元気がなくても食わねばならぬ【うつ飯】

抑うつ状態になると、日常の色々なことができなくなる。
気力が枯れ果てているせいもあるが、そもそも頭が回らないのだ。

それでも生きねばならぬ。

夏には大切な友人の出産が控えているし、周りの人に迷惑はかけたくない。
何より「生きていてくださいね」と指切りした友人との約束を、簡単に違えるわけにもいかない。

そんなわけで、生きねばならぬ。
生きるためには、食わねばならぬ。

まぁ人間、一週間やそこら食べ物を口にしなかったところで、すぐに死ぬものではないのだけれど。
それでも餓死と、抑うつ状態からの回復とのどちらが早いかといえば、恐らく前者だろうことは想像に難くないので。

いつかの自分の、あるいは誰かの参考のために。

動けない最中のエネルギー源となってくれたうつ飯を、この機会にまとめておこうと思う。

うつ飯の条件

抑うつ状態の時は、元気がない。
動こうという気力が起きないのはもちろん、既に書いたように頭も回らないので、決定や判断が恐ろしく困難になる。
そのためうつ飯は、何も考えずただ黙々と咀嚼すればいいようなものが好ましい。
条件を挙げるならば、

・そのまま食べられるもの
 調理が必要なものは厳しい。
・なるべく均一なもの
 思考制止が強い時は、お弁当のどのおかずから食べるか、カレーライスのどの部分から食べるか、などを考えるだけでも、気付けば数十分経ってしまっていたりする。地味に疲れる。
・味が単純なもの
 これは人によるかもしれないが、味覚や嗅覚を含む五感も、過敏になったり鈍くなったりすることがあるので、複雑な味は違和感や不快感の種になり得る。

こんなところだろうか。
これらを満たしつつ、カロリーが摂れて、かつ炭水化物以外の栄養素も摂取できるようなものを思い返してみた。

① フルーツ、野菜

まずはフルーツ。
いちごブルーベリーなどのベリー系は、何も考えずそのまま食べられるのがありがたい。
ビタミンCも豊富だ。
さくらんぼぶどうも、タネの処理が負担でないなら良い選択肢だろう。

バナナみかんなどは皮を剥く必要があるが、比較的馴染み深い果物なので、皮を剥いて果実を口に運ぶまでの動作は、体に染み付いている人も少なくないと思う。

キウイも実は皮ごと食べられるが、抑うつの時に新しいことにチャレンジするのは負荷が大き過ぎるので、素直にナイフで半分にして、スプーンで食べるのが無難だろう。
りんごなしの類も、皮が嫌いでなければそのまま食べられる。
切って皮ごと食べる場合は、くし形ではなく輪切りにして、真ん中だけ食べ残すのが楽だ。
この切り方は、タネの部分が星形に見えることから、スターカットと呼ばれている。

トマトも、そのまま食べられて栄養価が高い。
生食できる野菜としては、ラディッシュパプリカなども比較的栄養効率が良いだろう。

② 干し芋、ドライフルーツ、ナッツ

値段が少々張るのが難点だが、手軽さと美味しさの点では、干し芋は中々よかった。
どうせなら、もっとちゃんと美味しさがわかるときに食べたかったなぁ……という気持ちがないではないのだけれど。

類似のものとして、ドライフルーツナッツなども、もしあれば助けになるだろう。
食事らしいものを食べる元気がないとき、スナック菓子でしのぐよりはずっと身体のためになる。

③ ヨーグルト、チーズ

食欲がない時の食事はどうしても炭水化物に偏りやすい。
そんな中で、そのまま食べられるヨーグルトチーズのような乳製品は、手軽で貴重なタンパク源だ。
血糖に気をつける必要がある人の場合は注意が必要だが、卵と乳製品を主材料とするアイスプリンも、悪くない選択肢だろう。

④ 豆腐、納豆

他に、日本人に馴染みの深いタンパク源としては、大豆製品も助けになる。
豆腐はそのまま食べられるし、片付けも楽だ。
納豆は匂いがあるので、洗い物をきちんとできる自信がないときは避けた方が無難だが、その点をクリアできるならオススメしたい。

⑤ オートミール、シリアル

シリアルの類は、ご家庭によって馴染みがあったり、なかったりかもしれない。
わが家は災害備蓄としてオートミールを常備している。
オートミールは加熱処理済みのものであれば、水につけてふやかしておくだけで食べられる。
食物繊維や、エネルギー代謝に必須のビタミンB1などを多く含んでいるため、同じ炭水化物を摂取するなら、菓子パンをひたすら食べるよりこちらの方が有利かな、と思う。

もちろん、そもそもの摂取カロリーが足りていない場合は、菓子パンだろうが何だろうが、食べられるものをしっかり食べるのが一番だ。

まとめ

上にあげたものは、ある程度日持ちがするし、なんなら冷凍もできる。
トマトなんかは、冷凍したのを半解凍の状態で切って食べると、シャーベットのような食感で意外と美味しい。
気分が落ち込みがちな人や忙しい人は、比較的ゆとりのあるときに買って、いざというときのために備蓄しておくといいかも知れない。(これは半分以上自分に言っているわけだけれど)

そしてここまで書いておいてなんだが、元気がないとき、食べるのがひたすらに面倒くさいときは、何を食べたかなんてことは関係なしに、何か食えてるだけでえらい。
と正直思う。
少なくともわたしはそう言って、菓子パンひとつ食べるのも一苦労な自分を励ましていた。

大丈夫。
ちょっとくらい食べられなくても、すぐには死なない。
何か食べようとしているだけでも、十分よくやってる。

本当にしんどくて仕方がない時は、これだけを胸に刻もうと思う。

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