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アマビエを拝む日本人の心とは

#アマビエチャレンジ

コロナ禍に苦しむ日本社会に突如現れたアマビエは、今や日本のカルチャートレンドとなった。

いったいなぜ我々日本人はこんなにもすんなりと謎の古生物を受け入れ、親しみを感じながらそれにコロナ終息の祈りを捧げることができるのだろうか。

なんでも拝む

大きな要因に、日本人は「なんでも拝むという信仰形態を持つ」という点があると感じる。

日本古来の宗教である神道はもともと神を偶像として具現化していないが、御神体という概念を持つ。御神体とは「神が宿った物体」のこと。我々日本人は昔から御神体を神聖視し、祈りを捧げてきた。神さえ宿っていれば、山だって(富士山)鏡だって(三種の神器)崇め奉るのだ。

日本人は仏教の信仰からも大きな影響を受けている。6世紀に伝来した仏教は日本独自のスタイルを確立しながら、長らく日本人の心を支えてきた。どの時代にもユニークで魅力的な仏像が彫られ、人々は祈りを捧げた。

言うまでもないが、「仏」は「神」とは別モノだ。つまり私たちは歴史的に仏に祈ったり神の宿った岩に祈ったり、やたらとなんでも拝む宗教心、信仰形態を持っているのである。

ご都合主義の祈り

「いつ神社やお寺に行きますか?」と聞かれた時、多くの人は「年末年始」と答えるのではないだろうか。神社やお寺にわざわざ行かなくとも、普段から仏壇や神棚に向かっているという人はどれくらいいるだろうか。

現代の日本人の多くは「願い事があるときだけ」神や仏と向き合う。受験前には合格を祈り、告白前には恋愛成就を祈る。新年のご挨拶に初詣に行っても「ご挨拶」でおしまいの人は少なく、何かしら「叶えてほしいこと」を頭の中でかき集めて唱えてから帰ってくる方が多数派だろう。

様々な信仰を取り込む中でなんでも祈るようになり、キリスト教やイスラム教のように日常的に祈りを捧げる習慣があまりない、いわばご都合主義的現代日本の宗教心を持つ私たちは、どこからともなく突然掘り起こされ、つい最近まで名前も知らなかった「アマビエ」という謎の妖怪に「コロナ収束」というずいぶんとたいそうな願いを託すのだ。

Kawaiiイラストの効果

日本人の信仰心から話題は少し逸れるが、実は災害のさなかでイラストが流行し、人々の心を支えたのは今回が初めてではない。

2016年に起こった熊本地震の際にも#くまモン頑張れ絵 というハッシュタグと共にくまモンのイラストを投稿することで、熊本の人を応援しようという動きが広まっていた。

可愛いイラストの拡散が、不安が広がる社会を懸命に生きる人々の癒しに繋がる。

日本でのアマビエブームは海外メディアにも取り上げられており、日本のキャラクター文化・Kawaii文化がコロナ時代に見せた一風変わった展開として注目を集めている。


新興の崇拝対象が可愛いイラストとして大流行し、イラストの域を超えて食品のデザインにまでなるというなんとも日本らしい現象。



もちろん私も現代日本を生きる普通の女子大生ですから。思いっきり便乗させていただきます。

「アマビエさん、コロナ収束させて~~~~!!!!」


【参考にした記事】

コロナ禍の終息を願って…妖怪「#アマビエ」のイラストがSNSで流行
Travel - Amabie: The Japanese monster going viral - BBC
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