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泣き寝入り【がっこうぐらしSS】



※暴力や差別的な描写が含まれます。閲覧は自己責任でお願いします。










胡桃「今日も楽しかった!りーさんまたなー!」

悠里「じゃあね胡桃。」


私は巡ヶ丘学院高等学校に通う若狭悠里。胡桃をはじめとした親友達と幸せな学園生活を送っていた。しかし、いつからか私は一人でいる時に他校の集団ストーカーに付き纏われるようになった。


男「お前を俺達のサンドバッグにしてやる!ありがたく思え!」

男「ちっ、見失ったか。分かれて探すぞ!」

男「女の癖に逃げ足早いな…!」


私は建物や物陰なども利用して奴らから逃げるが奴らは手分けして私を探している。


悠里『見つかった、殺される…!』

男「いたぞ!」

男「捕まえろ!」


遂に逃げ場を失いストーカー達に囲まれて捕まった。私は恐怖に怯えて足がすくんでしまう。人気の無い場所に誘拐され奴らに袋叩きにされた。そして暴力や暴言の嵐が私を襲う。


男「逃げられると思ってたのか?」

男「弱虫女は男の言いなりになってればいいんだよ!俺達に服従しないならこの世から消えろ!」

男「やっぱメスって弱えー。いじめ甲斐があるぜ。ガキ孕む事しか存在意義が無い下等生物め!」

男「こいつ犯してやろうぜ。」

男「おお!賛成!」


ストーカー達は私に罵詈雑言を浴びせ、胸を掴む髪を引っ張る等集団リンチする。私はストーカー達から逃げる事が出来ず延々とレイプされ続け、彼らがここから去っていく頃には私は意識を失っていた。


男「この社会のゴミ写真撮ってばら撒こうぜw」

男「あー、メスボコボコにしたらスーッとしたわ。」


奴らは弱者に八つ当たりすることで、自分達の心の弱さによる劣等感や親や先生達から叱られた事で溜め込んだストレスの憂さ晴らしをしていたのだ。彼らは弱者に自己投影し、怒りをぶち撒ける事で自分達の劣等感を埋めようとしているのだ。その後、彼らの手によって私の顔が学校やネットに晒され、私が奴らを煽って誘導したかの様に情報操作されたままあっという間にネットで拡散された。彼らは私に屈辱を与える事で、自分達の優越感を高めようとしていたのだ。


弁護士「貴女の弱さが原因です。貴女みたいな弱者を必要としてくれる人や場所なんてどこにもありません。それが悔しいなら日本から出ていけばいいのです。」


後日、弁護士に相談したら意味が分からない誹謗中傷に遭い、ストーカー達が裁かれる事はなく不起訴となった。私は感情を抑圧する様になり、涙を堪えるので精一杯だった。また、その相談した相手も無責任、というより社会的弱者を忌み嫌っているレイシストだった。


女「自分から誘った癖に訴えるとか情けなっ。何被害者ぶってんのかなー?www」

女「病気アピキモっ。あの子社会にいらないw」

女「現実見ろよ弱虫www」

女「お前が消えたら皆喜ぶよーw」

女「さっさと車に轢かれて死ね。」


私をリンチした奴らの学校の生徒達が私の近くに来て陰口を言ってきた。恐らく彼女達も私が彼らにリンチされた事を知っているのだろう。ただの的外れな罵詈雑言。しかし、その言葉は私の心の傷に塩を塗るには十分過ぎた。こんな事が起きるならもう外に出たくない。存在を全否定された私は心を閉ざし、自室の布団に寝込んで閉じこもる様になりストーカー達にリンチされた事をはじめとしたトラウマや悪夢などのフラッシュバックに苛まれるようになった。


放送「昨日、本校の在校生がよその学校の人達に暴行を受けたそうです。下校の際は極力大通りなどの人が多くて明るい道を通りましょう。」


後日、校内放送でりーさんが集団リンチを受けた事の情報が報道された。


あたしがついていればあんな事にはならなかったのかな…。今何してるんだろう…。りーさんが暴行にあって学校に来なくなった日からあたしは親友であるりーさんを守れなかった罪悪感に苛まれていた。りーさんの事が頭から離れない。早くりーさんに会って話したいんだ。


胡桃「りーさん今頃何してるんだろうな…。」

美紀「あの一件から学校に来てませんね。止むを得ないですけど。」

由紀「早くりーさんに会いたいよね。でも誰があんな酷い事したんだろう?」

胡桃「今度あたしがりーさん家に行ってくる。」

美紀「いきなり家にお邪魔して大丈夫なんでしょうか。悠里先輩は体調を崩してますし。」

胡桃「あたしがりーさんを元気にして見せるよ。」


りーさんのいない学園生活はやはり寂しい。翌日、あたしはりーさんに会う為に学校を欠席してりーさんの家を訪ねた。ドアをノックするとりーさんのママが応対してくれた。りーさん元気にしてるかな。


悠里母「こんにちは。恵飛須沢さん。悠里に何か用ですか?」

胡桃「若狭さんが心配でお見舞いに来ました。若狭さんは元気にしていますか?」

悠里母「悠里なら自分の部屋に閉じこもってて、呼んでも部屋から出て来ないんです。」

胡桃「あたしが若狭さんと話してきます!そのつもりで来ました。」

悠里母「いつも悠里と仲良くしてくださってありがとうございます。これからもどうか悠里と仲良くしてあげてください。」

胡桃「勿論です!こちらこそずっと親友でいさせてください!」


りーさんの部屋に入ると、そこには布団に籠っているりーさんの姿があった。りーさんはあれからずっと布団の中に閉じ込もっていたらしい。


胡桃「りーさん入るぞー。」

りーさんから暫く返事は無かった。あたしはりーさんが心を開いてくれるまで何も言わずベッドの隣で待っていた。そして、30分くらい経過して漸くりーさんが目を覚ました。


悠里「んー、どうしたの胡桃、私の家まで来て。」

胡桃「りーさんが心配で早く会いたかったから学校休んで来たんだ。ごめんなりーさんが大変な時に何も出来なくて。」

悠里「いいのよ、来てくれてありがとう私の為に。胡桃がお見舞いに来てくれたお陰で少し元気が出たの。」

胡桃「あたし達親友なんだし当たり前だろ?それに由紀達もりーさんが学校に来ないから寂しがってるぞ。」

悠里「由紀ちゃん達まで…!」

胡桃「いつかまたりーさんが帰ってきたら四人で遊びたいって考えてるんだ。それにりーさんがいない学園生活はなんか物足りないんだよな。」

悠里「ええ、いつか元気になったら遊びたいわよね。…、胡桃、どうしたの?」

胡桃「ここであたしも一緒に寝るわ。」


あたしはりーさんの心の傷を癒したくてりーさんに添い寝した。今度りーさんに何かあった時は必ずあたしがりーさんを守るって決めてるんだ。


悠里「胡桃が傍にいてくれたら何も怖くないわ。」

胡桃「そうだな、じゃありーさんが元気になるまで一緒にいていいか?」

悠里「別に良いけど学校は大丈夫なの?」

胡桃「りーさんと一緒にいられるなら問題ないぜ。」

悠里「胡桃らしいわね。でもそう言ってもらえると嬉しいわ。」

胡桃「元気になったらまた由紀達に顔見せてやろうぜー。」

悠里「由紀ちゃん達にもまた会いたいわね。」

胡桃「またりーさんに何かあった時は今度こそあたしに守らせてくれよな。」

悠里「そうね、頼りにしてるわ。」


胡桃はいつも太陽の様に明るくて私達を元気づけてくれる大好きな親友。胡桃にいきなり添い寝されてびっくりしたけど、私が傷ついて放心していた時に胡桃が傍にいてくれて嬉しかった。そう、私に何かあった時いつも傍にいてくれたのは胡桃だった。それから私達は眠りに落ち、心の傷は少しずつだけど癒えていった。


一週間後の休日、私の家に再び胡桃が遊びに来た。


胡桃「りーさん元気してたかー!」

悠里「胡桃いらっしゃい。」

胡桃「今日由紀達と海行くんだけどりーさんも一緒に来いよ。」

悠里「今はまだ外に出れそうに無いのよね。他の事なら何でもするから、もう少しだけ待ってくれないかしら?」

胡桃「…、でも、今は行った方がいいと思う。確かに恐怖を感じる事を避けて通るのは決して間違ってないしあたしだって今でもそういう時あるんだよな。けど、家に籠ってても何も始まらないし、悩む暇があったら一度殻を破ってみないか?もしまたりーさんに何かあったら今度こそあたしが付いてるからさ。」


そう言って胡桃に強引に外の世界に連れ出された。でも、そんな胡桃の強引さ混じりの優しさが嬉しかった。胡桃はいつもそうやって私達を引っ張ってくれてたのね。


悠里「皆久しぶり。待たせてごめんねー。」

由紀「りーさん久しぶり!ずっと会えてなかったから寂しかったよぉ〜!」


再会した途端、由紀ちゃんが私に抱きついてきた。やっぱり由紀ちゃんは可愛いのね。その可愛さに私達の心も癒されるのよ。


美紀「悠里先輩お久しぶりです。しかし、無理矢理連れて来られてましたけど体調の方は大丈夫なんですか?」

悠里「外はちょっと怖いけど、皆がいれば乗り越えられる気がするわ。」

胡桃「私が強引に連れてきたんだよな。早くりーさんに会いたかったし。」

由紀「胡桃ちゃんナイス!」

美紀「胡桃先輩のやり方は些か強引だと思いますが、悠里先輩が帰って来てくれて嬉しいです。何かあった時は私達がついてますからね。」

悠里「皆ありがとう。ふふっ、また四人揃ったわね。今日は久しぶりに思いっきり遊びましょうか。」


人は人に勇気を与える力があるらしい。事実、私は胡桃の優しさに勇気づけられた。由紀ちゃんや美紀さんも私が帰って来た事を心から喜んでいてくれている。いつかまた私を集団リンチした奴らに遭遇するかもしれないし外の世界への恐怖心や心の傷が完治した訳ではないけれど失敗してもいいからまずは出来る事から全力でチャレンジしてみよう。そう思えた。