子供は正直

 いいなと思う漢字がある。
 見た目が好きなこともあるし、人の名前として並びがいいと思うものもある。それは単純に好みの問題で、複雑に画数が多いと格好がいいかと言われればそうでもないし、でもこの字とこの字が並ぶと良いなみたいなのもある。そして、さらにはそこに自分で書いたときに不格好になる漢字とそうでないものが加わる。

 例えば、「嘘」という字が結構好きだ。口と虚をならべて嘘なんてのもユーモアを感じるし、漢字の形が鏡の前に立つ黒いドレスの女性みたいで雰囲気がある。でもこの漢字は自分で書くと格好が悪くなるから、印刷された文字で見る方が好きだ

 私の場合、アルファベットや数字にこの感覚は無い。なんだろうと思う。漢字を一種のイラストとして見ているのだろうか。
 そんなふうに考えると、学校の教科書に落書きして、漢字のどこかしらの四角いマスの中を鉛筆で塗りつぶしてみたのも意味のある行為のように思えてしまう。〇で囲ったり、足をはやして人型にしたりしていたのは、退屈だったからではなくて、自分の好きな形に整えていたのかもしれない。
 
 
 

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