「北大法学部の後輩たちへ~就職の考え方」

北大法学部出身者による「北大法学部の後輩たちへ~就活の考え方」というnote記事がある。

北大を旧帝早慶の中で一番下におき、それを理解した上でエリートを目指すのか、非エリートに進むのかを検討すべき、という内容のnoteだが、現役北大生、また北大を志望する受験生のために訂正しておきたいと思う。

何をもって比較したのかが不明瞭であるが、おそらく入試難易度か実績だと予想する。

しかしこの二点に関して、今の北大は彼が述べたような旧帝早慶の最下位ではない。


入試難易度

実際、元記事の著者の時代(二十年以上前)は北大は旧帝最下位で間違いなかった。

今と違い九大も名古屋大東北大と並ぶほどの入学難易度だった。

しかし現在の北大は大きく躍進し、人気難易度ともに上がっている。

今の北大の難易度は文理ともに九大より上、文系に至っては東北大と完全に同レベルだ。

最新のデータを見ると分かりやすい。

2024年度入試、河合塾の共通テストボーダーと二次偏差値

先述の通り、文理ともに難易度は上がっているが、文系が特に顕著であり、元記事も法学部を対象としているので文系のデータをあげようと思う。

先ほどのデータから東北大、北大、九大のデータを出してみた。

東北文76%二次60.0 東北教74%二次60.0 東北法76%二次60.0 東北経74%二次60.0
北大文76%二次62.5 北大教75%二次60.0 北大法75%二次60.0 北大経75%二次60.0
九大文74%二次57.5 九大法74%二次60.0 九大教72%二次57.5 九大経76%二次60.0 九大経済工72%二次57.5

北大の文学部は数学と地歴を選択できるため、二次の偏差値が高く出ているが、それを差し引いても明確に
東北大=北大>九大となるだろう。


国立文系と早慶文系の受験難易度を単純に比較するのは難しいが、受験の専門家であるキャストダイス(学歴厨ならおなじみのコバショー)のチャンネルでは、下位旧帝(東北大北大九大)=専願早慶文系上位学部(私文受験が出来ない政経、経Aを除く)としている。

https://www.youtube.com/watch?v=pk-X-H5GaJs

勿論東大落ちの学生は、北大の平均層より確実に上ではあるだろうが、それは一部であり、北大も後期の枠が多い。

何より、早慶の一般率は50パー、特に上位学部の政経、慶法の一般率は3割台なことを考えると確実に北大より上とは言えないだろう。

ここ最近でも北大の難易度は上昇しているうえ、北大は今年度入試で情報を合否の判定に含めないことを公表している。
さらに人気が上がり、難易度は上がるのではないだろうか。

実績

どの角度から大学の実績を比較すべきかは難しいが、元記事はエリート職という言葉を使っている。
そもそも国立大学、特に旧帝の設立目的は官吏の養成であるし、まずはエリート職の代表格である国家公務員総合職について着目したいと思う。

現在北大は東大京大に続いて国家公務員総合職の合格者が多い。

私立も含めるならば早大の方が多い年もがあるが、そもそも学生数が比にならない。
北大は公務員試験に力を入れており、講座の内容が充実していることは有名だ。
【ランキング】国家公務員総合職・合格者数1位の大学は? 私大や女性の割合も増加 | 朝日新聞Thinkキャンパス (asahi.com)


また元記事は法学部生にむけた記事であるため、法学部のエリートともいえる司法試験合格者に関しても着目したい。

北大は司法試験において合格者、合格率ともに東北大、九州大より優れている。

早慶には合格者数はともかく合格率でも負けているが、受験勉強する必要が無く高校から司法試験対策を行う内部生と東京一落ちの優秀層が稼いでいるのは有名な話であり、仕方ないかもしれない。
事実、慶大に至っては東大より合格率が高い。

2023年度司法試験の結果は?合格率や合格者数・大学別ランキングも紹介 | 記事一覧 | 司法試験コラム (itojuku.co.jp)

北大、特に法学部の実績が他の大学に劣らないことは明らかだろう。


上述の通り現在の北大が難易度、実績ともに旧帝早慶の中でビリというのは誤りである。

元記事の著者は北大卒であるため、記事を真に受ける北大生、受験生もいるかもしれない。
元記事の著者は就活を控えた北大生のために良かれと思って書いたのかもしれないが、彼が大学生で会った時代、名実ともに旧帝最下位だった時代と違い、今の北大は難易度実績ともに大きく向上し様変わりしている。
間違った情報で、エリート職を目指す現役北大生の足を引っ張ったり、受験生を惑わせるのは正直迷惑なことである。

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