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バーチャルタレントの案件はここまで来た ~九条林檎によるホテル宿泊レビュー~

 一般的なVtuberの案件配信といえば、まあだいたいはゲームのプロモーション動画だったり、ゲームに付随するパソコン周辺機器の説明販売だったり、ちょっと変わったところでも大きく分類すれば娯楽やエンターテイメントの枠に属する、各種スポーツ、遊園地、食事、漫画、雑誌などの宣伝や副音声番組など、まあ思いつくのはそんなところじゃないかなと思うのですが。

そんな中、今回個人勢のバーチャルタレント、九条林檎が行ったホテル宿泊レビューという案件は、Vtuberがエンターテイメントの枠を突き破った、ちょっと画期的な案件ではないかと思いました。

これまでもエンターテイメント系以外の宣伝としては、サントリー公式のVtuber燦鳥ノムや、ロート製薬公式Vtuberの根羽清ココロらが、企業系Vtuberとして動画中に自社製品の宣伝を行うという形式こそありましたが。

上記二人の宣伝案件を「Vtuberが行うCM」とするならば、今回の九条林檎の件はもはや「Vtuberが旅番組をやってしまっている」わけで、その目新しさは九条林檎自身が業界初と語る通り、Vtuberの業務先を新たなジャンルに広げた実に革命的な出来事だと思います。

 最近のVtuberの収入源としては、昨年11月の日本経済新聞の報道前後頃から、YouTubeにおける生配信での投げ銭、スーパーチャットに過度な注目が集まっているように見えます。

しかし、その投げ銭で生計を立てられるVtuberは実に本当にほんの一握りであり、またその他の主な収入源である広告収入は単価の変動や広告自体の減少などの影響を受けやすいなど、全体的にメインの収益構造は不安定なままです。

なので、このところのVtuberは主に名前の売れたVtuberになればなるほど、比較的先の収入見込みが立つ収入源として、クラウドファンディング等による資金調達から、グッズ制作ライブファンクラブメンバーシップ、原価が比較的安く利益率の高いボイス販売などの、様々な金策に苦心することになっているように見えるのですが。

そんな中、エンターテイメントの外側から案件を受注することに成功した今回の九条林檎のように、Vtuberにとっての新たな市場を発掘する動きは、Vtuberの将来性に、新たな希望の光を見せたのではないかと思います。

 で、肝心の動画内容についてですが。

 案件としてのPR部分を丁寧に紹介しながら、それでいて心地いいテンポで、カットの丁寧さなども光る、実に魅力的な10分ちょっとの動画に仕上がっていました。

案件先のコンフォートホテルの解説と共に、九条林檎自身の実力とキャラクター性を知らしめるという意味でも、十分素晴らしい出来の動画だと思います。

お時間がおありの方は、宣伝動画だと思わず、Vtuber界初の旅番組を眺めるような気持ちで、ぜひ視聴してみると良いのではないでしょうか?




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