ニコラス「セコンドにオレがいたら駄目なんじゃないかって思うところもあって」　レオナ物語　其の三（ニコラス・ぺタス編／後半）

LARA column series.1
レオナ物語～“泣き虫”加藤玲於奈が “石の拳”レオナ・ペタスに至るまで～　其の三（ニコラス・ぺタス編／後半）

前半：https://note.com/laratokyo/n/n068103e3b756

「あいつは、オレがいるといいとこ見せようって無理に倒しに行くような気がして。彼のレベルは、もう綿密に組み立てた戦略を崩さずに遂行しなきゃならないレベルにあるわけで。けど、そんな心配ももう要らないね。この前のタイトルマッチ（2019年9月16日）なんか全然問題なかった。もうすっかり安定してる」

レオナは試合が決まると師匠に連絡し「絶対に来てください！」とセコンドパスを用意する。

「ホントに良い子。カワイイよね。昔から真面目で自分の考えをちゃんと持ってる。そんなレオナだから、信頼できる仲間がサポートしてくれて強くなり続けている」と嬉しそうに語る。ニコラス自身が史上に残る名選手ながら、技術指導に関して半澤に託したからには一切口出ししない。

「オレが今、あいつに送るのはガッツだけ！」

そうは言いながら、この機会だからこそ、レオナに師としてアドバイスを送っていただきたいと頼む。

「ファイターでいれる今の幸せをしっかりと理解しなくちゃいけない。格闘技の現場から何年も離れているからこそオレがわかったこと。身体が壊れて、政治的に動けなくされる理不尽に巻き込まれて、色んなクソが取り巻いて苦しんだ。だから、こうして戦えることがどれだけ素晴らしいことか！」

ニコラスの言葉は“赤鬼”と恐れられボブ・サップも震えた格闘技トレーナー時代には及ばないまでも熱を帯び心臓を暖める。

「明日なんかないんだよ。今を懸命に頑張ってこそ良い日を迎えることができる。毎回『これで最後』の覚悟をもって臨め！　選手の間はエゴイストであっていい。そのエゴを楽しんで今を全力で。オレは骨が砕けても心は折れずに戦い抜いた。そのスピリットを受け取ってほしい」

突然、ニコラスが思い出し笑いをする。何事か？

「いやね、オレにそんな言われるまでになったレオナだけど、7年前、クロスフィットジムを西麻布でオープンしたばっかの時、一通りのフィジカルトレーニングをさせてみて、AYAが『懸垂もろくにできやしないだなんて、本当にこんな奴がファイター？』なんて毒づいていたっけ。そんな自分だって、大して懸垂なんかできもしなかったのに。二人ともまだ子供だったなって。それが今じゃ立派になったもんだ！（笑）」

また、選手として一流の域を突き抜けつつあるレオナは、この年末から高田馬場「LARA TOKYO」で本格的な職業トレーナーにもなる。

「ファイターであることと一般の人たちに格闘技を楽しんでもらうトレーナーは、まるで逆なんだ。オレたちみたいな会員300名程度でトレーナー10名以下のジムは、業界用語で“ミクロジム”って言うんだけど、だったら尚更に人間関係が大切。パーソナルトレーニングやグループレッスン、指導の方法は違うのだから、選手として練習するだけじゃなく学び続けなくちゃならない。それはスポーツ医学だったりスポーツマネジメントの本を読むことだったり、栄養学を知って身体を大きくすること、小さくすることを自在にできる知識を持って経験を得なくちゃならない。それは辛い練習に耐えるのとはまた違った苦労だけど、大丈夫、レオナならできるさ！」

愛弟子の将来に更なる研鑽を求めはするが、悲観は一切ない。

「いいか、レオナ、死ぬ気で鍛え込んできた努力の結晶、オマエの拳と脚を信じろ！」

デンマークから空手道のロマンを求め単身日本に渡り、リングで花咲かせ、散り際に種を蒔きそれらが咲き誇るに至った気高き大樹、ニコラスの落ち着きは悟りを開いた達人に似るが、青い目の奥に燃える炎は、まだ灼熱を保っているようだった。

2019年12月11日　其の三　了

レオナ・ペタスのプロフィール
リングネーム：レオナ・ペタス
英語名：Leona Pettas
本名：加藤 玲於奈（かとう れおな）
所属：THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO
（短称：LARA-TSG TEAM TOP ZEROS）
生年月日：1992年4月29日
出身地：埼玉県入間市
身長：175cm
血液型：A
戦型：オーソドックス・ファイタータイプ
得意技：右ストレート
プロデビュー年月日：2012年6月17日
戦績：31戦25勝（10KO）5敗1分
プロステータス：第9代K-1 KRUSH FIGHTスーパーフェザー級王者、2016年英雄伝説アジア60kg級トーナメント優勝
アマステータス：第210回新空手道東京大会K-2トーナメント軽量級優勝（2011年）、第5回J-NETWORKアマチュア全日本選手権Aリーグフェザー級優勝（2011年）
キャッチコピー：石の拳
Facebook：https://www.facebook.com/reona.kato.77
Twitter：https://twitter.com/rerereoooo
Instagram：https://www.instagram.com/ktron04/

▶︎キックボクシング&フィットネス LARA TOKYO
レオナ・ペタス、そして弟の加藤 虎於奈が
インストラクターとして勤めています！
http://laratokyo.com/
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▶︎レオナ・ペタス 次戦大会情報
K-1 KRUSH FIGHTスーパー・フェザー級タイトルマッチ
・レオナ・ペタス vs 山本 直樹
K-1 KRUSH FIGHTウェルター級
・加藤 虎於奈 vs 牧平 圭太
https://www.k-1.co.jp/krush/schedule/16494/