第7回オモイカネ杯 ふりかえりー!
1. クイズ大会に出ておりました
こんばんは!
特技は言語、趣味は外国語、好きな現象はザクセン2格!
ラテン語たんです。
昨晩は「第7回 オモイカネ杯」に出てきましたー!
…私自身は決勝に上がれず。いい問題揃いでしたねえ……
2. どんな大会かというと
ご存じの方はこの項目は飛ばしてよいです。
以下、公式サイトより引用。理念に激しく賛同して毎回出てます。
3. 他の人の問題を解説してみます!
というわけでいくつか私がときめいた問題を解説します!
まずは今回初出場、水出博雄さんの問題です。聖典~~~!
ギリシア語:Ἐν ἀρχῇ ἦν ὁ λόγος,
(転写:En arkhē̃ͅ ē̃n ho lógos,)
ラテン語:In principio erat verbum,
日本語:初めに言葉があった、
ギリシア語:καὶ ὁ λόγος ἦν πρὸς τὸν θεόν,
(転写:kaì ho lógos ē̃n pròs tòn theón,)
ラテン語:et verbum erat apud deum,
日本語:そして言葉は神とともにあり、
ギリシア語:καὶ θεὸς ἦν ὁ λόγος.
(転写:kaì theòs ē̃n ho lógos.)
ラテン語:et deus erat verbum.
日本語:そして神は言葉であった。
こちら、ラテン語を教えるときによく出てくる有名なくだりです。
ラテン語は冠詞がないので verbum が主語か述語か分からない(のでラテン語を見ただけでは「神は言葉であった」のか「言葉は神であった」のか判断できないのだけど、ギリシア語では ho lógos と主語にだけ冠詞の ho がつくので判断可能!
…語学の道に入り始めた頃には
「他言語介して初めて読解可能ってこと!?」
「そんなのあり!?」
と思いましたが、古典語ってこうなんですよね。
生きた話者が分かりやすく嚙み砕いて話してくれるわけではなく、
残されたもので考えていくしかない。
ラテン語が分からなければギリシア語を読め。原典に突撃しろ。
それでだめならアラム語でもヘブライ語でも。
はー楽しい!!生涯はこの鉱脈を掘るには短すぎます本当に!
4. 今回の優勝者の問題でーす!
今回見事優勝されました三島彩子さんの出題、植物であり地理のやつです!
これ、良問ですよ…!
これを見て皆さん何を考えますか?(出場者は以下を1分でやります)
何らかの植物の何らかの数値。多いのは中国インドと…スリランカ凄いですねこれ。あとは東南アジアもまずまず多い国が続く、あとアジアではトルコが目立つ。アフリカには…東アフリカになにかありますね。
転じて北米は悲しいほどにやせ細ってます、ロシアもほそほそですね…
植物である以上、砂漠と寒冷地であらゆる数値が少ない事は予測できます。
ただ、ロシアとかにも多少暖かい場所はあるので、並みの植物であればロシアやカナダにも多少は生えているはずなんですよ。南端に多少。
そうなると「かなり熱帯寄りの植物」ですね。寒帯(北極圏とか)はおろか、亜寒帯(ロシア、カナダ)ですらほとんど生えない。コーヒーとかお茶とかナツメヤシとか?
そこにきて「アメリカがほぼゼロ」というのは引っかかります。
熱帯のフロリダから亜寒帯の酪農地帯ウィスコンシンまで含み、産業も多様なアメリカ合衆国で生産がほぼゼロ!
普通こんなことないですよ。お米だってビーツだって作ってるのに。
熱帯の作物ならフロリダで山ほど作れるはずなのに作らない…
そうなると文化的な理由ですかね。アメリカ人がほとんど興味を抱かない作物…いや、アメリカ人は興味がなくても輸出用に作るかな…
「アメリカで作らない理由」? すでに圧倒的な産地があるケースかな…。
スリランカ…中国……茶だ!(唐突なエウレーカ)
はい、以上を我々は1分で済ませます。
書き込む時間含めると正味もっと短い。
バナナかコーヒーなら南米もっと膨らみますしね。
解き筋がテクニカルで好きな問題です!
5. 地理の先生っぽい!
こちらも初出場の丈理(ジョウリ)さん。
あー!あー!いいですこういうの!地理の生産品目問う奴!
こういう時にテストの定番なら「インド」とか「ロシア」とか傾向が分かりやすい国が出てくr…モザンビーク!?
極北の島国、中東の産油国、そしてアフリカ…一見して共通項の少ない国々ですがここを一本の線でつなぐわけですね。
私は解けなかった悔しい悔しいくやしい!!!んですが、これらの国の特性と残りの項目から「電力の豊富な国」=「アルミニウム精錬」と連想できるか。
アイスランドは溢れる地熱と人口の少なさ(電力が余る)から。
バーレーンは言わずもがな大量の石油から。
モザンビークはザンベジ川の水力発電から。
アルミニウムにかかる費用の8割は電気代!
なればこそ、遠く北海に浮かぶアイスランドまで原料のアルミナを運んでもペイするんです。ぺーい。
私は苦し紛れにモザンビークの国旗にも誇らしげにチャージ(配置)されているAK-47(自動小銃)を書いてしまいました。
結果としてアイスランドが大量の自動小銃を世界中に輸出する物騒な世界線が生まれました。常備軍すらない国に何させてるんでしょうね…
6. さてお待たせしました!私の問題です
私はこんな問題を出しましたよのコーナーです。
今回は慈悲深い問題ですよ~~!
正解は "It’s (all) Greek to me." 「それは私には(完全に)ギリシア語だ」
"全くわからない言語"、”ちんぷんかんぷんだ” を指す表現で、言語によって違います。ギリシャ人は当然「ギリシア語だ!わかんねえ!」とは言いませんし、ギリシア語が「身近な謎言語」だという言語ばかりではありません。
【 各言語ボールはこんなことを言っています(大意) 】
真面目に訳していくと――
ドイツ語
Das sind böhmische Dörfer für mich.
それ-~だ-ボヘミアの-村-~にとって-私
「それは私にとってボヘミアの村だ」
トルコ語
Bir şey anladıysam Arap olayım.
いくらか-理解できたら-アラブ人-私は~だ
「いくらかでも理解できたら私はアラブ人だよ」
ポーランド語
To dla mnie chińszczyzna.
それ-~にとって-私-中国語
「それは私にとって中国語だ」
フィンランド語
Se on minulle hepreaa.
それ-~だ-私にとって-ヘブライ語
「それは私にとってヘブライ語だ」
オランダ語
Dat is Latijn voor mij.
それ-~だ-ラテン語-~にとって-私
「それは私にとってラテン語だ」
ポルトガル語
É grego para mim.
~だ-ギリシア語-~にとって-私
「それは私にとってギリシア語だ」
ルーマニア語
Ești turc?
お前は~だ-トルコ人
「お前トルコ人か?」
人類は基本的に愚かですから、生まれて最初に見た謎の言語を「謎言語」として覚えてしまい、読めない言語を見るたびに「わからん!スワヒリ語か何かだ!」「なにそのアラビア語www」と言ってしまいます。
少し前にネットで見かけた「グンマー」ネタでも、「グンマーの"現地人"」が話す言葉の字幕としてアラビア文字が出てきたりしていました。
これなど、現代日本人が「読めない謎の文字=アラビア文字」と認識していることの傍証たり得ますよね。漢字とかキリル文字だと部分的に読めてしまう、かといってゲエズ文字やロロ文字はマイナーすぎる。
各国、各言語ごとにこういうのがそれぞれありまして、
それはボヘミアの村の名前みたいだ、まるでアラビア語だ、中国語だ、ヘブライ語だ…。ベトナム語では「それはラオス語だ」もありますね。
ラテン語では「Graecum est, non legitur それはギリシア語だ、読めない」とされ、それが人口に膾炙していき英語圏でも使われたという話です。
6人当ててるのすごい(すごい)
7. おまけその1、私のPR画像
なお私が入る前の背景はこちら。
8. おまけその2
Twitterで先に公開していたので今回の大会には出せなかったものです。
はあん疲れたー。長く楽しい夜を過ごしました。
夜更かしは物思いにふけってしまい苦手ですが、
皆様とわいわいすることで楽しく夜を駆け抜けることができました。
また、こんな楽しい夜を過ごせることを望んでやみません。次も頑張る。
In dolorem nox inducit, et amicis vox reducit.
夜が悲しみへと誘うが、友の声は連れ戻す。
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