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3/21〜27

月曜日 『シン・エヴァンゲリオン』

8時半からの回に行ければいいと思っていたけど、到底起きられなかった。
そして、目が覚めたら親父から連絡が来ていて、それはあまり良くない連絡だった、アングラでこれを書いている今になっても、まだよく考えられていない。
ものすごい雨風のなか池袋、13時の回で『シン・エヴァンゲリオン』を見た。

オタクや深夜アニメ文化の源流の一つに当たるであろう作品がリブートされたその結末、現役世代じゃないけど見届けてみたいと思わせるのは庵野秀明の内面が濃く反映された物語だと知ってからだ。
作家性を追いかけるうえで、『新世紀』から見返したのは効果があったと思う。デティールは当然わからないことだらけだけど、入場者特典の紙に記載された固有名詞の羅列を見たとき、エヴァ自体がオタク消費される概念から離脱していこうと感じた。それも踏み越えたうえでの完結らしい。
新鮮だったのは、最近自分が目にするカルチャーや作品で感じたことのない、童貞的な概念。ゲンドウの語りも、アスカに対して、「好きでいてくれてありがとう」とシンジが言うのも、どうしようもない童貞感があって、それを僕は何よりもエヴァらしさと感じたのだけど、そういったテーマやニュアンスは、近年再注目されているトピックスとともに、徐々に漂白されかけているのだろうか。それとも、主人公の高年齢化に流行が偏っているからだろうか。

旧劇同様、オタクの開放が目的にあるのだろうなとは思うし、メタ的な撮影現場の場面は印象強い。だけど、それにしては、エヴァに対する愛とか、キャラクターの抱える想いとか、理不尽性とか、無視や排除されたもの、悪く言えば分かりやすいテンプレ感も豊富で、むしろそれが今らしくない独特なバランスに感じた。
で、結局話したい。友達が「エヴァはやっぱりコミュニケーションの物語だ」と書いていたけど、その通りだと思う。友達のいう「やっぱり」がエヴァだと思う。

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『空気階段の踊り場』の新コーナー「なんか怒られました」が最高、これぞ踊り場のコーナー。
もぐらの童貞感や、かたまりの愛情に対する執着みたいなものから派生する番組のグルーヴにぴったり合ったフィクション性。現代社会でマイノリティとされがちな”子供っぽさ”で窮屈な思いをする人たちを意図的に開放する角度が3年目に入った番組の安定感も思わせる。
枠移動前の最終回告知で「もちろん岡野さんが来ます」が嬉しい。これは二年前から僕が「踊り場のグランドフィナーレには岡野さんしかやってこない」と予言していたことだ。

激しい雨が降っていて、今アングラでビールを飲んでいる。

月曜日 庵野秀明『プロフェッショナル』

ジョリーパスタで菊地成孔二冊目のエッセイ集を読みながら赤ワインを飲んだ。本の方がワインより濃い。こんなんじゃ太刀打ちできないからっさと退散しよう、見たいテレビがある。パンナコッタだけは食べて帰ろう。

庵野秀明の『プロフェッショナル』がすごかった。「この男に密着したことを後に公開することになる」というナレーションが冒頭にあったけど、ドキュメンタリーはそうであってほしい。作品に葛藤する庵野や、それを許容するチームの関係性も見ごたえ抜群だった。一番印象深いのは、そもそもなぜ番組出演をOKしたかスタッフに尋ねられた庵野が言った「これ面白いですよ~、とある程度教えてあげないといけない。謎に包まれたものを喜ぶ人が少なくなってる」だ。
映画をはじめとした作品にとどまらず、コンテンツすべてに共通する近年(それでも相当経過したであろう)の潮流、クリエイターが最も葛藤している点だと思う。庵野だって、エヴァの新作だから密着してもらえているわけで、強度を期待されてもいない新しいものが生まれる数は今後ますます、、どうなっていくんだろう。
面白いから売れるシンプルな世界がやってくる(戻る?)ことはどう考えたってないわけだし、結果売れてもその過程でいろいろなものが剥がされた状態になってようやく大衆に届くのだろうし。そういうものがこっち側に「消費」の念を抱かせているかもしれない。

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『テレビ千鳥』の顔面テープ選手権に今田耕司が参加していて、あの年齢特有の貪欲さはやっぱり強いし、スマホじゃなくてテレビに耐えうる何かを感じたのが不思議だった。稲ちゃんが弱かったわけではないのだけど、悪く言えば簡単にキャプチャできる手軽なものにどうしても見える。では情報量の違いはどうなのだと考えると、ちょうど放送された『シンパイ賞』かが屋復帰報告回が分かりやすい。ヒコロヒーの金借り企画同様、芸人独自のチームが動いて配信できる今、この番組は情報量の物足りなさばかりが気になる。

火曜日 『台北暮色』

仕事終わりに新文芸坐で『台北暮色』を見てきた。
着ている人の服装や街の色彩、家族の直接的なコミュニケーション、同じアジア圏とは思えなかった。いつからこんなに暗いテンションの国になったんだろう。
調べると、この映画にインスパイアされて、けもの「ただの夏」のMVが撮られたらしい。


Tohjiとイクトの『シャイニングラジオ』を久しぶりに聞いたら、自分がわかる言葉のみによる会話で、それをもう聴く側でしか触れられない今の自分が心細すぎて泣きそうになった。
イクトがtohjiに対して「忘れてたけど、お前は答えを持ってるやつだったわ。それを説明できるし、伝えることに命かけてるよな」と話していたのに、心から納得した。伝えることに真面目だから、話すのがめんどい相手を避けたいTohjiの気持ちも結構わかる。tohjiが話した、日本でイケてるものは、作ってる人が本気でイケてると思って作ってなくて、外国でイケてるとされているけど、まだ知らない人が多いものを発見して拡大して作ってるだけだという指摘を、自分事として話しているのがめちゃくちゃカッコいいと思う。

アサヒの桜缶が今年も販売された。ラジオを聴きながら、一人座って飲んだ。
桜が咲き始めていて、ここも誰かとの思い出のある場所だと思う。

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水曜日 

マーチンを買った。グリーンを買おうと思っていたけど在庫がなくて、サイズだけ測ろうと履いたネイビーがよかったからそれをそのまま買った。
吉祥寺で一番有名なメンチカツに20分並んで、ゴディバの飲み物を飲んで、卒業証書を持った制服姿を眺めた。
空は一番水色だった。喫煙所はの18時はまだ濃い青空で、これから春が来るのがよくわかった。
いろいろ思い出す。高校生の頃に打ち上げで行った食べ放題の焼肉屋から出たときの気持ちとか。

木曜日 けもの「tO→Kio」

有給。なんもせんかった。
『あちこちオードリー』今田ゲスト回、『水曜日のダウンタウン』「30-1グランプリ」のキンタロー。が面白かった。ニッ社・辻のエロさは相変わらずで、このコンビが『笑う心臓』に出るのが嬉しい。YouTubeで『ひなた坂で会いましょう』とか東海オンエアの過去回をダラダラ見てたらもう夕方で、佐久間さんのラジオ聴きながらチャリでスーパーに行って、ブリの刺身を買って食べた。一本まるっと食べたせいでいま気持ち悪い。

いまタクシーに乗ってる、けものを聴いてる。結局何もしなかったから誘いには乗る。
一日なんの活字も読まなかったから、ポケットに『歌舞伎町のミッドナイト・フットボール』を一応入れてきた、まじないみたいなもん。
電話が伝えた誰と誰がいます、はどっちもいなかった。学生時代の一番下の後輩ももう就活をしているのが寂しい。
後輩が、友達くらい親しい一つ上の先輩たちが卒業してこれっきりになってしまうのではないかと話していて同じくらい寂しくなった。先輩とはもう固いじゃないすか、が2個上である俺の評価らしい。友達とか嘘とかの話をしているうちにそいつはベロベロになっていった。こいついいな、と思う。卒業式だったらしくて、後輩におめでとうと送ったうちの半分はまだ卒業じゃなかった。

日本、いや、東京と名のつく地点からフォースインパクトが起こったとして、その映像が数百年先に見られるのなら、BGMはけものの『tO→Kio』であってほしい、いや、でなくてはいけないとすら思うほどには、正気だ。
散々嘘のことを話していたからガバガバになったいま。キープしたボトルにBKBと書いた。冷ーや水ぶっかけられる金曜日はもうすぐそこ。

金曜日

喫煙所から水色がかった青空。最初は、知らない天井だ、だったのが、またここか、になってしまった、もう。

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佐久間さんのANN、LOFTでやれやという面子がLOFTでも見ねえ内容で嫌だった。サラリーマンの天井、同じ肩書きの自分にすら嫌悪感覚える。
『ファルコン&ウインターソルジャー』2話までをまとめて見た。

土曜日 omocha privacy『neverland』

夕方まで仕事があった。この日の準備にそこそこ時間をかけたので少し緊張したけど、無事に終わって、渋谷で解散。
yabiku henrique yudi のコラージュ作品の展示を見に行って、宮下パーク地上階の居酒屋の繁盛を眺めた。

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気持ちが上がらないので、青山通りを歩きながら『ラジオ父ちゃん』の最終回を聴きながらハイボールを飲んだ。その前にヴェローチェに入って、ロンハーと、せいやがマグロ100貫食べる動画を見たけど全然元気が出てこなかった。
それから、高校の同級生の家に行った。シェアハウスしている同級生同士で組んだバンドが二枚目のEPを配信リリースしたお祝いの日で、彼らに会うのは一年以上ぶり。シェアハウスする3人がそれぞれの知り合いを呼んだ結果、知らないもの同士があつまる、ようはタフな日だから頑張ってとニヤニヤされながら玄関で説明されたときにようやくテンションが上がり始めた。
音楽が流れていて、煙草を吸った。久しぶりに会う同級生や、全感覚祭やりんご音楽祭で会っていた人と再会するみたいなことして、帰った。特別な感じじゃなく、フラッとおいで、たまにあいつとかあいつとかも来ると言われて、俺はラッキーだなと思った。
いつから背伸びしはじめてたんだろうな、と思う一週間だった。

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