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偽ったつもりはなく、だた静かに歩く。

森の嫌われ者だった。

あまり話すのが好きではないし、自分の縄張りに出入りされるのも誰かと一緒に過ごすのも得意ではないらしい。
その体は大きく、守られる者からしたら頼もしいと感じるのかもしれないが、それ以外のものが感じるのは恐れだった。
怒りをぶつけることも無かったし、愛想笑いをしたこともなかった。
ただ眉間にシワを寄せ、遠くから眺めていた。

でもそれは、そう誰かが言っただけだった。

虎が一匹、森を歩いている。
今は虎だけが、にぎやかで五月蠅かった森に棲んでいる。

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