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ポエム・エッセイ

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ポエムのまとめです。わたしの頭の中は、こんな感じです。
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#ポエム

バス停

「待っててね」ってキミは 一緒に帰ろうと誘ってくれたのに あなたの望みを想像しなかったボクは ひとつ離して 椅子に座る 並んで歩く この道の 短い時間は好きなのに バイバイしか言えなかった キミの家があるバス停までは ボクのより ひとつ先なのに 夜を埋め尽くすのは星じゃないって知っていたのに それでも 夜空ばかり見てる 今日で最後の帰り道 じんわりと仲良くなんてならないと分かっていたのに きちんとボクの世界で一番を決めるべきだったのに ひとつ離して 椅子に座る

鳥 〔詩〕

その朱鷺は音も無く降りてきた 落ち穂を啄む訳でも 夢のある明日のことを語る訳でも無く 彼は私の 恋心をひやかし笑う 彼が恋をすると雪が降らない 彼の住む街は壁に囲まれていて そこから出るには 其れ相応理由がいるそうだ 朱鷺は笑う この世界を見て 私は悩む この世界を思って 壁を造っても息苦しくて 壁が無いと傷付けられて 誰もいない寂しさと あなたが居なくなる寂しさを 区別できずに 互いに互いを食べることにした 食べ終わるまでは 友達でいよう

〔詩〕夏休みが終わるようなそんな日に

朝晩の風の 碧の匂いを運ぶような風の 吸い込みやすい温度には 見えない雲のかけらが混じって それを 知らずに吸い込むから 胸のあたりが詰まって感じる 台風が運んでくる頭痛 硬めの枕の下に手を入れた圧迫感 茜色の空に キリギリスが宙を見つめ 罪悪感を感じている やり残した夏と 雲が滲んだ秋の空に

想い人と月〔詩〕

なにもない夜に想うひと わたしはその人に花束をわたすことはしなかった この野原に咲く花は枯れても花であるけれど その輝きを増すためにかき集めた花は あなたを喜ばすかわりに いずれ萎れてしまうだろう そのものはもう花ではなく 別の物になり捨てられる 人はその為に生きて 月はその為に輝いているのだ 新月の夜に野原を歩く 星 見える限り あなたを想う

夏の海〔詩〕

太陽と月がいつ交代したのだろう まだ明るい夏の夜に 海に向かう 私はサンダル 「幸せですか?」 なんてあなたは聞いてこないから 誓った通りに生きてる あの日から海は夏を引き戻そうとして 打ち寄せる波に映る月 それとすべての現実を 揺らし滲ませながら 白い泡を作る それで浜辺はできている 透き通るはずの涙が足元を濡らして できればこのまま 過ぎ去らないでと 隠れた太陽の声を唄う それを一緒に貝殻に込める ずっと波の音がしている

何度目の夏か〔ポエム〕

台風前の肌がヒリヒリする暑さと それでも見ていたくなるような 澄んだ空に見つめられている わたしの頭の上は青く 奥に見える山々の首から上には 雲が雲の影を作って見えた 湯気吹くようなその塊の中は 涼しいのだろうか そう思うのは わたしからは もう搾り取る水気が無いのだと 言い渡されるように雲のない 突き抜けた青が 頭上に広がっているからだろうか いや さっき自転車で通った運動部の学生が 首に巻いたスポーツタオルのせいだ 遠く離れた空に 部活動のコールが聞える わたしから出た

この世の主役にはふさわしくない〔詩〕

雨の下ではみんな平等にひとりになる 雫の大きさはたぶんそれぞれの適切な大きさ 太陽から見えないように 雨よ  わたしを隠してください 一人になりたいから 今日くらいは空から消えていたい わたしと雲の間にしか雨は降らないから わたしの部屋はいつも長靴履きなの 雨を知らないくせに雨の日に嫉妬するあなたは 晴れた日におかしなことを考える レインブーツで登山させて 肌を焼かないように日傘をさすように仕向けた そんな陰湿な奴なのに 孤独なくせに穏やかに笑うあんたをみんな好き わたしは

あなたの真似して買ったサイダー

エンドロールみたいな小さな小波が足の指の間をくすぐる日曜日 あなたのとなりで わたしのサイダーがはじけている ギラギラしてる太陽が見下ろす ペットボトルの中身はまだ冷たい あなたのとなりで あなたと同じボタンを押したから 心の中身を隠したままで あなたとキスする日曜日 心の中身がこぼれない 唇があるから大丈夫 サイダーが喉を通り過ぎていったみたい だってこの辺ではじけているから #炭酸が好き

夏のカウント〔ポエム〕

低気圧が朝から眉間を押す ずんと重い ちゃんと眠い、爽やかじゃない日 ねずみ色をかき回したような空に 裸の眼球をさらして伸ばす 起き抜けの背伸びと同じで気持ちいい 目を擦るとき 居眠りしたいとき シャワーを浴びるとき 眠るとき リラックスしたかったら 目は使わないほうがいいのか じゃあ わたしはなんで眼鏡をしてる 日陰の駐車場でセミが寝てる ひっくり返っている 側を通るとジジッと生きている 腹を抱えて笑い転げる 寿命を削りしがみつくのは 今日みたいな日が訪れるから のたう

クルクル〔ポエム〕

今日は休暇日 連休前の週はいそがしくなりそうだから 本屋さん 図書館 喫茶店 プラネタリウム ジャンクフード 手に届く範囲の贅沢がうれしい ゴミ捨て トイレ掃除 風呂掃除 クイックルワイパー 手洗い場しゅっしゅ やってから出かけると気分が楽 ぼくらは 廻る球の上を今日も行く つまらないことを繰り返して つまらない幸せをタッチして かざぐるまを手で回す子供みたいに 風が吹くのは じれったくて待てないから 手で廻す それでも かざぐるまは綺麗。

氷を器に入れるのは難しい〔詩〕

何を信じていいのかわからない そういう人には 自分を信じろと返すのが御決まりで 催眠術なんて無いっていう そういう馬鹿は なぜか 何千人が言い続けた 味のしない嘘に耳を傾ける 誰も信じるなと 乱暴に出した手にはさわらず やさしく殴る 詐欺師に抱かれる 落としたものでも 3秒以内なら大丈夫な気がするのも あさがおの花が 夏休みにしかな咲かない気がするのも 全部真実なのに そういうのは嫌いなんでしよ?

賢い奴の夏休み〔ポエム〕

夏休み 計画なんてたてるほうじゃなかった だから、初日からロケットスタートでつるみたい奴と好きなだけいる 暑くて溶け出した夏の時間 夜も昼もなく あるのは限りある夏 楽しみ方を知ってる奴は 上手いことスプーンを使って食べて 皮は捨てる あいつらがそうしてるあいだに オレはやっと退屈をおぼえた 昼寝もできない空の下 灰色の雲は眠気を誘うのに ミルキーな雲ばかり流れてくる 眩しくてかなわないから あっちへ行けと 扇風機の風を送った

透明反対主義〔ポエム〕

 声に出して伝えたい言葉は目に見えないのに、太陽は馬鹿みたいに照り続ける。そのくせ眩しいから堪らなくて細目にする。世界はいつも細長い。  どうにかしてカタチにしたがる。色を付けて絵を描いて、文字に起こして手紙にする。歌にして皆で震わせて、よく見えるように涙で洗い流したらやっと安心できた気がして覚えていられるんだ。  曇ったメガネを拭く前に、ふと、白く霞んだ世界には知らない何かがあるような気がして手を止めた。  そこに誰かいますか?

否定的思考〔詩〕

外が好きだった 空があって 匂いと風と 楽しいルールをつくって 笑って 喧嘩して 見上げながら反抗して 下を向くのは 不思議なものを見つけたとき 変わらないような気がした日 誰かが街を連れてきた それから 少しして 街と外が一緒になった日 夜が笑って見えて 朝が嫌になった 誰かが混ぜた みんなを騙すために