人同士がこうやって笑顔を交わすことこそがだいじなことなんじゃないかと思う。きれいごとと言われればそうかもしれないけど、それでいいと思う。わたしはきれいごとを押し通したいね。

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