12/12~18

月曜日
煙草を吸う手がかじかむくらいに冷え込んできた。仕事終わりに新しいノートを買って友路有で開く。何か書きながらの読書はテキストが文字列として流れていかない安心感と、水に包まれながら浮かんでいる気持ちよさがあった。
「わたしの頭は水で満たされているわけではないので、言葉が「浮かんだ」と思うのは不適切だけれども、言葉は濁った池の水面にふいに浮かび上がってくる鮮やかな鯉の背中と似ている」
『文學界』1月号の多和田葉子「わたしのボロット」が完全に面白い。
主人公の思考と状況設定は歪なのに、機械のような「ソレ」と「わたし」の間で言葉が思考を進めていくのが、人間の生活に最も相応しい時間のような心地よさとスリルが同居しているようで面白い。
「三つ指ついて」~「3足のわらじ」~「三行半」と続く言葉遊びが、三行半=婚姻に関する言葉ということで、「ソレ」との関係を俯瞰してみようと「わたし」が試みるまでつながるのが、う~ってなる。
「わたしはこちらの反応に合わせて相手が変化していくのが苦手だ。相手に合わせて変化していくようにプログラミングされているのは機械よりむしろ人間なので、わたしは人間が苦手ということになる」

TVerで生配信された『THE W』小説の世界から抜け出すのが惜しくてBブロック後半までそっぽを向いていたのだけど、Aマッソの蝶々がやはり気になって、本を閉じた。
予選ステージでのネタは、2回は見たことのある電話対応ネタ。紹介Vでネタのブラッシュアップを意識したと加納が話したように、最後に見たときより良いボケが増えていた(上司を呼び捨てにして啖呵を切るためだけに受話器を持つところ)おとなしく普遍的な話題を静観する時間も長いのだけど、加納のボルテージと村上のアホが徐々に大きくなっていく展開を完璧に終わらせていたのが良かった。
まさか映像漫才でまたやるとは。つかみの1000万円、オチの突っ込み台詞優勝ボケ、賞レースに調整している感が強い。ある程度ストーリーがはっきりしたほうが、映像漫才として心があっちこっちいかないためにはよかったのかも。2本とも村上が黒髪にしていたのがよかったと思う。
にしても、平野レミやなすなかとか固有名詞でちゃんと笑う客がスタジオにいるのが不思議な感覚だった。
天才ピアニストの2本目は好きだった。台詞に無駄がなくて綺麗だった。
ネタの途中で優勝はないだろうと思ったおだうえだがまさか優勝するとは。賞レースに寄せないネタが優勝した良い例になるのかもしれない。
おだうえだのことをそんなに知らないのだけど、筋がしっかりしていないものへの興味や期待感を、もう中ブームとともに推進していくのかしら。


火曜日
今日も友路有で本を読む。
『10年代お笑いクロニクル』

水曜日

酔っぱらったまま流していた『ホークアイ』5話がこれまた最高

木曜日
東武東上線に乗るのは久しぶり、冬の薄い日差しが一番似合うのは少し寂しい町か大きな公園だと思う。光が丘の図書館に就活ES時期に通ったことを思いだしたりしながら、成増をブラブラした。

さやわかの書籍にあった、2006年ロフトプラスワンの岡田斗司夫「オタク・イズ・デッド」映像をイヤホンから入れながら天一を食べる。あえて避け続けていたオタクの定義を知性と探求心とする岡田が、消費サイクルや推しの普及によって瓦解していったオタクのリテラシーを憂いつつ、共存を認め合っていたオタク大陸の崩壊と死を語っている。バベルの塔に雷が落ちたように、バラバラになることを自ら選択したオタクへの言及は、あれから15年経っている世界が何も変容していないことからしても、説得力があるように感じる。知性とかの話になっていくのか。

マヂラブno寄席が来年も無観客配信で開催することが発表。野次を飛ばす面白さに日本中が気づいた企画であり、配信お笑いライブが王道になったきっかけにもなった伝説的な企画であることは間違いないが、だからこそ第2回をやるのは、観る者の期待感と演者の照れや義務感みたいなものが捻じれる予感がする。
マヂラブと永野のラジオで永野が「阿佐ヶ谷ロフトみたいなリテラシーが高い箱のスタッフが平気で「マヂラブno寄席みたいな、野次をいれるライブやってください」とか言ってくんのヤバいよな」と話しているのにハッとした。みなさんのおかげでしたの全落で永野が空気をぶっ壊した回を振り返る会話も楽しかった。

今週はインパルス板倉の露出が多い。『あちこち』絶望の兆しチェック回、佐久間ANN0、『~凪咲と芸人~マッチング』。佐久間が3年C組終わりくらいから作っているもので、最近の芸人を切る角度の変遷を追える気がする。今更「絶望」って。「壁が払われるのは作品ではなく知名度」だと若手に話ている様を見ても、もうヘエとは思えないのだ。

MARZのTAMTAM企画に行くつもりが、退社時間が微妙に遅かったので卒論提出を済ませた太郎と伊藤くんと飲むことにする。卒論提出というドラマを学部に友達のいない自分は独り淡々とやって、そのくらいに柿内正午『プルーストを読む生活』を読んでいた気がする。会社員になってから大学の後輩とかと付き合うのってすごくない?仲良すぎるよねーなんて話が出たけど、この前の飲み会を思い出すと自分にとっては普通のことに思う。だからこいつらともまだまだ付き合い続けるのだろうなと。

新しくチャンネル登録した、だいにぐるーぷの企画が面白い。巧みな動画編集技術に余計な説明台詞や演出を引いたパッケージは見やすく、Youtuberにありがちなメンバー認知の欲もない。企画にこだわるからこその投稿頻度も相まっているのだろうけど、100万人もいないことが驚き。


金曜日
バナナマンこれまでの単独ライブが全てNetflix配信決定。
めちゃくちゃいいと思う。

土曜日
「吉本に肉体は関係ない」
「死んでも49日までは仕事あるんちゃう?」
加納おもろい

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