灯台下暗し。
遠くの、ずっと遠くにある光を見つめていた。
その灯台は小さな頃から知っていたし素敵な場所だとみんな言っていたけど僕にとっては特別どうということはなく、「まあ好きな場所だな」くらいに思っていただけ。面白いし、不思議な感じはする。だけど、夜になると普通に気味悪くて、毎日行きたくなるようなところではなかった。
いま僕は、その灯台を船の上から見ている。
その小さい粒のような光が何人の役に立っているのか。何人の為にあるのかは分からないけれど、この遠くの海上から見える光の筋に誘われて集まる亡霊のひとりになり、近づけば虚ろな体さえも明るく照らしてくれる光の役目にやっと気が付いた。
その灯台の大きさは、今も変わらない。
離れて見ると輝きが分かるだけだ。
だけど、それも離れる前には分からないことなのだ。
ずっと昔から。
ずっと云われていても。
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