見出し画像

だめだめな以前のピアノ練習 弾く練習だけでは上達しない

ピアノを弾くあなた、ピアノでなくても何かしらの楽器をされている方、課題曲が決まって最初にすることは何ですか?

今までやってきたこと

子どもの頃から習っていたピアノ
新しい曲が決まると毎度謎のアドレナリン放出され、ワクワクしながらピアノの譜面を前に置く。
そしていきなり弾き出す🎶
  
愚か者め〜
そして、最初から通しで何度も何度も練習する。
それをちゃんとした練習だと信じ (信じていたかは怪しいが、思考停止で機械的にそうしていた) これが子どもの頃やっていた練習の仕方。

これではいつまで経っても弱いところとそうでない所の差が埋まらないじゃないか。
音楽ってそんな単純なものなのか!?

”ただ弾くだけ” というのは弾きこなせていない状態で、自分の中でよしとしていた状態、それは
ノーミス ノーミス そしてノーミス
それだけだった。

もちろんミスタッチは無いほうが、和音の美しい響きを台無しにしたり、作曲者が求めた響きが出せなかったりということがなくなるのでやはりないにこしたことはない。

当時はそんな事さえも頭にはなく何度も何度もこれでもかこれでもかというくらいアホみたいに最初から最後までぶっ通し練習を、いやぶっ通し練習しかといってもいいだろう、それしかしなかった。
そう、やるべき練習でなく、やりたいように練習をしていた。


無知蒙昧を自覚


YouTubeを見るようになってから、ピアニストや指揮者の方の講義を聞くことが楽しみになり、時間が出来るとにちょくちょく見るようにしていた。

そしてある日、今までの音楽に対する考え方をガラリを変えるような言葉に出会ってしまった。

”演奏する人からは、その人が学んだ事が香るように出てくる”

「おお〜っ!」
その日からピアノに対する取り組みが変わった。

"学んだことが香る" って抽象的すぎるのだが、ちゃんとわかりやすい詳細がその後説明されていた。
だいたいこんな感じだったな・・・

その曲がどんな時代に作曲されたか
その時代の建築物はどうだったか
どんな文学が生まれたか
作曲者の生い立ちは
どんな性格だったか
どんな作曲家の影響を受けていたか・・・

というようなピアノを直接触って練習する実践学習ではなく、机上学習について述べられていた。
それらをきちんと学ぶことによってその人の奏出る音にのって香るように醸し出されるそうだ。

なんてロマンティックな表現をするんだ、この人。

音楽を習っていると、アーティスティックな言葉を聞く機会が多く、それにも刺激される。

進化するぞ!


無駄なあがきかもしれないとしても、練習が大好きな自分には大きな収穫だったのでいろいろな角度から踏み込むことにした。
主にネット上と図書館を利用した。
勉強会にも出席してみた。
時には高校の時の教科書も役に立った。
楽譜もいきなり弾き始めず、まず読み込むようにした。

進歩はいかほど?

その後 ”無駄なあがき" でどれだけ上達したかは正直わからない。
そもそもそんなすぐに身につくものでもないだろう。
ただ、楽譜の使い方が変わったし、曲選びが楽しくなったことは確か。
進歩は結果というよりも明らかに行動と心境に変化が出た。

先生にお願いしてベートーベンソナタを教科書的に利用することにした。
ベートーベンの手紙が読みたくてドイツ語を超がつくスローペースで勉強し始めた。
時々YouTubeのドイツ語発音を滑稽に描いた動画で抱腹絶倒し、誘惑に負け、危うく学習が娯楽になりそうに。

他に自分がどの時代の作曲家が得意なのか興味を持つようにもなった。

まだまだ作曲家の心境を歌い上げるようなピアノは弾けないけれど、自分の気持ちを音に乗せることが出来るようになった。

ある年、立て続けに家族との死別があり悲嘆に暮れた時期があった。
そんな時にレッスンで弾いたラフマニノフの曲。

一通り弾き終わると、「家族をなくした悲しみがすごく出ていました。」と言ってくださった。
本来はその曲を書いた作曲家の気持ちを再現しなければならないのかもしれないけれど、今までで一番うれしい評価だと感じた。
だからといって後日、気持ちが晴れ渡り意気揚々としてレッスンに望んだ時
「なんだか明るい曲になってますね。」
と言われた時は反省しなければならなかった。
自分の気分で曲を台無しにしてはいけないのだ。

副次的収穫

今回はピアノを上達させる目的でいろいろな学習をしていったわけだが、最近こういう学び方は他でも使えるなと思った。

自分の場合はピアノから入り、そこから必要と思われる歴史や文学などに触れていった。もちろん学生の時のように時系列できちんと学習したわけではないしモチベが下がりそうなのでやめた。歴史は取り組む作曲家の生前辺りの歴史を切り抜きで学んだ。
文学はその作曲家が愛読していた書籍、その時代に書かれた小説を数冊読む。

そうしているうち、少しずつ身についていった歴史の知識。
知らないうちに作曲家と無関係の小説にも興味がでてそちらにも手を伸ばすように。

そうか!好きなことから入ればなんでも楽しく受け身でない学習が出来るじゃないか!

そんな事に気づいた。

だから自分の没頭しているもの、興味のあるものを掘り下げれば自ずと他の知識も得られる。

例えば虫が好きだったとしたら、ファーブル昆虫記を読んでみる。
彼に興味が持ち、国は?どんな文化があった?どんな人だったんだろう?どんな時代だったんだろう?
そして気づくとその部分に関して造詣が深くなっている。
その繰り返しでパッチワークのようにして繋がっていく。
一枚の完成品が出来なくても、正面から学習して挫折し全くものにならないよりずっといい。

こんな好きなことから入る学習方法は、好きなことだけを学習しようとしていたのに、掘り下げて学んでいったら歴史、建築、小説なども学んでいたということが起こる。

すべてのことが体系的に繋がっているかどうかはわからないけれど、堅苦しい勉強という事がやりかた次第で楽しい経験に変わると気づけたのは副次的収穫だった。

想像力を働かせれば、”好き” はあなたを予想もしない未知の世界に連れて行ってくれる。

たぶん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?