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バーチャルセックス         第1話                憧れの先生シリーズ 第4弾


僕の名はひろし。
 
県下でも有数の進学校に通う高校1年生だ。
 
 
 
僕はマッチングアプリで知り合った、顔も知らない女性と文字だけの会話でバーチャルセックスしている。
 
模擬試験が終わった日、時間を持て余していたので、たまたまパソコンでネットーサーフィンしていたらマッチングアプリを覗いてしまったのがきっかけだ。
 
 
 
 
「あなたにぴったりな女性と出会えるマッチングサイトです!ぜひ覗いて見ませんか」
 
このキャッチコピーに惹かれて、ラブメールというマッチングアプリにアクセスしてしまった。
 
 
「ひょっとしたら年上の女性と出会えるかもしれない。」
 
 
 
僕には今、付き合っている彼女がいない。
 
僕の学校は男子校なので、女の子と知り合うきっかけがほとんどない。
 
でも、友人の多くに彼女ができ、試験の終わった日など一緒に映画を見たり、お茶を飲んだり彼女と楽しそうにデートしている。
 
同じ年や年下の彼女のいる友人を見て、羨ましいなあと思うこともあるが、僕はなぜか年上の女性に惹かれてしまうのだ。
 
 
 
 
僕が年上の女性に惹かれるようになったきっかけは、夏休みにアルバイト先の30代の女性店長と関係を持ったことだ。
 
 
鹿児島市内のファミレスで夏休み限定のアルバイトをしていた僕は、スタイルが良くて美人の店長に一目惚れした。
 
毎日ファミレスで店長と会うのが楽しみだった。
 
 
店長も僕を可愛がってくれ、アルバイトの最終日、食事に誘ってくれたのがきっかけで、男女の関係を持ってしまったのだ。
 
 
 
店長はセックスの経験の乏しい僕を優しくリードしてくれた。
 
そして、生まれて初めてとろけるような快感を味わった。
 
大人の女性の魅力を教えてくれた店長とは、それからも5回ほどセックスしたが、店長が9月末、東京の本社に転勤になりそれからずっと会っていない。
 
 
 
僕は、また大人の女性の魅力を味わいたいという想いが強く、年上の女性にどうしても惹かれてしまうのだ。
 
 
 
 
「ひょっとしたら、このマッチングアプリでそういう女性と知り合えるのではないか?」
 
 
僕は期待を抱きながら、ラブメールにアクセスした。


 
「出会いがないとお悩みのあなた。ラブメールでは大学生から社会人まで、毎日たくさんの出会いを提供しています。恋人、遊び友達、メル友など、あなたの出会いをサポートします。」
 
大学生から社会人までサポートしているということは、大人の女性と知り合うチャンスがあるということだ。
 
 
 
さっそく登録し、自分のプロフィールを作成した。
 
ニックネームはマイク。ファミレスの店長が僕につけてくれたニックネームだ。
 
バイトを始めた頃、接客に慣れず大きな声が出ない僕に、大きな声を出せという意味で、店長は僕を「マイク」と呼んでいた。
 
 
 
 
高校生はこのサイトを利用できない。
 
年齢を偽り、19歳という設定でプロフィールを作成した。
 
 
登録が完了すると、女性のプロフィール検索のボタンをクリックしてみた。
 
するとたくさんの女性のプロフィールが縦に並んでいた。
 
 
 
その中で、気になる女性のプロフィールに目が止まった。
 
 
ニックネームはアリサ。
 
 
年齢 28歳
星座 双子座
職業 秘密
趣味 旅行・カフェ巡り
自由コメント 初めて登録しました。バーチャルな世界で素敵な出会いがあればいいなと思いこのサイトに登録しました。少し刺激も欲しいです。
 
 
僕はアリサという女性のプロフィールを読みながら、ある女性が脳裏をよぎった。
 
 
英語の里沙先生だ。
 
 
 
3月までイギリスの大学に留学していて、今年の4月、新規採用で僕の高校の英語教師になった。
 
スーツ姿のよく似合う、色白でスレンダーな美人教師だ。
 
 
里沙先生は、僕のクラスの英語を担当している。
 
僕は、里沙先生にずっと好意を抱いていた。
 
 
先生は赴任した時の自己紹介で27歳と言っていた。
 
里沙先生も双子座なのですでに誕生日を過ぎ、今は28歳のはずだ。
 
 
 
「アリサが里沙先生だったらいいな。」
 
という想いで、アリサのプロフィールに、メールを送った。
 
 
 
 
「アリサさん。はじめまして。マイクと言います。アリサさんのプロフィールを見て、気になったのでメールしてみました。よろしければ、楽しくメールのやり取りなどできればと考えています。メールお待ちしています。よろしくお願いします。」
 
 
 
すると、すぐにアリサという女性から返事が来た。
 
 
 
アリサ・・・マイクさん。アリサです。はじめまして。メールありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。
 
マイク・・・こちらこそ。すぐにメールいただき嬉しいです。
 
アリサ・・・マイクさん。お歳はいくつですか?
 
マイク・・・20歳です。
 
アリサ・・・若いのね。私、28です。あなたより9歳も年上よ。
 
マイク・・・気にしたりしますか?そういうの。僕は、かまわないけど・・・。
 
アリサ・・・ありがとう。私も年にはこだわりませんよ。
 
マイク・・・僕でもいいんですか?
 
アリサ・・・ぜひ、あなたで・・というか、なんとなく、マイク、あなたのことが気になるの。
 
マイク・・・僕が気になるって、どういうことですか?
 
アリサ・・・よくわからないんだけど。あなたとは、何か縁がありそうで。
 
マイク・・・縁がある・・・ですか?
 
アリサ・・・私、最近5年間付き合っていた彼と別れたの。だから今、とても人恋しくて。バーチャルな世界でいいから、だれかいい人いないかなと思って、このサイトに登録したら、その直後にマイク、あなたからメールが来たの。なんか・・縁というか? 運命的なもの感じるの。
 
マイク・・・アリサさんも、今登録したんですね?僕も、今、登録したばかりなんです。
 
アリサ・・・それは偶然ね。何かあなたとの運命の糸みたいなもの感じる。
 
マイク・・・運命の糸みたいなもの?
 
アリサ・・・そう。不思議なくらい、あなたが気になるの?
 
マイク・・・実は、僕もアリサさんのプロフィールがとっても気になり、メールしたんです。
 
マイク・・・本当に?嬉しいわ。もう敬語はやめて。私をアリサと呼んで。
 
マイク・・・じゃあアリサって呼ぶ。アリサ。
 
アリサ・・・はい。マイク。今日は何してたの?
 
マイク・・・今日はバイト。
 
 
僕はとっさにバイトと答えた。

 
僕のプロフィールの設定は19歳だ。
 
高校で模擬試験を受けたなんて言えない。
 
大学と言えば嘘になる。
 
嘘はすぐにばれるだろう。
 
だから、とっさにバイトと答えた。
 
 
 
アリサ・・・何のアルバイトしてるの?
 
マイク・・・ファミレス。
 
 
僕は夏休みファミレスで小遣い稼ぎにアルバイトした。
 
ファミレスのバイトなら嘘がばれない。
 
 
アリサ・・・ファミレスでバイトしてるんだ。接客は大変でしょう。
 
マイク・・・忙しくてそれなりに大変だよ。アリサは今日、何してたの?
 
アリサ・・・私は一日仕事だったの?
 
マイク・・・何の仕事かな?
 
アリサ・・・ううん・・・それは秘密ってことで。
 
マイク・・・何関係の仕事くらい、言えないの?
 
アリサ・・・そうね。ちょっとお堅い仕事かな?
 
マイク・・・お堅い仕事?弁護士とか?
 
アリサ・・・そんなんじゃないけど・・・
 
マイク・・・こんなサイト使ってること、バレたらやばい仕事かな?
 
アリサ・・・そうね。ちょっとやばいね(笑)
 
 
僕はその時サイトではなく、LINEでアリサとやり取りしたいと思った。
 
 
マイク・・・よかったら、サイトではなくLINEでやり取りできないかな?
 
アリサ・・・ごめんなさい。私は、このバーチャルな世界を大切にしたいの。
 
マイク・・・バーチャルな世界?
 
アリサ・・・サイトなら匿名性が守られるから、安心してやり取りででるでしょう?
 
僕はアリサとのLINEのやり取りをあきらめた。
 
 
マイク・・・じゃあ、これ以上詳しいこと聞かないね。バーチャルな世界大切にしようね。
 
アリサ・・・ありがとう。優しいのね。マイク。
 
マイク・・・アリサは、一人で暮らしてるの?
 
アリサ・・・一人暮らしよ。
 
マイク・・・どんな部屋に住んでるの?
 
アリサ・・・マンションよ。
 
 
それから1時間くらいメールのやり取りをした。
 
僕はアリサという女性が気になり、たくさん質問を浴びせた。
 
 
アリサは自分の職業と名前など個人的な情報につながること以外は包み隠さず答えてくれた。
 
このメールのやり取りを通して、アリサがとても身近な女性に思えてきた。
 
そして、アリサと里沙先生がどうしても重なってしまう。
 
ひょっとして、アリサは里沙先生なのかもしれない?
 
 
アリサ・・・マイク。もう、12時過ぎたね。明日もバイトなの?
 
マイク・・・アリサは明日も仕事かな?
 
アリサ・・・そう。明日も仕事で6時には起きないといけないの。
 
マイク・・・それじゃあ、そろそろ寝ようか。明日もメールしていい?
 
アリサ・・・もちろんよ。メール待ってるね。おやすみ、マイク。
 
マイク・・・おやすみ。アリサ。
 
 
 
パソコンの電源を切った。
 
明日は、里沙先生の英語の授業がある。
 
アリサが里沙先生なのか確かめる方法はないだろうか?
 
 
僕はアリサが趣味の欄に旅行・カフェ巡りと書いていたのを思い出した。
 
 
「よし、授業が終わったら里沙先生に質問して確かめてみよう」
 
 
その晩、僕は眠れなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 

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