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ポエム・エッセイ

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ポエムのまとめです。わたしの頭の中は、こんな感じです。
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#ポエム

空模様

空が包んでいるのか、空と一緒に浮かんでいるのか分からないけど、勝手に僕らはその中にいる。 そして、好きなうたを歌って、美味しいものを食べて、誰かを好きになった。 その日の空はとびきり良くて、自分とセットで一日が造られる気さえするんだ。 でも空はいつでも、誰かにとってはとびきり良くて、もっとも悪くて。 勝手に僕らはその中にいる。 雲が動いて、僕らが動いて。 誰かの空を、今は見てる。

いつもの紫陽花〔詩〕

転校初日の中庭に 膨らんでいたのは青い紫陽花 空の色をそのまま透かしたような色 それが わたしの月曜日 優しいキミのいる教室は 次の日からは楽しい わたしのクラス 隣の席のキミはわたしを見て なぜか頰を赤くしていた 二人だけの秘密がすぐにできて 帰りの時間  並んで歩いた火曜日 恥ずかしがり屋のキミは 好きな人はいないと言ってた 紫陽花みたいに笑ってるけど わたしはいつまでも待ってないわ 見逃しちゃったら ごめんなさい また同じ場所に咲くまで待ってれば もどかしいから

想う 〔詩〕

となりに並んで座るのが好き 自分が鳥だって気がついていれば 少し苦しいときも 切り抜いた空を 憧れることも無かったのかも 翼を腕と呼んでいた昨日は 汚れを洗い流して 猿のつもりになっていた 猿が嫌いな訳じゃなくて 一緒にいた猿たちは大好き 誰よりも大切な気持ちに嘘はない でも 上手くハグできないのは 自分の心が 未熟だと思っていたけど 翼でするコミュニケーションとしては やり難かっただけみたい だから今日も並んで座る 切り取った空を見ながら それだけで 嬉しい

ゾンビは不思議〔詩〕

骨に肉を纏って動いているから 意識があるから 食べるから 生きている人だから でも 骨に肉を纏って動いているけど 別な意識があるけど たまに食べるけど 死んでいるらしい 動いていても 魂がある時とない時があるみたい どこが違うのか 笑わなくて 怒らない AIが進化して 人型のロボットが完成したら それはなんだ 肉と骨と笑いと怒りが無い だんだん可哀想になって 好きになって 信頼したら 生きていると認める 魂は無いけど それはいつかくる それは名前で呼ぶ

蒸し暑い〔詩〕

雪はどうして降るのか もし 降らないほうがみんなの為なら 嫌なことがあったときの 涙みたいなものなら それを 綺麗だと言う人がもっと少ないはずで 後悔するみたいにそのへんに積もって 忘れるみたいに溶けていくことに なるべく意味なんかつけない だから夏に降らない雪には それなりの意味があるはずだ 子供のうちは 年に一度の誕生日みたいにはしゃいで 消えていくことなんか気にしないで 跡を残す 大人になった雪道は嫌な事が多いけど 冬なんて大嫌いだとしても たぶん  それを あなたか

キウイフルーツ〔詩〕

特売だったゴールドキウイ 半分に切って太陽を取り出す 黄色のキウイ スプーンで丸くすくって 小さくなった太陽と扇風機の風 飛んでく前に口に入れて Tシャツとハンガーが揺れる部屋で 夏を待つ 黄色のキウイ 空に還すのはもう少し待ってほしい

いつでもいい〔詩〕

忘れることが好ましい そのあとにある 楽しくなって 夢中になって 真剣になって モヤモヤが消えて イライラが消えて ムカムカが消えて 良いことがたくさん待ってる 「忘れられたら悲しいじゃない」 そんなのはナンセンス 忘れられないだけじゃない 悲しくて 怖くて 淋しくて 痛くて つまらなくて 苦しいのは忘れられないから 名前を覚えて 自分を忘れる 数字を覚えて 産まれたことを忘れて ルールを覚えて 世界がおかしいことを忘れてる 自分がいることだけが自然なことだ 最初から

午後の眠気と戦うには 〔詩〕

ちいさな世界で話していてる それは全く聞こえなくて 昼過ぎで眠たくて 窓を開けても 暑くて 寝 その話がたとえ 面白くても つまらなくても 難しくても 簡単でも 賢くても 何にも聞こえない 洗濯物を乾かすキュレーターの音がうるさいから やらなきゃいけないことをやっと考え始めたから さっき食べたおやつの後味がイマイチだったから 歯医者で治療中の削った歯がずっと気になるから 何か理由を探してこの部屋から抜け出したいから ね でも そんなちいさな世界から 空耳みたいに笑い声が

「響く」 〔詩〕

名前の分からない楽器の音がして 気持ちよく聴こえる 空気が震えて 空が震えて ずっと遠回りしてボクの鼓膜が震えているのに どうしてか先回りしてくれる ボクがその音を聴くときは 絶対にその音が先に存在しているから とても安心していられるんだ 変に気を回したり空気を読んだりしなくてもよくて 音が先回りしてくれる からっぽのボクに少し何かが注がれて 後から後から注がれて こぼれ落ちたら また注がれる 誰の歌かわからない歌声がする 勉強嫌いのキミは そんな難しい言葉をスラスラ覚え

季節外れの焼き芋探して

 思い入れの無い街に、想い出がある。厄介なことに、楽しい想い出だ。  学生時代にあんなに勉強したこと(それほど勤勉ではないが)は使わない物からどんどん忘れていく。国語辞典みたいな薄い紙の分厚い本の中に隠れてしまって、もうどのページにあるのか探す気にもならないことだらけだ。  一方の想い出の方はというと、そんなことはなく何十年も跨ってさえいない自転車に乗れるから不思議である。気になるのは、自分の身体のサイズと重さ、あとは可動しなくなった関節に戸惑ってしまうということくらいだ。

落書き禁止ノート〔詩〕

好きなモノに囲まれてるはずだった 秩序ある好きなモノ そこから消しゴムで擦って すこしは大人としてマシな自分にと 毎日 はみ出して見えるところを擦る 好きなモノが消えちゃった 必要な洋服だけのハンガー 今読んでる本 いつも使うコップ 絶対着ないTシャツがほしい 内容を全部知ってる本がほしい 誰かのためのマグカップも 使い難くて格好いい抽斗も いつ撮ったかわからない写真も みんな消しちゃった スッキリした キレイになった カラッポになった 明日に価値があって 今日にはそ

日常が摩耗してる〔詩〕

街を見ることが少なくなって それじゃ寂しいから買った         スケッチブック こんなに立派な眼があって      眼鏡までかけているくせに 小ぢんまりした範囲のおなじ色を見る 自然が一生懸命ページをめくり     ボクらをあやしてくれるから 甘えん坊が天井だけみてる ベビーカーを乗りこなし スケッチを集めに行ってくる 紙芝居が始まって映画になる 落書きがいつの間にか絵本になる なんにもなくて写真一枚とれなくても 疲れて眠るなら夢が見られる 息をすると苦しく無い

宇宙人なんかいなくてもいい〔詩〕

今すぐに走って部屋を出て 太陽の時間が終わるまで  目一杯 季節楽しむのは セピア色を取り戻したいからじゃない スズメたちには ゴメンだけど キミたちのことは構ってられないの 自分勝手をいうようだけど はやく私の景色になれ 音も 風も この世界も 全部 私のためのもの そんな全体個人主義でみんな生きていれば きっと楽しくまわるって 好きだった人が言ってたから 私だけでも騙されてあげるって思って それは性善説を信じてる  お人好しを好きになった過去の自分のせいだから だから 

小春 (詩)

曇りの日に馴れたボク達は たまにある晴れ間に喜び 日照りが続いたら 曇りの日を懐かしむ 肌寒いくらいの日陰の風 薄暗い照明みたいな雲の上 透けている太陽 こんな日は歩きたいよ やっぱり眠たいよ 玉ねぎを切って 失敗して親指切って 薄皮の下に赤く滲んで 何故か嬉しい冒険心 こんな日は歩きたいよ やっぱり指 痛いよ そりゃあ なるべくこんな気持ちでいたいよ