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電動車両の「電費」について

欧州や中国を発端に、2016年頃から「自動車の電動化」が叫ばれています。また、アメリカでもテスラが大成功していて、9月に開催されたデトロイト・モーターショーでは米国ブランドもBEVやPHEVが主力でした。
日本でも、軽自動車の日産サクラ/三菱eKクロスEVが登場して、大ヒットしています。

そんな状況下ですので「お前は血管にガソリンが流れているのではないか」なんて言われ続けているクルマ好きの担当者も、BEVやPHEVが気になって仕方ありません。

実際乗ってみるとどうなのか

担当者は、3リッター6気筒のターボ車を愛車としていて、電動車とは真逆の志向です(笑) → マニュアルシフトではなくATではありますが。
そんな人が、三菱ディーラーさんのご厚意でアウトランダーPHEVに試乗してきました。試乗させて頂いたのは郊外の一般道を約20kmでしたので、ハンドリング云々とか0-100km/h加速とかブレーキ性能などの限界性能は全く不明で、一般道を流れを乱さずゆるりと走った印象となります。また、十分に充電されていたので、試乗中エンジンが始動することはありませんでした。
その印象はというと、静かでスムースかつシームレスな加速が素晴らしく、こんなパワートレーンは未だかつて経験したこと無し。加減速も右足の動きに忠実で乗り手の意思通りに動かすことが出来、これならそろそろと動いたり止まったりを繰り返す渋滞時も嫌じゃないかも、という印象です。

その後、こちらも乗ってみて下さいというご厚意で、eKクロスEVにも同様のルートで試乗させて頂きました。
こちらの静かでスムースかつシームレスな加速の衝撃は、アウトランダーPHEVを上回るもので、660ccのトルクしかないのでどうしても3,000rpm以上の高回転を多用せざるを得ない軽自動車の騒々しさとは全く無縁の静寂な走りに驚かされました。
また、床下にバッテリーを搭載していることから得られる低重心と、バッテリー重量によりガソリン仕様のeKクロスより200kg重いことが理由だと思いますが、乗り心地もとても良かったことも印象的でした。

電動車両の極上のスムースさは特に同乗者から高く評価されるはずで、家族やパートナーと出かける為の快適な移動空間として最適ではないか、と考えるようになりました。
「環境の為」という大義名分は無くても、電動車両は一般道を走るクルマとしてとても魅力的です。

しかし、どうしても気になってしまうのが車両重量です。

例えば、eKクロスEVの車重は1070kg~1080kgと、前述のようにガソリン仕様の200kg増加しています。これは、体重70kgの人が84kgに太ってしまったのと同じ比率の増加なので、走ることに必要な体力やエネルギーが相応に必要になることはイメージしやすいと思います。

ところが、各メーカーの電動車両を比較してみると、重いクルマ = 効率が悪い とは言えないことがわかりました。

電動車の電費を比べてみると

BEVやPHEVでは「一充電走行距離」に注目しがちですが、ガソリンエンジン車の燃費に相当する電費はどうなのか、も気になるところです。
ちなみに、電動車両の国土交通省審査値「WLTCモード」では、例えば「150Wh/km」と、WLTCモードで定められた条件で1km走行する為に必要な電力を表記しています。ガソリンエンジン車で一般的な20km/lというような1kWhの電力で走れる距離という表記にすると、150Wh/km = 6.67km/kWhとなります。個人的には「6.67km/kWh」の方がイメージしやすいので、WLTCモードのカタログ値を換算して比較してみます。

・三菱 アウトランダーPHEV (Mグレード) :  4.4km/kWh
・日産 サクラ/三菱 eKクロスEV : 8.1km/kWh
・トヨタ bZ4X/スバル ソルテラ(FF) : 7.9km/kWh
・トヨタ RAV4 PHV : 6.4km/kWh
・トヨタ プリウス PHV : 9.3km/kWh
・日産 アリアB6(FF) : 6.0km/kWh
・テスラ モデル3(RWD) : 7.1km/kWh
・メルセデスベンツ EQA250 : 5.6km/kWh
・ボルボ XC60 Recharge : 4.3km/kWh

なんと、メーカーや車種毎に全然違うことが判明しました。
また、BEVとPHEV共にトヨタ系の電費が良くて、プリウスPHVは9.3km/kWhと日産 サクラ/三菱 eKクロスEVより15%も良い値となっています。
電動車両は航続可能距離ばかりが話題になっているので効率は見落しがちですが、WLTCモード電費の比較は意外な結果になりました。

初代プリウス発売から25年。
トヨタの電動化は遅れているなどの意見が多いようですが、世界最高峰の効率で走る電動車両を量産していると言えそうです。

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