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2024 J3第21節レビュー 福島ユナイテッドFC🆚YSCC横浜


戦術分析が読みたい方は戦術ポイントに飛んでください。

雨中の逆転劇!福島U、3連敗の苦境 - 次なる一手は?

雨が降ったり止んだりする7月13日の夕方、私はテレビの前に座っていた。私は福島ユナイテッドFCの試合を見ていた。福島ユナイテッドFCのアウェイゲーム、Y.S.C.C.横浜戦の中継が始まろうとしていた。画面に映る空は鉛色で、時折強く吹く風が観客席のレインコートを揺らしていた。

試合開始のホイッスルが鳴る直前、画面越しに伝わってくる緊張感に、私は思わず背筋を伸ばした。ここ2試合、福島Uは連続で逆転負けを喫している。「今日こそは」という期待と、「また同じことが...」という不安が、心の中で綱引きをしている。誰もが同じことを考えているのに、それを口にする者はいない。

キャプテンの堂鼻起暉が電撃移籍した後の初戦。チームには何かが欠けているようで、それでいて何も変わっていないようでもあった。新しいキャプテンマークを腕に巻いた宮崎智彦の背中には、見えない重圧が乗っているように見えた。

試合は私たちの予感通りに進んだ。先制し、追いつかれ、追い越される。まるで古びた映画のフィルムを繰り返し見ているかのようだった。選手たちは懸命に走り、ボールを追いかけた。しかし、どこか虚しさが漂っていた。

雨は途切れることなく降り続け、ピッチは水を含んで重くなっていった。選手たちのユニフォームは泥と汗で濡れそぼち、まるで彼らの疲労と焦りを可視化しているかのようだった。

試合終了のホイッスルが鳴り、スコアボードには1-2の文字が浮かび上がった。3連敗。その数字が意味するものは、単なる結果以上のものだった。それは、チームの未来への不安であり、変化の必要性を示唆していた。

中継が終わり、テレビの電源を切った後も、私はしばらくソファに座ったままだった。頭の中で次の試合のことを考えていた。新しい選手起用、新しい戦術、そして新しい希望。

城定幹大のプレーが脳裏に浮かんだ。彼の左足から放たれたパスの軌道が、まるで希望の光のように見えた。そして私は思った。明日はきっと、今日とは違う日になるはずだ、と。

窓の外を見る。試合会場では雨が降っていたのに、ここでは夕暮れの空が穏やかに広がっている。遠くでジャズのトランペットが鳴いているような気がした。
ビールを一口飲む。喉を通る微かな苦みが、試合の結果よりも確かな現実感を持っていた。そうだ、これで終わりじゃない。むしろ、何かが始まるような予感がする。明日の朝は、いつもより早く起きてパンケーキでも焼こう。
人生もフットボールも、結局のところ、同じことの繰り返しなのかもしれない。それでも僕たちは、次の試合を、次の朝を待ち望むのだ。

戦術ポイント

ここからは試合を徹底的に分析していきたいと思います。この試合、戦術的にかなり興味深い展開がありましたので、じっくりと見ていきましょう。

初期配置

まず、両チームのフォーメーションについて詳しく見ていきます。福島Uは4-3-3で来ました。これは彼らの定番フォーメーションですね。一方、YS横浜は3-1-4-2を採用。ここで注目したいのが、YS横の2トップによるプレス。これがこの試合の大きなポイントになってきます。

福島はピボーテに⑬宮崎選手。堂鼻選手の抜けた穴は⑤大森選手が入る。YSは3-1-4-2。
戦術スタッツ

プレスvsビルド


試合開始直後の混戦から福島が先制。しかし、この幸先の良いスタートも長くは続かなかった。福島UはYSの2トップのプレスに対して、どう対応したのか。低い位置では、キーパーを加えた3人で対応しています。相手がハイプレスをかけてくる状況では相手を引き付けてトップや相手DFの背後にロングフィードを送る戦術が有効なんですが、YS横浜はここで福島Uのビルドに対策してきました。ピボーテを置いたんですね。50中里選手。これが効いた。バイタルエリアが空かなくなり、福島Uの澤上選手への供給が困難になってしまった。ここでYS横浜の戦術的優位性が見えてきます。


YSはピボーテ(㊿中里選手)を置き、バイタルを封鎖。福島の定番ロービルドアップ対策を講じてきた。

高い位置でのビルドアップにも注目です。ここでは福島Uの2CBとYS横浜の2トップが2対2の状況になっていました。結果として、CBに余裕がない展開が続きました。これは福島Uにとっては厳しい状況です。ボール保持の安定性が失われ、攻撃の起点を作りにくくなります。

YSのプレス。福島Uの2CBとYS横浜の2トップが2対2の状況。

次に、YS横浜の攻撃パターンについて。ここで面白かったのが、萱沼選手の動きです。彼がサイドに流れて、そこにインサイドハーフが入り込む。このパターンがYS横浜の攻撃の要になっていました。実際、YS横浜の1点目はこのパターンから生まれています。これは相手のディフェンスラインを崩す効果的な動きで、福島Uはこの対応に苦労していました。

宮崎智彦の奮闘 - 後半の戦術変更と新たな課題

後半、福島Uは興味深い戦術変更を見せました。ピボーテの宮崎選手が下がって3バックを形成したんです。チーム戦術か個人の判断なのかわりませんが(おそらく後者)、この動きは非常に効果的でした。なぜなら、これによって数的優位を作り出し、ビルドアップの質が向上したからです。ボール回しが円滑になり、攻撃の起点を作りやすくなりました。宮崎選手の戦術眼の高さが光る場面でしたね。こういった臨機応変な対応ができる選手がいるのは、チームにとって大きな武器になピボーテのります。

ピボーテの宮崎選手がDFラインに降りて③バックを形成。3対2と数的優位を作る。

ただし、ここで福島Uに問題が出てきます。中央突破にこだわりすぎる傾向が見られたんです。YS横浜は5-3-2の堅固な守備を敷いていたので、中央突破は難しい。ここで福島Uの攻撃が単調になってしまった。5-3-2の弱点は中盤3の脇なんですよ。ここを突くサイドチェンジやアーリークロスを活用する戦術が有効だったかもしれません。詳細は前節のレビュー見てください。2試合つづけて同じような相手に負けたことになります。この部分は5-3-2(3-1-4-2)相手の課題になるでしょう。

次なる戦いへの布石 - 宮崎戦の展望


次節の対戦相手は宮崎です。予想されるフォーメーションは4-4-2。ここでのポイントは、4-4-2はバイタルエリアが開きやすいこと。中央攻撃が機能しやすい展開が期待できます。ただし、2トップでのプレスも予想されるので、CBの余裕のあるプレーは難しいでしょう。ここをどう克服するか、福島Uの戦術が問われます。

今回の試合で見られた宮崎選手の3バック形成は、次節でも活用できる可能性が高いです。ただし、その際に重要になってくるのが、セカンドピボーテの動きです。誰かが中盤のボトムに入り込む必要がある。この戦術をチーム全体で共有し、練度を上げることが重要ですね。個人の能力だけでなく、チーム全体の戦術理解度が試されるポイントになるでしょう。

4-4-2相手の場合。ピボーテ⑬が下がったら、そこにセカンドピボーテ⑭が中盤のボトムに入ってくる必要がある。(相手の名前は無視してください)

最後に、この試合全体を通して感じたのは、両チームの戦術的な駆け引きの面白さです。フォーメーションの変更、選手の動き、プレスの掛け方など、様々な要素が絡み合って試合が展開されていきました。こういった細かい部分にも注目しながら観戦すると、サッカーの奥深さがより一層感じられると思います。

以上、福島U vs YS横浜の詳細な戦術分析でした。次の試合では、今回の分析を踏まえて福島Uがどのような戦術を採用してくるか、非常に楽しみです。引き続き注目していきましょう。

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