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色んな関係〔ショートショート〕

「愛があるか確かめるために付き合ってあげるよ。無いと思うけど」
天邪鬼な女友達が急にそんなことを言い出すから、変に彼女を意識してしまいそうになっている。
たまたま、昨日の夜、事故にあっただけで、まあ、良くあることさ。けど、ボクだって下心がないわけじゃないから、黙って笑っただけだった。こんなときは、口下手でも得をする。

「何も言わないんだ。当然か」
君が話して、ボクが笑う。それが当たり前だったから、なんて言っていいのか、すぐには分からない。口下手なのは知っているだろと、彼女の顔を横目に見て思った。
「じゃあさ、……煙草吸いたいから。……また来るよ」
そう言って、彼女は椅子から立ち上がる。今日はなんだか、いつも以上に名残惜しそうだ。
待てよ。ボクも一緒に行くよ。煙草きらしてるから、1本くれよな。
彼女の後についてボクも部屋を出ると、何やら家族と話してからボクの家を出た。
空なんか見上げて、お前、今日はなんかヘンだよ。どうした?

彼女は、ボクがいない方を向いて話している。

ボクは、透明人間。
彼女にボクは見えないんだ。

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