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50代無職。ゆっくり歩む者は遠くまで行く・・を信じて。

2024年6月8日。
火曜に届くはずの雇用条件の通達がなかなか来なかったので、木曜に痺れを切らして貧乏ゆすりをしながら催促したのだが、金曜の午後になって連絡があった。
通勤に時間がかかるが、条件は決して悪くなかったので内定を受理することにした。

足に爆弾を抱えながらもマイペースに、山間部のフルマラソンをヨレヨレと完走した感じ。
ゴールテープを切った時、そこには輝く笑顔で「やったー!」と叫ぶような歓喜よりも、「もう走らなくていいんだ」というしみじみとした安堵感と自分を労う気持ちしかなかった。
正社員の求人に絞り、3月からボチボチ応募した企業は25社。面接まで進んだのは7社。内定をいただいたのは今回を含めて5社だった。
前回の怒涛の就活とは比較にならないペース。

高卒、専業主婦歴20年超え、パートを含めた転職回数は10社くらい、経歴に一貫性ほぼなし、50代、英語話せず、特技や特別な資格なし。
大股開きで腰に手を当て、快晴の空の下で大海原に向かって叫びたい。
「どうだ!最悪だろう!」
更にはそこに、今回の無職期間8ヶ月のブランクが足されているのだ。
怖いものなしだ!ははは!!
・・いやいや怖すぎる。


前職の外資系企業には、入社したくて入社したくて、男梅みたいな顔で絶え間ない執念を燃やし続けて自分を捩じ込んだ感覚だった。
でも結局他社の内定を蹴って入社してみると、初日の段階で物凄くよくない空気を感じ取り、紅白の腹巻きに白い半ズボン姿で杵を振りかざした「なあにい〜 ⁉︎ やっちまったな!」が、心の中で何度もリプレイされた。
だから今回の就活は、譲れない条件をしっかり持ったままゆったりと歩みを進め、「ボーッと生きてんじゃねえよ!」とチコちゃんに叱られるイメージ、浮浪雲の主人公になったつもりで、たんぽぽの綿毛のように流されるまま風に吹かれてみた。着地した今、根を張って春には花を咲かせたいものだ。

今夜は好きなものを食べた。
久しぶりにチーズ屋さんでチーズを買い、
シャンパンは無理だから安めのハーフボトルのワイン、
ヒレ肉は無理だからトモサンカク(モモ肉)のステーキを。
これで十分満足だ。

いつも「絶対に大丈夫よ」という言葉をくれた母に、感謝の電話をした。
「あなたがのんびりしていたから、実はものすごく心配だった。朝起きた瞬間から夜眠りにつくまで、ずっと`本人に合ったいいところに就職できますように'と祈っていた。」と言って喜んでくれた。
それから、ここでエールをくださった方たちにも感謝を述べたい。
コメントに折れそうな心を支えられ、「スキ」に気力をいただき、こんな私でも完走することができた。
毎夜、窓の外に広がる街の灯りを眺めながら Avicii の「City Lights」や「Waiting For Love」を聴き、みんなに「ありがとう」と呟く日々だった。
深夜になるとぬっと現れる、囁き女将ならぬ呟きオババ。


白い花の髪飾りをつけて「こんなに最悪な条件でも内定を獲得できたのだから、あなたは絶対にうまくいく。マッチする企業が必ずある。」という言葉を現在転職活動中の皆様にエールとして贈り、就活のマイクを静かに床に置こうと思う。



サポートしても良くってよ。