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『人生は20代で決まる』

2014年7月25日発行 メグ・ジェイ『人生は20代で決まる』(The Defining Decade)
2024年5月6日 読了

 TEDの名スピーカーが自身のカウンセラーの経験を通じて、人生における20代の重要性を説いた一冊。「仕事」「恋愛」「脳と肉体」の3部制となっており、20代での人生設計に大きく影響を与えるものになっている。

人生設計における結婚の捉え方

 この本では自身のキャリアのことだけではなく、人生設計について述べられているため、人生のなかで大きなイベントの一つである結婚について解像度を上げ、明確に考える機会をくれた。特にこの本の中で私の人生設計に影響を与えうるものになったのは”結婚を後ろ倒しに考えることの危険性”であった。就職活動をしているとどうしても、人生における仕事の重要性を重くとらえてしまうし、実際優先順位として、仕事の比率を高くしていきたいという思いもある。一方で、”人並みに”結婚し、子どもを産みたいといった漠然とした欲求もある。知らず知らずのうちに、このような欲求は「仕事でやりたいことができるようになってから」と考えてしまっていた。結婚、特に出産に関しては生物としてある種のタイムリミットが存在し、後ろ倒しにすることの利点が少ないことを認識させられた。

 この「結婚」を真面目に考えた際、なによりの障壁となっているのは仕事との両立の難しさであろう。育休、産休といった制度面の問題だけでなく、仕事での評価について考えた際、出産のタイミングを誤れば自身のキャリアの目標をとたんに変えざるを得なくなるのではないかという不安。キャリアアップ並びにキャリアチェンジとライフステージの変化それぞれにどう対処するべきなのかという不安など真面目に考えることで発生した明確な不安と漠然とした不安が混在している。
 この本では先述したとおり、仕事についても記述されており、20代での働き方に関してもチャレンジ、忍耐、成長など重要なキーワードがいくつも説明され、30代以降のキャリアに大きな影響を与えると言われている。20代でチャレンジし、忍耐も身に付けながら、成長していく間に、結婚もし、子どもを産み育て始める。自身の理想のキャリアと理想のライフステージのためにはこれが必要であるとわかっていながら、 これからの人生でこれらを同時進行していくことができるのか。今まで、仕事と結婚を分離して考えてしまっていた自分に対して新たな問いと挑戦が与えられたように感じた。

離れるべきパートナーと「実は良い」パートナー

 この本の中では人生設計としての結婚についてだけでなく、パートナーについても言及されていた。7章ではクライアントのエマに対して筆者は分かれることを勧め、10章ではクライアントのコートニーがパートナーに対して持つ不満は「クライアント自身が変わるべき部分で、実はそれほど大きな問題ではない」という立場だった。どちらのクライアントもパートナーに対して大なり小なり不満を持っていたが両者に対する筆者の立場は異なっていた。これらにはどのような違いがあり、私がパートナーを選び、「家族」を選ぶとき筆者はどのようなアドバイスをするのだろうか。
 まず、両者の違いは彼女たち自身の性質である。エマは仕事はバリバリ取り組むが、恋愛に対してのハードルは低く、パートナーに対して性格的な不満はあるもののわかれようとはしていない。一方で、コートニーはパートナーに対して理想が高く、友人が言うような「理想的なパートナーの行動」もしてほしいと思っている(しかし今のパートナーはそれをしないため不満)。
 つまり、離れるべきパートナーは本質的なパーソナリティーの部分で齟齬が生じ、「実は良い」パートナーはオプション的な行動のみの齟齬にとどまっている。前者は特に「家族」になるにあたってすり合わせが両者にとって困難であるが、後者は「家族」になるにあたっては取るに足らない人間の性質の違いなのである。

 では、パートナーとの本質的な違いと取るに足らない違いはどのように見分ければよいのだろうか。コートニーの場合、パートナーが自身の理想の行動をしているわけではないが「良いパートナーである」と気付いたのはそのパートナーだけが自分にしてくれていたことに気づくことができたからであった。エマがパートナーに大きな不信感を抱いたのはパートナーの家族を見て、自分の将来の家族像をこの人と描いていくことができないと感じたからであった。私がこの本から学んだ教訓は
・してくれていることに目を向ける
・自分の将来像との不調和を見逃さない
ことの二つである。これを行うためには自分の将来像を自分自身で認識し、「家族選び」を行っていかなければならない。


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