ミッション・ビジョン・バリューの違いを整理してみる。
おはようございます。現役信用金庫マン 兼 中小企業診断士事務所代表の山西です。
経営をしていてよく聞くのが、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」という言葉。
この言葉は、かの有名なマネジメントの父 ピーター・ドラッカー氏が提唱した概念で、頭文字を取って「MVV」と呼ばれます。
みなさんは、この3つの違いを説明できるでしょうか。
言うまでもなく、経営をする上で不変の目的となる「あるべき姿」の設定は重要で、そのあるべき姿を構成するMVVも深く考える必要があります。
しかし、上手に定義づけするのが難しいのが、このMVV。
今回は、経営する上で最も重要な「あるべき姿」を設定出来るよう、この3要素の違いを私なりに明確に定義付けしていこうと思います。
ミッション/ビジョン/バリューの違い
ミッション(Mission)とは
missionを辞書で調べると、上記のような意味が出てきます。
使命は「与えられた任務」という意味なので、結局は(特別な意味を持った)任務のことを指している訳です。
与えられた「任務」ということは、行動のことを指すので、ミッションを表現する際にはやるべきことを「動詞」(Todo)で語る必要があるとも言えます。
また、あるべき姿は、会社の誕生から解散まで常に変わらず存在する概念でもあるため、不変性が必要です。少なくとも1、2年ごとに変わるものではありません。
以上をまとめて、ミッションを端的に定義します。
ビジョン(vision)とは
visionを辞書で調べると、上記のような意味が出てきます。「像」は「すがた、かたち、あり方」という意味なので、(企業の)将来の姿、形、あり方という意味になります。
ただ、この定義だとミッションやバリューとの違いが分かるような分からないような。もう少し考えてみます。
あり方とは「Be」(状態)であり、ビジョンはあるべき姿を構成するので「ToBe」で示されます。この点がミッション(ToDo)と異なります。
また、ビジョンは会社に不変的に存在するあるべき姿を構成する要素でもあるので、ミッションと同じく不変性が必要です。
以上をまとめて、ビジョンを端的にしてみます。
バリュー(value)とは
visionを辞書で調べると、上記のような意味が出てきます。MVVの中で、バリューは最も定義が難しいように思います。というのもミッションやビジョンとのつながりを定義しづらいからです。
先述の通りバリューとは価値観ですが、価値観とは論拠です。論拠とは、根拠と主張の間にある関連性を支えるものです。
論拠という概念は、根拠とごっちゃになって使われがちですが、少し違います。
辞書的には上記のような意味です。この説明だけだとこれも分かるような分からないような。根拠と言えば根拠なのですが、何が違うのでしょうか。
これはトゥールミンモデルを考えると分かりやすいと思います。
科学技術振興機構様の説明にある通り、根拠を基に主張するためのものが論拠です。
上記の例で言えば、「事故発生件数は安全性の基準の1つだから」という論拠があるから成り立つ主張です。例えば、「安全性の基準は事故が起きた時の規模の大きさである」という価値観を持っている人には、この主張は成り立ちません。
この論拠こそ、その人の価値観ではないでしょうか。
その意味で論拠は、隠された根拠のようなものであり、議論の大前提となるものです。お互いの論拠がズレているために議論がかみ合わないことは数えきれないくらいよく起こることです。
バリューをトゥールミンモデルになぞらえて図示すると以下のようになります。
ミッションとビジョンの間にある価値観(=論拠)が「バリュー」なのです。
違いのまとめ
以上、私なりに「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の定義を整理してきました。各定義と関係性をおさらいすると以下のようになります。
以上の定義をもとにビジョンとミッションを比較すると、ビジョンの方がミッションより高次にある概念だと分かります。
企業の決算書をもとに考えると分かりやすいですが、BS(状態)はPL(行動)の蓄積の結果を表しています。ビジョンはミッションを積分して高次になった概念と言えると思います。
ミッション(行動)を積み重ねることでビジョン(状態)を実現できる理屈です。
次回予告
次回は、経営の安定性を上げる「水平的な眼」について投稿します。10月28日(土)投稿予定ですので、ぜひご覧下さい。
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