「経済は世界史から学ぶ」 茂木誠

最近はコロナで在宅→家でハウスメイトと談笑→気づいたら夜という悪か良かわからない循環の生活にいたためあまり読書ができなかった。緊急事態宣言が東京で解除された今、仕事帰りにカフェに寄り本を眠くなるまで読む習慣を心がけている。そんな中でやっと読み終えた一冊がこの「経済は世界史から学ぶ」。

では本編の内容に移る。特に印象深かったのはなぜドルは強くなったのか。アジア通貨危機の真相の二点である。

「ドルはなぜ強くなったのか」
ドルが元々の国際通貨として扱われていたポンドから入れ替わったのは第一次世界大戦のあとに遡る。欧州諸国は金の流出を防ぐため金本位制度を停止し、不換紙幣を発行した。しかし、予想以上に長期化した戦争に物資が不足した欧州諸国は中立国だったアメリカから軍事物資を輸入した。軍事輸出ではアメリカのドルが決済に利用され、国際金融の中心はロンドンからニューヨークへ移行した。イギリスを始めとする欧州各国は軍事費用を得るために軍事債権を発行し、その債権はアメリカの金融会社が引き受けた。その時の最大の企業はJPモルガンで、戦中から戦後にかけて莫大な返還金がアメリカに流れ込んだ。こうして世界の国際通貨はドルへと変貌していった。

「ユーロ危機に見る統一通過の限界」
ニクソンショックを受けて先進国は固定相場制から変動相場制へと移行していった。だが、発展途上国の多くは独自通貨を利用しており、暴落の恐れがあるためそのまま固定相場制を維持して安定を保ってインフラを防ぐとともに海外からの投資を促進しようとした。(ドル・ペック制)その後はドル安によって好景気が続いていたものの、クリントン政権がドル高政策に転じたことにより、アジア諸国は不況に見舞われることになる。そのことからアジア通貨の転落を予測したヘッジファンドによってタイバーツは暴落し、大量の失業者を出すことになる。インドネシア、韓国も同様に暴落し、ドル・ペック制を保ったのは香港ただ一つだった。その後タイのチェンマイで開かれたASEAN首脳会談では加盟国が通貨を融通し合う通貨スワップが実現し、日本銀行がその時の保証人としてアジア諸国通貨を保障した。