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UVレジンで顕微鏡をつくる

百均でも売っているUVレジンで非球面レンズによる高性能顕微鏡を作れることがわかったので作り方を紹介したいと思います。スマホのカメラにつけて簡単に顕微鏡写真を撮ることもできます。

仕組み

五円玉の穴に水滴を垂らすと、簡易的な顕微鏡になるということはよく知られています。

https://kids.gakken.co.jp/jiyuu/category/try/5-yen_coin_lens/

表面張力と重力の働きで光学的に優れた非球面レンズが自然に作られるのです。ただ、水滴はすぐに蒸発してしまいますし安定しないので日常的に使用するには不便です。

そこで、こんな論文を見つけました。

https://opg.optica.org/boe/fulltext.cfm?uri=boe-5-5-1626&id=284161

ポリジメチルシロキサンというコンタクトレンズなどに使われる樹脂をガラスに垂らした後、逆さまにして垂れる前に熱で固めることで160倍の顕微鏡レンズを安価に大量に作れるというものです。

そこで、アクリル樹脂を買ったりしてみたのですが、液を混ぜたり硬化させるのが色々面倒くさそうで放置していました。しかし、ふとUVレジンでも作れるのではと思いつき試してみたところ、試行錯誤の結果ほぼ安定的に顕微鏡レンズを作ることができるようになりました。

安価に百均の材料でつくれるので、自由研究や学校の理科クラブ、授業などでも活用できると思います。

UVレジンはガラスよりも光学性能がよく、硬度もあって素材として申し分ありません。

材料

  • UVレジン(黄変が少なく透明度も高いという「星の雫」というレジンを使いましたがセリアのハードタイプの透明レジンでも十分でした)

星の雫


  • 透明チューブ (外径12mm、内径9mm 水槽の濾過フィルターに使うものを使いました)透明でなくても良いので同じサイズの管があれば何でも良いと思います。加工しやすいように柔らかいチューブを使いましたが、硬いほうが正確に加工できると思います。

チューブ
  • アルミテープ

  • 黒ビニルテープ

  • 透明プラバン

  • セロハンテープまたは透明テープ

※透明チューブ以外は百均で手に入ります。UVレジンはセリアのほうが垂らしやすくて良いです。

使用した道具

  • UVライト(時間を調整すれば太陽光でもOK)

  • ニトリルゴム手袋

  • 水平器

  • ハサミ

  • カッター

  • デザインカッター

  • スライドグラス(小さめのガラス板であれば何でもよい、百均のスマホ保護ガラスでも良いかと)

  • 鉛筆2本(丸形以外、割り箸でも)(

  • 布ヤスリ

※UV蛍光灯以外は百均で手に入ります。

作り方

準備

・UVレジンが手に触れると、アレルギー反応が出ることがあるのでニトリル手袋をします。
・テーブルが水平になっているか確かめます。
・テーブルに鉛筆を2本スライドガラスが乗せられる幅に並べてテープで固定します。

レンズの作り方


1.スライドガラスの上にUVレジンを一滴たらします。
2.1cmぐらいの大きさに広がるように4秒ほど待ちます。
3.スライドガラスを逆さまにして鉛筆の上に乗せます。
4.UVライトをかぶせて5秒点灯させます。
5.スライドガラスの上からUVレジンのあたりを触って熱を冷まします。
6.もう一度UV蛍光灯をかぶせて10秒点灯させます。
7.もう一度スライドガラスを触って熱を冷まします。
8.先程の固まったUVレジンの真上から2滴UVレジンを垂らします。
9.丸く広がるまで10秒ほど待ちます。
10.先程と同じように5秒点灯→冷却→10秒点灯→冷却で固めます。
11.スライドグラスをひっくり返して8分点灯します。
12.カッターで固まったレジンを剥がします。

レンズの出来上がり
温度によって粘度が変わるので、サラサラすぎて垂れる時は少し冷やすと良いです

気泡が入ったときは楊枝の先で突くなどしてとります。

観察用プレートを作る

1.プラバンを3cm×7cmに切ります。子供用には爪切りで角を落とします。
2.セロハンテープでティッシュの破片を貼り付けます。

チューブをつくる

1.透明チューブを8mm幅で切ります。(チューブの中に丸棒を入れてデザインカッターで切るとやりやすいです)
2.チューブの断面にUVレジンを垂らしてレジンのレンズを真ん中に乗せます。
3.UVランプで5分ほど点灯させて固めます。
  チューブからはみ出した部分はハサミで切ります。
4.アルミテープを細く切ってレンズの端からチューブにとめます。

5.観察用プレートのティッシュを貼り付けたところの裏側にチューブをくっつけてレンズを覗きます。
6.チューブをヤスリで削ったりハサミで切ったりしてピントが合う長さに調整します。
7.黒ビニールテープを巻いて余分なテープをハサミで切ります。

見たいものがあったら、プラバンにテープで貼り付けて裏から見るようにします。
スマホで写真を取りたい時は自撮り用カメラに切り替えて、カメラの真ん中にレンズが下になるようにチューブを乗せて、観察用プレートやスライドグラスを乗せます。


蛍光ランプにいた羽虫
コケ
コケ



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