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数々の苦難の先に生まれた人生讃歌「Arrhythmia」特集

どうも。らすてゃらです。
今回は昨年の6月20日にリリースされたteppeiさんの1stアルバム「Arrhythmia」について超今更ながらお送りします。
ヒップホップIQは低めですが愛だけは込めておりますのでお手柔らかにお願いします。

teppeiさんを好きになった経緯

第一印象としては「プロテインを直で食う人」だったと思います(Black Pepper MillのMVより)
属性で振り分けるなら間違いなくパワータイプ。そういうお方は大好物でございます。
teppeiさんの声、めちゃくちゃ好きなんですよ。「俺もこんな声に生まれたかったぜ」ってマジで思います。
フローも多彩で飽きが来ないですし、ビートメーカーとしてもイケてるし、映像監督としても素晴らしいという。
天はteppeiさんに一体何物与えるんだってくらいですが、その分、若干の天然っぷりで調整されている気もして(笑)その辺りも大好きです。
初めてteppeiさんのライブを拝見したのは2020年の7月25日、華金Vol.51の配信で、とんでもなくブチかましておられました。
本当にめちゃくちゃ喰らったので、あの日以来アーティストとしてだけでなくteppeiさんの人生ごと応援するようになりました。


前置きはこの辺にして、ここからは楽曲について語っていきます。


1.19900402

teppeiさんのツイートによると「コンプレックスやトラウマをぶちまけたポジティブな内容」とのことです。
2020年の4月2日、30歳を迎えた節目でMVが公開されましたが、音源はMVの時より気持ちバイブス高めな印象でした。
衝撃的な描写が続きますが、暗い過去を描くだけではなく「俺は1度死んだ」のところからは力強い展開で素敵です。
「サルベージ」と「逆十字」や「ウィンチェスター」と「陰湿な」辺りは全踏みじゃないけど語感が揃ってるから気持ちいいです。
愛憎が渦巻いてる様を「憎しみを愛で割ったサングリア」と表現してるのが好きですね。
後の楽曲でお金の問題が出てくるので「地獄の沙汰も金次第だが地獄を持ち込むのもまた金だった」は重みがすごいなと思いました。


2.A.I.W.S

不思議の国のアリス症候群について歌った曲。
シブいかつ不穏なトラックがとても好きです。
MVもめっちゃいいですよね。やべー牧師から逃げ惑うteppeiさん。
MVの時と比べると結構変わってる部分があるので聴き比べてみるのも楽しいと思います。
「誰も理解できない追いつけないスピード抜き去るビートの上」はホントに速くてアガりますね。
「闇だろうが省みず突っ込み宮迫」は笑っちゃいました。「省みず」の巻き舌も好き。
2バース目、幼いteppeiさんが布団の中で丸まってるのを想像するとたまらない気持ちになります。


3.spo2

2019年の暮れに渋谷WWWで心不全で倒れた際のことを歌った曲。
イントロの心音のようなバスドラが印象的です。重めのサウンドですが笛がアクセントになってていいですね。
「まだ死にたくないのに 三途の川手のなる方向に」のフローが好きです。あとブリッジの「血中酸素濃度」からのフローも気持ち良過ぎ。
韻的には「天も地もノーサイド」から「心房細動」「ビートライド」「司法解剖」「テンションと体温」と踏んでいくところが好きです。
「ヤバすぎてぶっ飛んじまうから家族の安否をカクニンセヨ」はなんつったらいいかわかんないけどすげぇteppeiさんっぽいなって思いました。


4.Jehovah

宗教2世である生い立ちを歌った曲。
初めて聴いた時の衝撃は忘れられません。このアルバムの中でも一二を争うくらい好きな一曲です。
のっけから「お前の両手から釘を抜きその両眼に打ち付ける」という物凄いフレーズ。「お前」って磔にされたキリストのことですよね。
バースはつらい内容ですが軽快なフローでちょっと中和される感じで「ゲームもねえテレビもねえ 武器持たねえから 遊びがねえ」のところはとても楽しいです。
ピンポイントな話だと「お仕置きはベルト叩き お祈りの横でケツ叩き」の「の」の上がり方が好きです。
「信仰した結果がこれ? 二世信者に余地はないのか?」は切実ですね。正に昨今特に取り沙汰されてる問題。
2バース目の「信じる者のみ助けるとかそれが平和って笑える ハハッ」めちゃくちゃいいです。
「子に親は選べない 環境で変わってく正解」からはずっと名言のオンパレード。
「俺はやる 未来を変える 俺が宗教 これが讃美歌」はホント最高だよなって思います。気付けばteppei教にドップリ浸ってました。


5.Chase the money

お父様の退職金の2000万円が全国各地で何者かによって引き出され、結果として借金1500万円を子供達で返済していくことになったという事件を歌った曲。
不勉強なものでなんの楽器かわからないんですけど金属的な音がいいです。
ブリッジのフローがめっちゃ好きです。teppeiさん高い声もいいよねっていう。
リリックとしては「お前の骨もメルカリで売る」と「Teppei頑張れ」がすごく好きです。
ライブの時、フックで飛び跳ねるのが非常に楽しかったです。


6.panic!

子供の頃に見た夢をそのまま曲にしたそうです。
このアルバムの中で一番ビックリさせられた曲ですね。
ハードロック調のトラックと、ぶっとい発声がとてもいいです。
ケニテツツーマン大阪場所では音が止まる度に「え?なんで?」って感じでチョケてて笑わされました。


7.hanging

teppeiさん曰く「これが僕のアルバムで一番テンションの高い明るい曲です」とのこと(笑)
言葉がわからない状態で聴いたら自殺について歌ってるとは思えないだろうなってくらいの明るい曲調。
テーマ的に重くなり過ぎないように気を付けておられるのがよくわかりますね。
様々な自殺の方法を列挙するブリッジが印象的です。「やめてくれよー」ってガヤ、めっちゃ好き(笑)
「死にたくなるけどガンガンレッツゴー!」はマジで元気出ます。
ライブで両手を広げてお空を飛ぶような動きをしたり、おしりをフリフリしたりしていた姿は忘れられません⊂ニ( ●-●)ニ⊃


8.tattoo

ここまではご自身の経験をもとに作られた楽曲が続きましたが、こちらはteppeiさんの身近な人に対して歌った曲だそうです。
友達が10年前くらいに言っていた「心の傷であれ身体の傷であれ、それが付いてしまったことは変わらないし残っていくけど、それが自分の生きた証やから、それを受け入れて進もうや」という言葉から着想を得て作ったとケニテツツーマン大阪場所で仰ってました。
とても肯定的なリリックで、teppeiさんの優しさが詰まった楽曲だと思います。
トラックもそっと寄り添ってくれるような印象を受けます。この曲のオルゴール欲しいです。
韻としてはフックの頭の「Lonely night 等身大の」が気持ちいいですね。


9.Arrhythmia

つらい過去を回想しつつも「それでも人生は素晴らしい」と歌う人生讃歌。
サウンド的にはアルペジオがたまりませんね。ギターとバスドラとスネアという最低限の編成でフックに向けて徐々に盛り上がりを作っていく構成も好きです。
家族のことが描かれたリリックで、私事ですが父から「お前は頭がおかしい」と言われてケンカして家を飛び出して徒歩で峠を一つ越えた日のことを思い出しました。
我が家は両親が離婚してますし、父から山程暴言を吐かれましたが「恨みツラミ溢れ出すのに思い出す笑った日」という歌詞でまだ幸せだった頃のことがフラッシュバックして泣きました。
ケニテツツーマン大阪場所の時に仰られていた「つらいことを一回受け入れて、横に置いて一緒に歩む」という言葉は大事にします。


10.Patchwork

パッチワークのように、今まで出会った人の要素で自分が成り立っているということを表現した楽曲。
ピアノにギターのカッティングにブリブリのベースに四つ打ちのドラムっていう個人的にどストライクなビート。
「音と言葉はどこも逃げないから」の母音がoの音が続くところは口が気持ちいいですね。
梅田サイファーのメンバーのラインが沢山出てきますが、古武道さんの『Go out Go back』をサンプリングした「隔てた距離 埋まるのはもうじき 出会いに感謝 エホバにおおきに」が好きです。
つらい思いもしたけど全部引っくるめて「おおきに」と言えるのがteppeiさんの強さですね。
梅田サイファーの皆さんの楽曲はまだまだ掘りきれてないところもあって、ディグってくうちにまた新たな発見もありそうなので楽しみです。
アルバムの締め括りとしては本当に最高の曲だと思いました。読後感ならぬ聴後感が非常にいいです。MVも込みで大好きな一曲。



後書き

リリースから1年以上経ってしまいましたが、ライブを拝見して理解を深めたところもありましたので、このタイミングで書けて逆によかったような気もしてます。
これを書くにあたって改めて鬼リピして、ビートもリリックもラップも声も構成も、全部全部めっっっちゃ好きだなと心の底から思いました。
2ndアルバムも制作中とのことですので非常に楽しみですね。
これからもteppei教の伝道師の一人として布教に努めて参ります。
ここまで読んでくださった皆様、長々とお付き合いいただきまして本当にありがとうございました!



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